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SHIROが始める「REUSE SHIFT」ってなに?


業界の垣根を越える

日に日に激しくなる異常気象や、止まらない自然災害。
環境問題は、日々深刻化しています。各国がカーボンニュートラルを目指すなどして対策をしていますが、実現には地球に暮らす一人ひとりの努力が必要不可欠です。SHIROも美しい地球を後世に残すために、これまでにいくつかのプロジェクトを立ち上げてきました。でも、SHIROが関与できるのは地球環境のほんの一部で、どれだけ頑張ったところで気候変動へのインパクトは軽微です。
 
そこで発表したのが、「REUSE SHIFT」です。
この「REUSE SHIFT」はSHIROだけの取り組みではなく、社会全体を巻き込んでいくもの。捨てない社会の実現を目指す循環商社のECOMMITさんと共同で立ち上げたプロジェクトで、業界・企業の垣根を超えて、循環社会を目指します。
 
「REUSE SHIFT」に参画する企業は、自社でどんなリユースの活動ができるかを考え、実践していくもの。SHIROは1stチャレンジャーとして、全国のSHIRO直営店舗で使用済みガラス容器、衣類を回収してリユースするための実証試験を行います。ブルーボトルコーヒーさんも、これらの活動に共感と協力の姿勢を示し、「REUSE SHIFT」に参画しています。
 
取り組みはすでに始まっていて、目標は使用済みガラス容器1万本と衣類3万着の回収。年内には回収した容器や衣類などを販売するPOP UP STOREを開催する予定です。

回収活動に参加してくださったSHIRO Membership Programの会員の方には、製品購入に使っていただける共通クーポンやSHIROのアイテムをお配りします。共通クーポンは、SHIROでもブルーボトルコーヒー、どちらのお店でもお使いいただけます。

リユースだから「良い」

プロジェクトの背景には、ヨーロッパの旅から得た気づきがあります。
 以前お伝えしたイタリアの「プロジェッタツィオーネ(Progettazione)」という考え方をお伝えしました。英語の「Design」と似た意味を持つのですが、企業が利益を追求するための「デザイン」とは異なり、社会性のある創造活動や、市民全般への教育を使命とすることなど、倫理性に富んでいることが特徴です。
 
プロジェッタツィオーネが浸透するイタリアの人たちは、つくる背景やプロセスを重視する、「アウトプットだけではないものづくり」をしています。私は環境問題が深刻化する今、この考えを広く取り入れるべきなのではないかと考えるようになりました。
 
そして、フィンランドで学んだ、自然とサステナブルな選択をする仕組み。
フィンランドには、空き瓶や空き缶、ペットボトルなど、資源に変わるゴミを回収すると、それがお金に変わる「Pantti(パンッティ)」というシステムが存在します。回収機に入れさえすれば缶や瓶の代金が返ってくるので、街中でポイ捨てがあったとしても、誰かが自主的に拾う仕組みができており、リサイクルやリユースが当たり前の文化になっています。
 
さらに、フィンランドには「セカンドハンドショップ」がたくさんあります。いわゆるリユースショップなのですが、自分に似合わなくなってしまったり、持て余してしまったりしたアイテムを誰かに譲るという意識が強いのです。お小遣い稼ぎを目的とするのではなく、大切に使っていたモノを他の誰かにも使ってほしいという想いが、リユース文化の醸成を後押ししています。これは、日本も見習うべき文化です。
 
ヨーロッパを旅して見つけたヒントを重ねていくと、私たちがやるべきアクションが見えてきました。ものづくりの考え方を変えていくべきだし、なんでもかんでも新しくつくれば良いというマインドを改めないといけない。そのためにできることはなんでもやりたいので、自社製品からできることだけでなく、衣類の回収・販売という、事業の枠を超えたチャレンジをすることにもしました。
 
実は最近、よくリユースの服を着ていますこれまでセカンドハンドのアイテムを使うことはあまりありませんでしたが、実際に購入して着てみると、新品を買ったときには感じられなかった感情に出会えました。前の所有者は、どんな想いで購入して、どんな場所で着て、どんな気持ちになったのか…。誰が着ていた服かは分からないけれど、過去の思い出を引き継げると思うと、“中古品を履いている”という気持ちにはならず、なんだかうれしくなります。
 
提案するなら、まずは自分から。
そして、私が感じた想いを、みんなに伝えていきたいと思っています。

未来への「種まき」をする

リユースへのマインドを変えていく一歩として、先日みんなの工場で「リユースファッションショー」を開催しました。すでにモノとして価値がある衣類を二次流通させる仕組みは存在しています。ブランド品やヴィンテージの衣類などは高額で取引されます。
 
一方、私たちは、捨てられるしか道がなかった衣類に光を当てていきたいと考えています。私たちだからこそ与えられる付加価値をつけて、「次の人の手に渡る」という連鎖を起こしていくことが、ファッションショーを開催した目的です。ファッションショーで使用したすべての服は、一度は不要とされた衣類たち。ECOMMITの循環センターへ出向き、SHIROのビジュアルスタイリングを担当する山口翔太郎さんが1点、1点ピックアップしてくれました。
 
メイクアップは2024年のホリデーシーズンに発売予定であるSHIROのアイシャドウパレットを使っています。ランウェイにはプロのモデルさんだけでなく、工場で働くスタッフやSHIROの店舗設計を担当する小倉寛之さん、ECOMMITの代表取締役CEOの川野輝之さん、そして弊社代表取締役社長の福永敬弘も登場。本気でつくりあげたショーの日、のべ3,300名以上の方々がみんなの工場に訪れてくださいました。
 
私たちのファッションショーでは、モデルたちがランウェイを歩く「表」だけではなく、メイクや着替え、BGMや照明、モデル合図を出す隠れた多くのスタッフさんの「裏」も見せることにしました。こうしてファッションショーを開こうと決めたのは、華やかなだけではない仕事の裏側を、ちゃんと知って欲しかったから。特に子どもたちが見ることで、きっといつか何かの役にたつと信じています。
 
10年後かもしれないし、20年後になるかもしれないけれど、「あのときみた、あの光景」の意味を理解すると、それが社会を変えていくアクションにつながっていくように思います。誰かが私に種をまいてくれたように、私も未来につながる種をまいていく。SHIROのファッションションショーには、そんな意味も込められています。

できることから、始めていく

SHIROを1stチャレンジャーとしてスタートした「REUSE SHIFT」では、これからたくさんのプロジェクトが実行されていく予定です。
 
現在はブルーボトルコーヒーさんと協働していて、自社のトートバッグだけでなく、SHIROの使用済みガラス容器や衣類の回収に協力していただいています。コーヒーのリユースは難しくとも、こうして取り組みの輪を広げていけば、「REUSE SHIFT」のスローガンである“一社では起こせない変化を、共に”を実現していくことができる。LINEヤフーさんや三井不動産レジデンシャルさんも参加を表明していただいているので、これからどのような取り組みが広がっていくのか、今から楽しみです。
 
環境問題は地球全体で取り組んでいくべき大きなイシューですが、企業規模や上場企業という制約上、それが難しいケースがあるのも事実です。どの企業も機動的に動けるわけではなく、気持ちはあるけれど、なかなかできていない、という状況も生じます。
 
だから、ペースはそれぞれでいい。
できることから、始めていけばいいと思うのです。
大切なのは、どの企業も等身大で“ポーズではない、本当のアクション”を実施していくこと。やっているフリだけでは、世の中は変わらないからです。
 
SHIROはこれからも、そうした本当のアクションを続ける企業でありたいと思っています。

(編集サポート:泉秀一、小原光史、バナーデザイン:3KG 佐々木信) 


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