SHIRO「ショッパー炎上」についてお伝えしたいこと
炎上した「ショッパー問題」
今日は少しだけ、毛色の違うお話をさせてください。
SHIROの考え方をお伝えしたくて、Xで炎上した「SHIROのショッパー問題」を取り上げます。ご存知のない方に経緯を説明すると、8月上旬にSHIROのショッパー(ショッピングバック)をめぐってX上で議論が巻き起こりました。きっかけは、あるお客さまが投稿されたポストでした。
SHIROは2022年の4月からショッパーを有料化しています。
2024年8月に知ったお客さまがXで上記の投稿をされ、大きな反響を呼びました。「#SHIRO」がXのトレンドに入ったほどです。
「昔は無料だったのに、もらえなくなって悲しい」
「ショッパーは宣伝効果があるのに勿体無い」
SNS上でさまざまなお声をいただきました。
「おっしゃる通りだな」と背筋が伸びるコメントもあり、貴重なご意見を受け止めたいと思います。一方で、コスト削減が目的とも取れるような、私たちの本意ではない伝わり方をしている内容もありました。
なぜ私たちはショッパーを有料化することにしたのか?
この場を借りて、改めてお伝えさせていただきます。
箱や袋は「嬉しい」けれど
デパートでの買い物は楽しいものです。
小さな商品でも丁寧に箱にしまわれ、ショッピングバッグに入れて手渡されます。紙袋を店員さんから受け取ったり、商品を開封したりする瞬間は心が躍る。私もウキウキした経験が何度もあります。
でも、商品を開封した途端に見え方が変わる。
あんなにも輝いて見えた紙箱やショッパーは「不必要なもの」に姿を変えてしまいます。商品を際立たせていた脇役たちが注目を浴びる機会はもうありません。ショッパーは再利用できますが、すべてを保管して活用している人はほとんどいないように思います。使い方を変えれば資源なのに、ゴミとして捨ててしまっていることにモヤモヤしていました。
一方で、SHIROは紙箱やショッパーをたくさんお配りしてきました。
その矛盾に直面し、「本当にこれでいいのだろうか?」と疑問を抱きました。
SHIROは「素材の恵みを、余すことなく使うものづくり」を目指してきました。人気製品の「がごめ昆布化粧水」や「ラワンぶきフェイスウォッシュ」も、捨てられるはずだった素材から生まれています。
それなのに、紙箱やショッパーを配布するのは正しいことなのか?
ブランドの立ち上げ以来、無意識に踏襲してきた業界の当たり前に違和感を抱くようになりました。そして、SHIROの在り方を少しずつ変えていこうと決心しました。
取り組みは「4年前」から
紙箱やショッパー削減の取り組みを始めたのは、2020年でした。
オンラインストアと一部店舗で、製品を保護する紙箱を省略した「パッケージレス」でのご提供を開始しました。省略できる包装資材分を製品通常価格から3%お値引きをして提供する「エシカル割」として展開し、お客さまがパッケージの有無を選べる形式でした。
紙箱の省略は、「無駄になるものをできる限り生み出さず、限りある地球の資源を守りたい」という想いからです。
企業活動の継続に利益は必要ですが、この取り組みで利益を増やそうと考えているわけではありません。そのため、パッケージレスの製品はお値引きして提供することにしたのです。
お客さまに共感いただけたと感じる機会もありました。
2020年の「SHIRO ルミネエスト新宿店」のリニューアルオープンにあわせて取り組みを始めた時のことです。店舗を左右に分け、右側ではエシカル割のパッケージレス製品を並べ、左側では従来どおり紙箱に包まれた製品を販売していました。
すると、予想以上に箱無し製品の売れ行きが伸びたのです。
箱無し製品のみが在庫切れになって在庫管理スタッフが慌てるほどでした。
オンラインストアでも、2022年3月にはパッケージレス製品をお選びいただく割合が8割を超えるまでになりました。
そうした反響を受けて、2022年4月から全国の直営店とオンラインストアで、すべての製品をパッケージレスで販売することにしました。エシカル割と同様に、従来から販売価格を3%下げ、包装が必要な方はペーパー包装袋を有料で購入いただける仕組みに変えました。同じタイミングで、ショッパーもサイズ一律110円(税込)とし、有料で提供を始めています。
「問いかけ」をしたかった
Xで炎上したコメントの中には、ショッパーの宣伝効果についての内容も少なくありませんでした。
この指摘は的を得ています。
ショッパーには大きな宣伝効果があり「歩く広告塔」と呼ばれることもあるほどです。街中で多く人の目に留まりますし、同じ紙袋を何度か見かけると、「どんなブランドなんだろう」と気になるもの。宣伝の観点から考えると、ショッパーを無料にしてたくさんのお客さまに持っていただいた方が効果的です。
それでも、SHIROは “パッケージ過多”な社会に問いかけをしたかった。
消費を煽ってしまった過去があるからこそ、これ以上、資源のムダ使いをしないために、できる限りのことをしたかったのです。
これまで「あった」ものが「なくなった」ので、批判や反発があることは当然だと思います。でも、パッケージレスやショッパーの有料化を廃止することはしません。むしろ、そうしたお声にしっかり向き合い、一緒に考えていくことにこそ価値があるとも思っています。
手を取り合いませんか?
今の日本は、あまりにも議論する場が少ないように感じます。
とりわけSNSでは、健全な議論よりも、ゴシップを起点に誰かを一斉に攻撃する場になりがちです。攻撃の対象になることを恐れるあまり、批判を浴びそうな言動をどんどん控えるようになってしまう人もいるでしょう。
でも、それで良いとは思えません。
だからやっぱり、SHIROは行動で示したい。
私はこれまでの人生で、何度か炎上を経験しました。
その度に、批判の言葉がスマホの画面を埋め尽くし、深く傷ついたこともあります。もうブランドを終わりにしようかと悩んだこともありました。
それでも振り返ってみると、発信し続けてよかったと思います。自分に足りなかった視点と、共感する仲間たちを呼び込んでくれるからです。
もちろん、安易に炎上を肯定するつもりはありません。
心無い言葉に傷つき、塞ぎ込んでしまったり、時には命を落としてしまったりすることもある恐ろしいものです。個人が攻撃されることは、あまりにも辛いことです。大量の批判を一人で受け止めるのは、苦しすぎる。
だからこそ、企業が示していきたい。
これからの時代、私は企業が先陣を切って社会にアクションを起こし、議論すべき話題のタネを提供していくべきだと思っています。SHIROはこれからも、自分たちが信じる価値観を、行動と言葉を通して発信していくつもりです。疑問を抱かれた時には、ぜひお声をお聞かせください。
そして、もし目指すべき未来が一緒なら、お互いの視点を交換しながら、手を取り合って進んでいきませんか?
今回はそんな提案がしたくて、炎上の話題に触れてみました。
次回からはまた、日本や世界の旅を中心に更新していきたいと思います。
(編集サポート:泉秀一、小原光史、バナーデザイン:3KG 佐々木信)