無題 Act:7 『起きたかい?』

蛍「だーーー!!! わかんねえ!」
唯「あはは、本当に苦手だね、英語」
蛍「先生の言葉が全部呪文に聞こえる……」
唯「意味を知らないとそう感じるだろうね」
蛍「お前は余裕そうだな、小テスト目前なのに」
唯「余裕に見えるかい? ボクは男性の部屋に入れられてソワソワしているよ」
蛍「それならいつもソワソワしてることになるだろうが」

唯「気づかなかったのかい? いつも君の家にあがる時は失礼のないように勝負下着で来ているんだよ」
蛍「なんでだ」
唯「まあ、穿いてないことも多いのだが」
蛍「頼むからいつでも穿いててくれ」
唯「ふふっ、ご想像におまかせするよ」
蛍「想像するかよ」

蛍「チクショー、クラス担任が英語教師だと本当に困るな」
唯「おや、どうしてだい。いつでも質問できて良いじゃないか」
蛍「あのなぁ」
唯「? ボク、おかしなことを言っているかな?」
蛍「自分が一体何がわかってないのか、わかんねえんだよ。だから質問できねえんだ」

蛍「そのせいで、授業に関係ない時とかも緊張しちまうっていうか」
唯「あはは、後ろめたい気持ちみたいなのが出てしまっているんだね」
蛍「そうかもしんねえ」
唯「こうして集まって勉強をしているんだから、少しずつ解決していこうじゃないか」
蛍「ああ、そうだな」

唯「どうして英語が苦手なんだい? 他の教科はあまり問題ないのに」
蛍「うーん、やっぱり聴き慣れてないからかもな」
唯「呪文みたいに聴こえるって言っていたね」
蛍「そのせいで、なんというか、眠くなるんだよな」
唯「英語が睡眠導入の役割を果たしているのかい!?」
蛍「な、なんだよ。そんな語気強めて」
唯「とってもえっちじゃないか……」
蛍「……」

唯「おっと、すまない。口から体液が」
蛍「よだれって言え」
唯「よだれが……溢れちゃうっ」
蛍「変な言い方をするな」
唯「と、止まらないよぉ……」
蛍「やめろって言ってんだろっ」

唯「あはは、気を取り直してまずは読んでみようか、英文を」
蛍「読むのか?」
唯「うん。まずは読むこと、聴くことに慣れていかないと。ボクが読むから続けて読んでくれるかな?」
蛍「ああ、わかった」
唯「それじゃあ……教科書のこの英文を。『――――――.』」
蛍「……え、お前発音良すぎないか?」
唯「そうかい?」
蛍「びっくりした」
唯「あはは、嬉しいなぁ」
蛍「えーっと……『――――――.』」

・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・

唯「『――――――.』」
蛍「……」
唯「……君の番だよ?」
蛍「……」
唯「……?」
蛍「……すぅすぅ」
唯「おや……眠ってしまったか」
蛍「……」
唯「ふふ、本当に寝てしまうなんて、面白いなぁ」

蛍「……ん」
唯「おや、起きたかい?」
蛍「ん……あぁ、すまん。寝ちまったか」
唯「ふふっ、漫画みたいにすぅっと寝ていたよ」
蛍「悪い……」
唯「ううん、気にしないで平気さ。次は小テスト対策をしよう」
蛍「あ、ああ」

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唯「やあ、テストの出来はどうだった?」
蛍「この前対策したとこほとんど出て驚いた。多分上手くできたと思う」
唯「おや、それは良かった」
蛍「ああ」
唯「で、それは誰のおかげかな?」
蛍「えっ、なんだ急に」
唯「教えてよ。誰のおかげなのかな?」
蛍「……」
唯「……」
蛍「……へいへい、お前のおかげだよ、ありがとな」
唯「ふふっ、どういたしまして」

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