noteを活用すると、旅の達人になれる
旅は、準備から始まる
お家に帰るまでが、遠足です——。
誰しも一度は聞いたことがあるセリフだと思います。
私の感覚では、旅にも同じことが言えます。見たことのない景色に触れ、新しい学びを得る瞬間は旅の醍醐味のひとつですが、得た学びを帰路で反芻するのも大好きな時間です。
旅行の目的は「その土地へ行くこと」にありますが、旅の目的は「何かを掴んで帰ってくること」。旅行と違って、現地を楽しむだけが魅力ではないところが、旅のいいところです。
私は「情報収集の時間も、旅の一部」と思っています。
行きたい場所を調べたり、必要になる荷物を考えたり、適した服装を見繕ったり。どんな情報収集をするかで、旅で得られる学びの深さは変わるもの。計画しすぎると偶然の出会いが遠のくし、無計画すぎると出会えたはずの景色にも出会えなくなる。情報収集って、とてもクリエイティブな作業なのだと思います。
今回は、「情報収集のマイルール」から、旅の魅力を掘り下げてみます。
本と旅は、表裏一体
私にとって旅の入り口は、本であることがよくあります。
すでに決まっている旅の目的地を本で調べる時もあれば、心惹かれた本から旅の目的地を決める時もあります。本を手に取らずに旅に出たことは、これまで一度もありません。
こんなにSNSが発達しているのに、本で調べるなんて非効率じゃない?
そう思われる方もいるかもしれません。でも、本を読まないことには出会えない景色があるように思います。SNSで検索できるのは、「ローマのおいしいピザ屋さん」や「フィンランドで人気のセカンドハンドショップ」といった、すでに自分の頭の中にあるキーワード関連がほとんど。全く想像もつかないような、新しい情報に出会う機会はどうしても限定されてしまいます。異国の地の文化や暮らしぶりは、「いいね」がたくさん押されている場所に行くだけでは分かりません。
最近は本に加えて、旅の情報収集にnoteを活用する機会も増えました。
現地に暮らす人のリアルな話や、旅で得た等身大の学びが綴られているので、とても参考になります。あるキーワードをGoogleやSafariで検索してみると、トップページにnoteがヒットする機会も少なくありません。とても素敵なタイトルが付けられていると、ついつい読んでしまいます。そして、すっごくおもしろい。
詳しく調べるのではなく、頭の引き出しにない情報を手に入れるなら、書き手の人生観が詰まった文章に触れるのが一番です。だから、本と旅はセットだし、これからはnoteも旅の有力なツールになるかもしれないな、と思っています。
調べるけど、調べない
事前に情報を集めるのは大事なことですが、詳しく調べすぎないというもの、旅を楽しくするために大事なことだと思っています。矛盾するように聞こえるかもしれませんが、調べすぎたり、準備しすぎたりすると、「無計画な行動へのギフト」がなくなってしまうからです。
現地に暮らす人が「ここのシナモンロールがおいしかった」とnoteに書いていたら、Googleマップにピンを立てはしますが、それ以上は調べません。タイミングが合えば寄ってみたいし、食べてみたいけれど、行く場所や会う人を決めると、それが目的になってしまいます。「何かを掴んで帰ってくる」という旅の醍醐味がなくなるは、どうしても嫌なのです。情報収集や準備をする目的は、旅の栞をつくることではなく、想像力を広げるため。知らないことは想像できないので、まずは調べてみて、想像力を広げるのです。
そうすると、出会えなかったはずの景色に出会えるようになります。
ガチガチに計画を立てていないから、しっかり「無計画な行動へのギフト」も受け取れる。私にとっては、このバランスがとっても重要です。
以前にこのnoteでも触れましたが、私は「現地現物」を大切にしています。
「自分の目で見たものがすべて」という意味で、誰かが言っていたことではなく、自分の目で見て、心で感じて理解したことに価値があるということです。みんなが「いい」と言っている場所に行って、みんなが勧めるルートを歩いて、みんなと同じような経験をしても、つまらない。参考にするのはいいけれど、決めるのは自分だし、自分で決めるから学びが得られるはずです。
栞のない旅は非効率に思えるかもしれませんが、興味を持たれた方はぜひ実践してみてください。
空の上の特別な時間
最後に、私なりの「帰路の楽しみ方」を紹介させてください。
旅立つ前の情報収集に本を利用していると言いましたが、私は旅の帰路でも本を読みます。目的地に向かう飛行機の中では、まだ現地の空気を知らないので、文章から異国の地を想像することしかできません。
でも、帰りの飛行機では、答え合わせができる。
異国の地の文化や空気を経験した状態で本を読むと、得られた学びの深さが何倍にも膨れ上がります。旅に出る前の自分と、旅に出た後の自分の変化に気付けるし、経験を踏まえて、著者と対話ができるようにもなる感覚を得られます。「私はこう思ったけど、著者の方にはこんな世界が見えていたんだ」って。日本でもなく、旅先でもなく、まっさらな空の上で思考を深める時間は、旅をした人だけが得られる特別な贅沢です。
よく「旅は人を成長させる」といいますが、本当にその通りだと思います。
年末年始に旅行を計画している人も多いと思いますが、よければ私が考える「旅の醍醐味」をエッセンスとして加えてみてください。その感想は、ぜひnoteに。そうしてnote上で、旅の循環ができていくと、嬉しいなと思います。
(編集サポート:泉秀一、小原光史、バナーデザイン:3KG 佐々木信)