残そう。
ある時、髙間監督が「りりィ+洋士」のLIVEに出会い、これは残さねばならないと、お2人を10年追うと決意してカメラを手にしたそう。
「もっと撮りたかったんですけど、、」と監督は舞台挨拶で目を潤ませた。
この映画は確かにりりィさんが主役なのだけど、映画の中でりりィさんが語ることはない。
りりィをみんなが語る映画なのだ。
映画が終わってからも、一緒に行った友人とりりィを語った。
あんな人、今みないよね。
♪私は泣いていますベッドの上で〜
曲がヒットしたのは1974年だそう。私もその節をよく覚えているが、りりィさんが歌っているところを見たのは、昨日の映画で初めてだ。
歌うりりィをみて感じたのは、ひとけがないこと。我を全く感じない。なんだろう。なんか変だぞ。
命は肉体という器に魂が宿ると言われるけれど、その逆を感じる。側が魂なのだ。
ふと横浜のメリーさんと似たものを感じた。実際に何度も見かけたけど、彼の方も側が魂そのもので浮遊していた。
そのある種の異質感が、ぐいぐい魅了されてしまう要因でもあると思う。
うまく言い表わせないが、普通じゃないことだけは伝えたい。歌声の出し方も。
自分が何者で、何を考えていて、何を目指して生きているのかということを、明確に言葉や文字にして、他者に説明することが求められるこの時代に、
りりィさんだけが説明書のない存在って感じ。醸し出すあのエアリーな世界は、なんとめんどくさくなくて、心地よいんだろう。
それが、映像から伝わってくる。
どこにでも流れて、どこにもとどまらない自由な液体のような、、、
ああ、海だ。海のような人だ。
りりィさんご希望で海に散ったのも納得だ。
豊川悦司さんが映画の中でりりィさんを語る時、りりィさんのもつ雰囲気は陰だ。陰なのだけど明るさがあると表現していた。
陰中の陽。浮遊感。言い得て妙。
映画が終わり、深沢剛さんと洋士さんのミニライブがあるという。
ダメな男です。
LIVEはそうはじまった。今でもりりィさんの曲を歌うと涙でつまってしまう。
また弾けるようになるのに2年かかったというギターと、深沢さんの天才的ハモニカが、情緒深くなおかつ淡々とリズムにのせて、洋士さんを地球に繋いでくれているのがわかる。
泣いちゃうんすよねー、まだ。
ちゃんと歌えないダメな男です。
いいえ、
いいえ、全然ダメじゃないです。
そういうのが精一杯だった。
人生は、、、
人生はもしかしたら、つらいことの方が多いかもしれませんね。
けれど、甘い花の香りのような素敵な想い出も、たくさん人生でつくれます。
想いは、何かを通して誰かの心に残していける。
これほどまでに瑞々しく、人々の心に、地球に、
私たちは想いだけは残していけるのですね。
パンフレットには、りりィさんの紡いだ歌詞が掲載されています。「残そう」いい曲だったな。
まるで本を読むかのようなパンフレット。ぜひお帰りの際に入手されることおすすめします。
愛を残そう。
りりィを残そう。
🎬【りりィ 私は泣いています】
企画・監督・撮影 髙間賢治
アップリンク吉祥寺にて上映中
上映時間、期間、LIVEなどの詳細は下記ページから
https://joji.uplink.co.jp/movie/2023/20343
スワン拝