作業のレンズ
作業療法で支援する作業って,例えば塗り絵とか編み物とか,何かを作ったりとか,そういうものをイメージしていることが多いんじゃない?
それが間違ったイメージというわけではないんだけど,それだけが作業療法なのかな?
ちょっと学校での授業の振り返りをしてみましょうか?
作業療法概論で聞いたことがあるかもしれないけど,世界で初めての作業療法士の協会を作った方々の一人が,
「作業は食べ物や飲み物のように生きていくために不可欠である」
という言葉を残しているんだよね.
この方が言っていた作業ってどういうことを意味しているのだろう?
さっき言った塗り絵や編み物が含まれるかも知れないけど,それだけでは無さそうだよね?
例えば,今君はここに立って僕と一緒に話をするという作業をしているよね?
話を聞きながらメモをとるという作業をしているよね?
メモをとりながら様々な思考を巡らせるという作業もしているよね?
更に言えば,朝起きて,朝食を食べて,身支度をして,ここまで交通機関を使って時間通りにやって来て.
これだけでも凄く沢山の作業の連続だったんじゃないかな?
人って生きてるだけで作業の連続なんだよね.
生きていくことは沢山の作業の連続だし,生きている限り沢山の作業と結びつかなければならないそうなんだよね.
そうすると,どうだろう?
塗り絵や編み物はもちろん作業の一部ではあるだろうけど,そういったものだけを支援するのが僕たちの仕事なのかな?
前置きはこれくらいにして,
次に一緒に行くCLについて作業に注目しながら見学してみようか?
先ほど言ったように人間は生きている限り沢山の作業に結びついているらしいから,見学している時間のなかでどんな作業と結びついていると思えたのかを出来るだけ書き出してみようか?
初めて見るCLだから正解かどうかはあまり気にしなくて良いよ.
先ずは作業療法士として,目の前の世界を作業を中心に見るという癖を意識して欲しいんだよね.
作業を中心に世の中を見るということを,論文や教科書では
Occupation-Centered Practice
って言うらしいね.授業でやった?
作業療法士としての専門性やアイデンティティを見失わないために非常に重要な視点だから,今のうちに覚えておいたほうが良いかもね.
詳しく知りたかったら,ちゃんとした論文もあるけど,先ずは授業の内容を振り返ったり読みやすい本を探してみるほうが簡単かもね.
課題というわけでもないから,時間がある時にゆっくり読んでみたら?
実習生が来ると,いつもこんな会話からはじめています.
作業を中心に,作業のレンズで世の中を見るということは作業療法士の専門性の基盤にある大切なものだと考えています.
普段の何気ない日常もあなたにとっての大切な作業が沢山詰め込まれています.
作業のレンズで世の中のことを改めて見てみませんか?
気付けばあっという間に開催が迫っていました.
前回もゆるくのんびり心地良い時間でしたから,今回も楽しい時間が過ごせるかと思います.
11日21時から,お待ちしています.