福岡職域メンタルヘルス研究会不知火塾#9「ADHDの診断と治療―新しい視点から」今村明先生(長崎大学病院地域連携児童思春期精神医学診療部教授)
発達症の精神症状の特徴だけではなく、身体的問題についてや、愛着障害との関連について非常に興味深いお話しでした。特に複雑性心的外傷後ストレスについて、PTSDの症状と愛着障害との症状が合わさったものであるとのお話しから、「愛着はトラウマの防御因子であり、愛着障害はトラウマの促進因子である」との流れとなり、多くの気づきにつながるものでした。
後半では、ADHDの特性をパーソナリティの一部として、症状を改善させつつ、ウェルビーングの増大を目指す支援が必要と話されました。「ADHDの診断・治療方針に関する研究会」(斎藤万比古、飯田順三)の中にある治療目標の一部を示されたのですが、まさにそうだな、忘れてはいけないことだと思いました。その部分を記載致します。
「治療目標は決してADHDの3主症状が完全になくなることに置くのではなく、それらの症状の改善に伴い、学校や家庭における悪循環的な不適応状態が好転し、ADHD症状を自己のパーソナリティ特性(「自分らしさ」と呼んでもよい)として折り合えるようになることに置くべきである。さらにいえば、ADHD治療の最終的な目標は、第一に障害受容を通じた適度の自尊心の形成、第二にADHD特性を踏まえた適応性の高いパーソナリティの形成の2点ということになる」
次回のご案内です。一緒に学んでみませんか。
日時:2024/11/22(金) 18-20:30
内容・講師:「運転に与える向精神薬の影響」小西勇樹先生(産業医科大学精神医学教室)
参加費:医師5000円 看護師・保健師・コメディカル・学生 3000円
申し込み先:不知火塾 nakarabo@shiranui-clinic.jp