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任天堂デザインの輪郭 / UI Crunch #13 娯楽のUI イベントレポート

こんにちは、スワンです( 'ω')

noteではしばらくご無沙汰してたのですが、今回激戦を極めた「UI Crunch #13  娯楽のUI」に奇跡的にnoteレポート枠で受かったので、花金に早々に仕事を切り上げてご機嫌でイベントに行ってきました。

噂によると倍率40倍近くだったそうで「全盛期の東京芸術大学の受験倍率かよ」って突っ込みたくなりました(笑)ありがたい機会をゲットしたとともにいけなかった方々にこの興奮を還元するべくゴリっとイベントレポートをまとめてみようと思います。

前がき

私事ですが、ちょうどこの春で働く環境が変わり、株式会社メルペイでデザイナーとして働くことになりました。社会人になって初めての、自分を取り巻く「場所」や「人」が大きく変わる体験。そしたら、まだ働き始めて本当に間もないのだけど「場所が変わるとこんなにも入ってくる情報の種類が変わってくるんだな〜」という予想外の驚きがありました。

やっぱり会社やコミュニティによってそれぞれ形成された文化があって、それに合う人が自然と集まってくるから、必然的に近くにある「常識」や「考え方」や「行動」が色濃く見えて、自然と自分の中に溜まっていくものなんだと思います。どれも素晴らしいし楽しいしんだけど、やっぱりデザイナーは複数の場所から情報を拾ってこないと「無意識に凝り固まる」方向に自分自身で向かってしまう素直さ、表裏一体の危うさがあるなあと痛感しました。まあ今いる場所から出ろって話ではなくて、どこにいても自主的に進んで外に足運べよって話ではあるのですが(笑)

それはさておき、今回はなかなか表に出てこない任天堂さんのUIデザイナーの方々のお話が直接聞けるということで「どんな環境なんだろう」「どんなことを考えて仕事をしているんだろう」「どこが私たちと違うんだろう」という、隣のマンションのお姉さんに恋心を募らせるような気持ちで出向いたわけですが(決して変態ではない)改めて、任天堂の「デザインの輪郭」がひしひしと、リアルに垣間見れるような会だったなあと思います。

ということで今回は「時系列」のイベントレポートではなく、このイベントを通して見えた「任天堂デザインの輪郭」を紐解くまとめ方をしてみようと思います。自分が時系列で書くと、どうにもこうにも箇条書きになっちゃうので(笑)

どうぞお付き合いください。

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目次

1. 任天堂のデザインを取り巻く組織環境

1-1. UIデザイナーは全社で30人
1-2. 「初めて」を大切にする新人育成
1-3. 「ラフで当てる」文化
1-4. 他職種との付き合い方

2.任天堂デザインの考え方

2-1. 「娯楽脳」と「UI脳」
2-2. 「つまらない」を「娯楽」に変換する
2-3. オーディエンスまで含めて「お客様」

3.任天堂デザインの作り方

3-1. らしさの追求
3-2. 言葉からイメージする
3-3. 比較し続けるデザイン
3-4. フォントや形
3-5. 色彩設計

4.任天堂と社会性

4-1. 娯楽と社会課題
4-2. ゲームと生活と家族
4-3. 任天堂のユーザー調査
4-4.「安全」の考え方

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1.任天堂のデザインを取り巻く組織環境

1-1. UIデザイナーは全社で30人

これを最初に聞いたときは「え、うそん」という驚愕半分、どれほどの精鋭のみが集まっているのかというワクワクが半分というなんとも言えない不思議な気持ちでした(笑)

ただひと口にデザイナーといってもUIに留まらず「グラフィックデザイン」「3Dデザイン」「レベルデザイン」などなど相当数のクリエイターが相まって1つの作品を作り上げているとは思うので本当の総数はもっと多いのだと思うのですが、それにしても想像してたよりずっと少なかったです。いい意味で裏切られた。

ちなみに私とわたしの妹も寝食を捨てそうになってまで夢中になった「スプラトゥーン」のUIを担当されたのは「ベテランデザイナー」+「新人デザイナー」の2名体制だったそう。これまた少ない!と思ってしまうのは私だけだろうか。うち登壇していた橘 磨理子さんが当時2年目でまさに立ち上げ担当だったとのことで、合わせて若手の抜擢やベテランの先輩とセットでゴリっと現場で育てていく環境があるのだなと感じました。


1-2. 「初めて」を大切にする新人育成

そんな少数精鋭の中でやっている話を聞くとつい「入社したら即戦力」「現場で全て叩き込む」ようなことになりそうだなとつい想像してしまうのですが、トークの要所要所で「デザイナーの育て方」について触れる機会が度々あって「あ、育成をすごく意識されてるんだな」というのが感じられました。

中でも印象深かったのは「新人の初体験」をすごく意識されているということ。「お客様の体験」を大切にしている任天堂だからこそというか、「新人という体験」もすごく丁寧に扱っている印象がありました。

・教える事より体感してもらう事
・初めての体験は貴重
・体験はやっぱりおもしろく

UI/UXデザインチーフの正木 義文さんの三か条。お客様に届けるゲーム体験の話でもありつつ、その考えを丸ごと社員の育成にも適応していました。

具体的な例で上がっていたのは、「UIとは何か?」というクイズ。

「アハ体験」とでもいうのか(笑)

最初だからこそ、概念として伝えるのではなく「UIが悪いとクイズにもならないよね〜笑」という想定外のオチで「強烈に体感する」取り組み。こんな研修だったら楽しすぎて絶対UI大好きになる。

新人デザイナーが「UIを初めて設計するとき」に「UIがどれだけ重要で面白いものかを一発で体感させる」こと。それを与えられるかどうかでその後の相手の「意識」「学習意欲」にとてつもない大きな変化がある。声のでかい新人の鼻をへし折るものいいけど、やっぱり「え、UIってやっぱ超面白いじゃん!」っていう1度しかない実践体験を惜しげなく新人に与えているんだなという人間性を大切にした文化と、懐の深さを感じました。こんな大人にわたしもなりたい。


1-3. 「ラフで当てる」文化

これは事業会社や制作会社でもよく聞く文化ではあると思いますが、任天堂でもやはり「3割」「6割」でいいからどんどん当てろという文化があるそうです。開発が忙しくなればなるほど、8割で持って行った案が吹っ飛んだ時のロスがでかすぎるので、イラストでも、アイコンでもいろんな人に当てていく。

aセットで周りが「途中で当てていい、むしろ当ててくれ!」という意識を日頃からされてそうな雰囲気を感じました。こういう文化って頭ではわかっていても、なかなか実践になると気づいたら7割でしたみたいなオチもあるので周りが口すっぱく伝えて浸透させてるのだなと思いました。


1-4. 他職種との付き合い方

今回橘 磨理子さんのスプラトゥーンの開発のテーマ中に一瞬ちらっと出てきた「UIデザイナー」と「3Dデザイナー」の関わり方についてなるほどなと感心する部分がありました。

ゲームなどのUI画面はUI部品以外のものがたくさんあり、その中でもUIに影響を強く出すのが「3Dの背景」。スプラトゥーンやったことある人ならわかると思うんだけど、背景の作り込みがものすごく凝っていて街の壁紙見てるだけでいろんな隠しストーリーが隠れてたりしてここだけでもすごく楽しめる要素の1つ。

そんな3D担当の方が丹精込めて作ってくれた「イカした背景」がUIを乗っけた時に予想外にくどかったり、情報過多になってしまう時がある。そんな時は「背景は最高に素敵なんだけど、お客様に伝える情報の総量を考えてここのポスターを剥がしてほしい」といったコミュニケーションをとるそう。一歩間違えると喧嘩が起きそうなやり取りに見えるけど「お客様」を第一に考えているからこそ、そこに対する共通認識があるからこそ譲り合える文化だなと感じました。

ちなみにゲームだとカスタマイズやショップなどの時の「UIが主役」のシーンと、バトル中のような「3Dが主役」になるシーンの2パターンがよくあるので、お互いに相手のメインの時に精一杯「影の立役者になる」信頼関係ができてるように感じました。


2.任天堂デザインの考え方

2-1. 「娯楽脳」と「UI脳」

UIデザイナーというと「設計!」「ロジック!」とついつい堅苦しい方にガチガチに固めてしまいそうなところもありますが、ゲームを提供している任天堂だからこそ「使いやすくても面白くなければ意味がない」ということに真っ向からデザイナーが向き合っていました。そこで任天堂で意識しているのは「娯楽脳」と「UI脳」のバランス。

「UI脳のみだとアイディアが制限される」
「娯楽脳のみだとアイディアが溺れていく」

まさに自分のこと突っ込まれているようで耳が痛いと同時に、目からウロコでした。私はちなみに「娯楽」が足りないタイプで、卒なくデザインしがちだと先輩に指摘されたことが何度かあるので腑に落ちすぎてのたうちまわりたかった(笑)

例えば日頃から「時間がないから子供に急いで歩いてほしい」という目的に対して「ドアまで競争だ!」と相手が娯楽のように楽しめる手段を発想し、選び取る努力と姿勢は本当にすごいとしか言いようがなかった。


2-2. 「つまらない」を「娯楽」に変換する

その「娯楽脳」をフルに生かしたのが「マリオメーカー」のチュートリアル。自分自身もCMSをユーザーにカスタマイズしてもらうサービスをデザインしたことがあるから体感として共感できることが多かったのだけど、ついつい「UI脳」で考えると「どこまで仕様を減らすか」「ユーザーに触らせる領域を減らすか」みたいな議論に集約しがちになり、マイナーな機能ほど削られていく。マリオのステージを作るという仕様は「はてなブロック」ひとつをとってみても「アイテムを入れたり」「置いたり」「組み合わせたり」と想像するだけで高機能でかつ多機能で、どこまで説明していいのか果てしなそうに感じる。

そこでマリオメーカーではできることは多いままに(だってその方が楽しいから!)チュートリアルというお客様が面倒がって避けたくなるものを「娯楽に変えられないか?」という視点で仕様を考えていく。

結果、機能は「発見してもらうもの」として設計し、学びながら体験してもらうようになっている。例えばクリボーを手に取った時に、場所によって様々な「レスポンス」を散りばめることによって「機能が多すぎてわからない!」から「こんなこともできるんだ!」っていうストレスをまさに娯楽という喜びに変える。

またネガティブなレスポンスも同じように設計されていて「スーパーキノコでクリボーをでかくする」という機能に対して、これ以上でかくできなくなった段階で「キノコを与えると一度は大きくなるけど吐き出させる」という本来「できない」というネガティブなレスポンスにも遊び心が加えられていて、本当に丁寧に設計されてるなーと思った。


2-3. オーディエンスまで含めて「お客様」

将棋3席、麻雀5席。

お恥ずかしいことに、どちらもまともにプレイしたことがないので一瞬「?」になりましたが、これは「本来プレーヤとして参加する人数+1人」という例え。ようはゲームはプレイヤーだけでなく「周りのオーディエンスまで楽しめるように設計する」ということ。やばすぎるぜ任天堂...(笑)

具体例としては「マリオメーカー」のチュートリアル部分に「大きな手」を入れて、見ている側にも体感できるような工夫を取り入れてるそう。娯楽を取り巻く環境も含めて娯楽にしていく、それが娯楽が面白くなり引き継がれていく大切な考え方だという、嗚呼、任天堂魂。


3.任天堂デザインの作り方

3-1. らしさの追求

トークを全体を通して、任天堂はゲームの「らしさ」を出していくことにとても比重をかけているように感じました。まずは一般的な概念の「らしさ」から始まって、そこを徹底的に突き詰めていくとその「ゲームらしさ」。つまり個性が顔を覗かせる。

私たちも普段デザインするときに「女性らしさ」や「華やかさ」、「信頼感のある感じ」などらしい方向性を模索することは少なくないけれど、その先にある、サービスの顔になる「らしさ」まで落とし込むのは以外にも難しいし手前で止まってしまうことが多いようにも思います。それは最終的にはブランディングやアイコニックに通ずるものがあって、その原点として初期の言葉の「らしさ」を最初から意識してデザインされている感じがした。


3-2. 言葉からイメージする

言葉からの連想でゲームのらしさ創りに入ることも多いそうで、スプラトゥーンの場合でいうと言葉、つまりキーワードはスバリ。

「スポーツ」+「イカ」

イカは、確かに見ればそのままわかるのですが(笑)そこにスポーツを加えているのはなるほど、とすごい納得感がありました。あの色彩感や波打つ躍動感みたいなのは「ゲーム」というより「スポーツ」という競技のイメージからにじみ出ているんだなあと思って、日頃のプレイ画面を見返したくなりました。そこからさらにサブキーワードを洗い出して、実際に具体的なデザインに落としていきます。


3-3. 比較し続けるデザイン

ここで1つのテクニックとして「既存のデザインと比較し続ける」というものがありました。らしさを求めたらそのまま0→1を生み出すのかと思いきや、様々なデザインをするときに「マリオのデザインと比較する」作業を繰り返していました。その理由は、今回はタイトルとしてもクリエイティブとしても任天堂の新たな「新鮮さ」を出すことが必須の要件だったからです。

多分、言葉を変えると「今までの任天堂っぽくない」新しさみたいなのが、今回のチャレンジポイントだったのではないでしょうか。確かに言われてみれば、マリオシリーズには「マリオテニス」や「マリオゴルフ」といった具体的なスポーツゲームもあるし、イカだってよく考えれば初代ドット絵の頃からいる「ゲッソー」くんがいるわけで(笑)「新鮮さ」がなかったら多分「似たテイストのゲーム性が新しいもの」になっていたはずです。

そのためにも「スプラトゥーンらしくないもの」の象徴として、あえてマリオというめちゃくちゃシンボル化されたものにひとかけらでも近づかない、いい意味でのアンチパターンとして比較し続ける。これは自分たちがデザインするときにも頭の片隅に置いておきたいノウハウだなと思いました。


3-4. フォントや形

さて、マリオと比較しながら実際に形やフォントなどを決めていきます。

形は「言葉」から具体的に拾ってきて「液体っぽさ」「軟体」、スポーツを連想させる「太さ」「力強さ」など様々なキーワードを元に形を作っていきます。ぽいよ!もう、マリオと比べるとぽすぎて言葉にならないよ任天堂さん・・・!同じ太めのフォントなのに、比べてみるとどこまでもそれぞれ「らしさ」が出ていて本当にすごい。

ちなみにこのフォント、ゲームの初期構造の時に「しっくりくるフォントが見つからないなぁ」と思って、何を思ったことか作ることにしたそうです、まさに愛から生まれるドM精神(笑)ラフスケッチから始まって漢字以外は全て作り上げたそう、制作時間が約1ヶ月半と聞いて「UIデザイナー2人しかいないって言ってたのにどういうことだってばよ」状態でしたが、いいものに仕上げるためだったらこういうことにも柔軟に対応していく文化があるのでは、と思いました。震える。

さらに「白黒でもスプラトゥーンに見えるか」という厳しいらしさチェックがあり、白黒にしても情報設計できているかはウェブ業界でもよく使われる手段ですが「らしさ」までモノクロでも担保できるレベルまで仕上げるからこそ圧倒的な世界観に繋がっているんだなあと思いました。


3-5. 色彩設計

色の決め方についても、やはりマリオと比べて「らしさ」を決めていきます。マリオの世界は基本的に「黒」で影を表現していて、比較的「リアル」に近い色彩設計がされています。それに対し、スプラトゥーンには影を別の色相で表現する、黒がない「非現実的」な表現を用いて差別化をしています。イラストレーションの世界だと見かけたことはあったけれど、UIでも使えるのかという新しい発見でした。

こちらも形同様に、白黒で情報が正しく目立っているのかチェックしているそうです。この辺は私たちウェブ業界とも同じで親近感を覚えました。


4.任天堂と社会性

4-1. 娯楽と社会課題

一般的な「Webサービス」と「ゲーム」で1番違っているのは、娯楽は社会の何かを課題解決するものではないということです。課題を解決しないということは、言い換えれば娯楽そのものが社会の課題になりかねない危険性を孕んでいるということ。パチンコや競馬を代表する「ギャンブル」という1種のゲームも立派な娯楽ではある反面、金銭面の問題などで社会問題になっているテーマの1つです。

でも任天堂が目指すのはお客様の「笑顔」であり、「金を搾り取る」ことでも、「必要以上に時間を奪うこと」でもありません。という話を聞いてもう嗚呼、もう、任天堂さんそこまで考えちゃってるんですか言い切っちゃうんですか結婚して・・・!と脳内でアドレナリンがお漏らし状態だったんですが、本当、以外とビジネスにおける「社会性とのバランス」というのは十分すぎるくらい気をつけないと、つい目の前の金銭や短期的な成果に意識が持って行かれてしまったりしまうなあと思うこの頃。頭の中だけでなく、本当にこの辺を実践していけるかは提供する「側」にいるのであれば考えなければならないことだなあと、学生の時ぐらいには持っていたはずの「何か」を思い出させてくれた気がしました。


4-2. ゲームと生活と家族

その中でもとりわけ、ゲームという媒体を通して任天堂が関わる社会性は「家族」でした。今回それについて「みまもりSWITCHは誰のもの?」というテーマでUIのお話をしてくださったUI/UXデザイナーの藤野 洋右さん。

任天堂が出したスマホアプリ「みまもりSWITCH」は、「子供がSwitchで遊ぶ」ことに対し、保護者が「遊ぶ時間の設定や管理」や「SNSなどソーシャル投稿機能を制限する」ことができるものです。

当初は単なる「制限をかけられるただの機能制限アプリ」だったそうなのですが、考えれば考えるほどにとあるシーンが浮かんできたそうです。

コレジャナイ感。

そういった言葉で表現されていましたが、まさに「できればいい」訳ではなく、それによって「親子関係が悪化してしまう、ましてやその原因が娯楽ではあってならない」という確固たる新年が根付いていました。私たちの時代は「ACアダプターを没収される」とか「プレイ中にテレビの電源を落とされる」といったアナログな強制終了だったなあという思い出がありますが、確かに夕飯時になるとギスギスした気持ちでご飯を頬張っていたように思います(笑)

そこでゲームを通してプレイヤーある子供に「中で楽しんでもらう」一方、「ゲームの外の関係もサポートする」のが任天堂流、もうひっくり返りたいくらいかっこいい。果てしなくかっこいいよ任天堂さん。


4-3. 任天堂のユーザー調査

ゲームの外をデザインするために、まずはお子さんとゲームを取り巻く「家庭全体」を調査することからスタートしました。複数の家庭にご協力いただき、家族全員のライフスタイルや思考、お互いに抱える問題について洗い出していきました。普通だったらプレイするお子さんだけに止まりそうなところも、「家族」という集団とゲームが密接に関わるとわかっているからこそ全員を対象にテスト・調査してくのはまさに本質度直球だなと感じました。確かに、ゲームを買い与えるのは親御さんだし、それをプレイするのは子供だけどそれをさらに制限するのはまた親だったりと「プレイしている瞬間」にだけフォーカスしていたら見えてこなかった側面です。

結果、親が心配していることは実はゲームをしていること自体ではなく「何をしているのかわからない」といった漠然とした不安だったり、子供からしても「楽しさを知ってもらう機会がない」という負のスパイラルだったことがわかりました。まるで彼氏の男の趣味が理解できない彼女みたいですね(違う)そのためにキャッチーなゲームの画像を大きく入れて「面白そうだな」と親御さんがゲームに興味を持てるような工夫や、そこから「どんなゲームなの?」といった会話のコミュニケーションにまで繋げられるようにといった考案が生まれてきたそうです。

また家族という形態を軸にすると、日時表記よりも週表記の方が「習い事」や「土日」、「部活」などの習慣感覚に当てはめやすく、親子間で誤解が生まれにくいコミュニケーションにつながることもわかり、UIの設計のアクセントにもなっています。

また親子間で誤解が生まれるようなグラフの表現や、良い、悪いを押し付けないといった「評価」の仕組みなども取り除いていきました。アプリ上には強制的ににゲームを終了させられる「中断モード」はありますが、UI上ではかなり奥に設置されており、あくまでも「最終手段」としての役割でその以前に親子間の直接的なやり取りを促す仕組みでもあります。

本来の「監視」という目的のはずだったものが、単なる「親目線の機能」でも「プレイヤーである子供の味方をした妥協案」でもなく、「子供がゲームをすることによって親子のコミュニケーションがさらによくなる」ところまで発展させているのがさらにすごいところ。

もう何が何だかわからない(凄すぎる


4-4.「安全」の考え方

安心とは制限ではない。安心とはお客様が「笑顔」になれることだ。

そんなお話で、今回の会は締めくくられました。そのために任天堂はゲームの中でも、ゲームの外でもそれを全力でサポートしていくし、そのための開発や努力を惜しまない。もうかっこよすぎて脳汁ドバドバなラストだったわけですが、みんな心のどこかで持っていたはずなのに、いつの間にか押しやってしまっていた「もの」をここまで真摯に、まっすぐに、企業として貫き実践してきたのが任天堂なんだなと。

営業利益がいくらあろうと、やっぱりこういった「社会性」に企業として向き合っているかどうかはぱっと見ではわからないものの、やはり、ここぞというときに如実に人々の目線でわかります。私たちは背を向けてはいけないし、向き合っていく楽しさや素晴らしさを思い出させてくれたように思います。

ありがとう、任天堂さん。


あとがき

どう考えても書きすぎてしまった、、という反省をすでに自分の中でしっかりしつつも、伝えたいことが多すぎてこれ以上は削れませんでした。いや、長えよ!と突っ込みたいあなた、正解です。久々に今回は1万文字突破しました(笑)端的に伝える力も欲しいけど、今回はゴリゴリでいいやって思ってたのでゴリゴリしました。うほ。

こうしてみると勉強会を通してデザインだけでなくサービスとしての「社会性」が問われてくる時代が静かにやってきていることを痛感しました。見習っていきたいし、本当に体現していかないといけない。ちなみに今回のイベントは構想から2年かかったそうです、イベントすらスケール感が桁違いの任天堂さん、本当に素敵なイベントをありがとうございました。

果てしなく最高な任天堂タイムの夜でしたが、どうやらUI/UXデザイナーの採用にも力を入れているようです。おいみんな、この熱い想いをぶちまけるならどうやら今がチャンスらしいぞ見逃すな。

https://www.nintendo.co.jp/jobs/index.html

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(おまけ)

ちなみに、株式会社メルペイでもキャリア採用を絶賛募集中です(笑)

UI/UXデザイナーだけでなく「ブランディング」や「アートディレクション」で活躍してくださる方も大募集中、いつでも声かけてください。
まあ、私もホント入ったばかりなんですが( 'ω')haha

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終わりに

本当に心から、任天堂デザインの輪郭が生で感じられる最高の一晩でした。次回開催も期待!というか同じ内容でももう一回、いやあと3回はやっていいと思うくらいのイベントでした。伝われこのパッション!

ちなみに私は小学生の頃は狂ったようにカービィを描いてました。グッツもお小遣い全部使ってアニメはVHSが擦り切れるまで見てました(笑)私たちも、そんなにも長く愛されるような仕事をしたいものですね。

ということで、長くなりましたがこの辺で締めさせていただければと思います。読んでいただき、ありがとうございました!!!Twitterではnote以外の更新もお知らせしているのでよかったらチェックしてください〜👇‼︎

ではまた( 'ω')スワーン


読んでいただいただけで十分なのですが、いただいたサポートでまた誰かのnoteをサポートしようと思います。 言葉にする楽しさ、気持ちよさがもっと広まりますように🙃