気候変動でSHIROの「がごめ昆布化粧水」がピンチです
がごめ昆布が、採れなくなる
今年の夏はいつにも増して暑く、そして長かった。
私が子どものころは、夏場でも公園で大はしゃぎいました。
しかし、今年の夏の日中は、公園で遊ぶことなど考えられないほどの酷暑でした。地球温暖化や気候変動といった言葉は、もう単に耳にするだけのものではなく、肌身で感じるものへと深刻度が増してきました。
その脅威は、SHIROのビジネスにも影響を及ぼしています。
主力製品である「がごめ昆布」が、危機に陥っているのです。温暖化によって海の気温が下がらず、昆布がうまく生育しなかったことで、今年は従来の3分の1の量しか仕入れることができませんでした。
取り返しのつかないことはいつも、突然にやってくるものです。
いつか、がごめ昆布を使った製品を、提供できない日がくるかもしれない。それくらいの危機感を覚えました。
今回のテーマは「がごめ昆布の危機から、気候変動を考える」。がごめ昆布の収穫量が激減している現実から、私たちが暮らす地球について考えてみます。
無理をして、かき集めない
SHIROの歴史を語るうえで、がごめ昆布の存在は欠かせません。
捨てられていた昆布を使った化粧水や美容液などは、SHIROを代表する製品。不漁だと聞いても、当初はなんとか例年同様の量を仕入れられないかと考えていました。お客様のことを考えると、製品をお届けできなくなるのはとても残念なことですし、経営の観点からいえば、売り上げにも大きな打撃です。計画通りに製品を販売できなければ、他のプロジェクトに影響が及ぶ可能性も否定できません。
それでも最終的に、無理をして仕入れを増やすことはしませんでした。
環境は刻々と変化していますが、この悲惨な状況を招いたのは私たち人間。環境問題を食い止めるには、現状を受け入れることから始めなければいけないと思ったからです。
たしかに売り上げは大切だけれど、その数字をつくるために会社を経営しているわけではありません。むしろ、「がごめ昆布がない」という事実を丁寧にお伝えしていくことをきっかけに、誰かの行動が変わることに繋がれば良いと思うようになりました。ないものを必死にかき集めるのではなく、あるものを使って製品をつくる方向性にシフトしたのです。
不思議なもので、発想を転換するとポジティブなニュースが飛び込んできました。北海道十勝地方の最南端に位置する広尾町で、大量の日高昆布が打ち上げられて、捨てられているというのです。私は「放てば手に満てり」という言葉が好きなのですが、まさに手放した途端に、新しい出会いが訪れました。
現在は、日高昆布の製品化に向けて、一生懸命に試作をしている段階です。
まだ製品化できるかはわかりませんが、私はわくわくしています。現地現物の精神で素材に出会い、新たな可能性を探究していく姿勢は、まさにSHIROらしい行為。結果的に製品にならなかったとしても、それでもいい。お金も労力もかかるけれど、それが未来の地球に貢献できる可能性があるなら、挑戦を諦めたくないと思っています。
ピーマンが秋野菜に?
日高昆布で製品を開発できれば、ブランドとしての課題をひとつ乗り越えることができます。でも、それはあくまでSHIROの足元の課題が解決したに過ぎません。がごめ昆布が採れないという問題そのものは変わっておらず、そうした自然環境になってしまったことは、看過できるものではありません。
気候変動は、何年も前からニュースで問題視されてきました。
日本では「地球温暖化」という言葉で取り上げられてきましたが、気温が上昇しているとか、北極の氷が溶けているとか、そういった話を耳にしたことがない人はいないはずです。一方で、そうした情報に触れて、自身の行動変化につなげたという人はどれほどいたのでしょうか。私も、気候変動が起きているという事実を知りながらも、当事者意識を持って行動を改めるまでには時間がかかりました。どこか遠い国の気温が上がろうと、自分の暮らしに変化は感じられず、どうすればいいのかわからなかったのです。
もう今は「どこか遠い国の話」ではありません。
日本は四季の変化が美しい国といわれてきましたが、春と秋が極端に短くなり、夏と冬の二季といってもおかしくないくらいの変わりようです。私は家庭菜園をしているのですが、9月になってからピーマンがぐんぐん成長していて驚きました。例年は秋に向かって枯れ始める野菜たちが、まだまだ元気に成長してしまうほど、地球環境は変化しているのです。
一人が行動を変えても、ひとつの会社が行動を変えても、社会は変わらないかもしれません。でも、誰か一人の行動が、違う一人の行動を変えることはできます。その連鎖が続いていけば、いずれ社会が変わり、環境問題の深刻化を食い止めることだってできるはずです。
SHIROを愛してくださる皆さんは、私たちの気持ちを受け取ってくださる方だと信じています。これからも一緒に、豊かな地球を未来に残していく仲間であれたら嬉しいです。
見えるものしか見えない
私は問題について語るとき、あえて小さなスケールで話すようにしています。世界でゴミが何百トンも捨てられている話より、最近実践しているリユース習慣を話したほうが、リアルに想像できるからです。
なにかを伝えるときに大切なのは、等身大であること。
見えない世界を想像できるほど、人間という生き物は万能ではないように思います。同時に、身近な人の小さな心がけで、意識と行動を変えられる柔軟な生き物でもあります。だからこそ、一人ひとりが感じている小さな変化、そこから生まれる不安などを、もっと広く共有されれば良いのに、と思うことがあるのです。
このnoteの読者の皆さんが、配信を続けているTABI SHIROというPodcastのリスナーさんの「気候変動による生活のちょっとした変化」「自分が気をつけていること」を教えていただけると嬉しいです。私にとってのピーマンや、SHIROにとっての「がごめ昆布」を、皆さんの視点から教えていただきたいです。
配信を続けているTABI SHIROというPodcastのリスナーさんへ「気候変動による生活のちょっとした変化」「自分が気をつけていること」を教えてくださいと、お伝えしています。私にとってのピーマンや、SHIROにとっての「がごめ昆布」を、このnoteの読者の皆さんの視点からも教えていただきたいです。
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すっかり慣れてしまったけど、子どものころとは違う風景はありませんか?
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(編集サポート:泉秀一、小原光史、バナーデザイン:3KG 佐々木信)