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あなたは他人、仲の良い他人

「仲の良い他人……?」と友達がいい、笑いながらも納得した。仲の良い他人だ。まったくの他人であるということから始まり、それでもお互いが気にかけ、下世話な話をし、休日の時間を手羽先に費やす。他人でありながら他人事ではない。他人なのに深く話して時間を使う。最高にしっくりきた。


僕は友達が少ない。なかなか友達と遊ばない。むしろ最近は、パートナーの友達と遊ぶことが増えている。

パートナーは女性。男性があまり好きではない。「なんで男っているの?」と僕をまっすぐみて聞いてくるので「さあ……」と答える。

したがってパートナーの友達の男女比は、男:女=1:9くらい。その「男」たちも信頼できる素敵な方々で、僕ももれなくごはんをご馳走していただいたり一緒にライブに行ったりしている。なんだかありがたいなあと思う。

その日は、高校からのお友達と、大学で知り合ったお友達、パートナーの3人で京都・河原町にて手羽先を堪能するらしかった。大学でのお友達は、名古屋の手羽先がとにかく好きらしい。

お昼から集合とのことで、僕も河原町でパートナーと2人で昼食をいただく。その後僕らは解散、の予定だった。でも結局パートナーのお友達2人が、僕らがランチを取っているお店を特定し、隣の席にやってきてくれた。

人生で初めて食べるガレット

その日はお昼を食べてバイバイして、スーパーに行き洗濯を済ませ、専業主夫の顔をしてのんびり過ごそうと決めていた。でもなかなか「帰るね」と言い出す気が起こらないし、お友達たちも「次のお店も来るやんな?」と詰めてくれた。おかげで、ちょっと散歩してカフェでコーヒーを味わうことができている。

特別コミュ力があるわけではなく、これまで「モテ」とは対照的な生き方をしてきた。でも姉・妹にサンドイッチされ、家に帰れば専業主婦の母がいる。女の人に囲まれて生きてきたせいか、女性トークはどこか男性とは違う居心地の良さを感じる。

考えるペースとか、聞いてて楽しい話が、女性に近いのかもしれない。明確な性差があるのかと言われればわからないし、あまり男女の区別をつけて話すのは遠慮したい。でもお友達からは「りょーちゃんは半分女の子」と言われているので、実際女子っぽいところはあるんだろうなと思う。

インダストリアルな道具、やっぱり好き

カフェを出て、一駅となりのコメダ珈琲にひとりで寄り道する。前日も利用していて、忘れ物をしていた。その日の夜に電話で「おぱんちゅうさぎのコースター2枚置いてきちゃって……」っていったら「あー!あの方ね!!」と丁寧な三人称と勢い強めの声で返された。

夕方、17:45。こんなに日が長くなったのに、地表はぜんぜんあったまらない。2月に一度はっきりと春を見せつけられたうえで、3月になっても手袋が外せない。

彦根に住んでいたときは琵琶湖まですぐに行けたので、何の障害物もなくだだっぴろい夕焼け空を独り占めできていた。それとはぜんぜん違う街並みだけど、建物のコントラストが入り込む夕焼けもまたきれい。人間がせっせと生きている場所と、そんなちっぽけなことはお構いなしに沈んでいく太陽、オレンジ色に変わっていく空。

四条通りを西に歩く

電車で河原町駅に戻ると、パートナーたち3人は先にお店に入っていた。まだお店はそんなに混んでいない。座ってジンジャーエールを頼むと、飲み物と一緒に手羽先がたくさん運ばれてきた。

味付けが濃い。こんなに胡椒をまぶして人類耐えきれるのかと気弱な心配をした。でも大層美味い。塩分過多だ〜と言いながら手が止まらない。自分の意志はどこなのか。食いたいのか胡椒を洗い流したいのか。

パートナーたち3人は、大学時代おなじサークルに入っていた。だからまったく知らない名前の人にまつわる、まったく知らないエピソードがいっぱい出てくる。でも聞いているのは楽しい。

なんで僕らはここで手羽先を食っているんだ、と思う。知り合って仲良くなって、でもお互い知らない面も多い。共通の過去があるわけでもない。接点はただひとつ、「パートナーの友達だから」だけである。

だから僕らは何なんだ、という話になった。友達?友達ではあるけど、なんかポジションがしっくりこない。友達以上?その表現は違う意味が含まれる。

「仲の良い他人……?」と友達がいい、笑いながらも納得した。仲の良い他人だ。まったくの他人であるということから始まり、それでもお互いが気にかけ、下世話な話をし、休日の時間を手羽先に費やす。他人でありながら他人事ではない。他人なのに深く話して時間を使う。最高にしっくりきた。

やっぱり楽しい。3月後半には一緒にピクニックする予定まである。それがいい。キャバクラよりもクラブよりも、休日の昼間に公園で食うサンドイッチがいい。いまの僕にはそれがいい。


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イメージ
・元気づける
・希望に満ちた
・活気のある

引用:Laura Perryman 「The Color Bible」

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