普通になりたい
普通になりたかった
みんなと同じ生活がしたかった
ずっと私は普通になりたかった
5年前、以前勤めていた会社が連勤続きで休みはまともに取れないし夜勤と日勤の繰り返しで昼も夜もわからないしと相当ハードで体と心を壊して辞めた
摂食障害と躁鬱だった
最初に異変を感じたのは、忙しくて最近痩せたなと思った時。気がついたら体重が10キロ減っていた
思い返せば仕事の忙しさを言い訳にして食事を疎かにしていたかもしれない
いいキッカケだしダイエットでもするか、初めはこんな軽い気持ちだった
そこから段々と「食事」に対して恐怖心を抱くようになり、体重を減らすことに執着していった
あの頃の私は化け物だったと思う
体重の増減に囚われ、増えていたらパニックになり減っていたら安堵し、体重こそが私の全てだった
ある日は鏡に映る自分の姿が醜く思え、家中の鏡を泣き叫びながら割った
ある日は少し増えていた体重に怯え、家中の食べ物をゴミ袋に詰めて捨てた
ある日は少しでも体重を減らそうと、職場から家まで2時間かけて歩いた
どんどんと痩せ細り、浴槽に骨が当たり激痛を覚え
布団の厚さじゃ体を休めることができず眠れない日々が続き
日に日に食べられるものが少なくなり
食べれたと思ったら吐き出し
毎日規定量の数倍の下剤を飲み
トイレに行っては体重を測り
薄くなる腹と骨になる手足を眺めてはまだ太いまだ太いと毎日泣いていた
1番調子が悪く体重も少なかった時期の記憶は曖昧だ
記憶しておく体力も脳の気力もなかったんだと思う
母はもう2度とあの頃には戻りたくない、と言う
きっと緩やかに死に向かう娘を見ていた母の方が何万倍も辛かったんだろう
5年かけて入院や通院により摂食障害は完全に治ったと思っていた
なんでも食べれるし、美味しいと感じることができる
食事を楽しむことが再び出来たんだ
やっと私は普通に近づけたと思っていた
病が再び襲ったのは先月
夕飯を食べていたら急に「私ってなんでご飯食べているんだろう」という考えが頭に浮かんだ
食べ物が体内に入っていることが気持ち悪くて全て吐き出した
この日からまた歯車が狂いだしたのだ
1日500カロリーほどの食事を摂り
それでも時と場合によっては吐き出す
酷い時は3食全部吐いてしまう時もある
また化け物になってしまった
家族に隠れて毎日体重を測り
増減に一喜一憂しては絶食と嘔吐を繰り返す
友人と外食しても頭にあるのは体重のことばかり
一体私が何をしたと言うのか
どこで何を間違えたんだろうか
何がダメだったんだろうか
なぜこんな人生を送ることになってしまったんだろうか
眠れない夜に死にたいと思い1人泣き
朝が来るとまた生きながらえてしまったと罪悪感に押し潰され
1日の終わりに無力な自分を恥じ
また夜の闇に怯えて過ごす
もう疲れた
こんな日々はたくさんだ
早く終わりにしたい
普通になりたいだけなんだ