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皿うどんクエスト、完結

ずいぶん前だけど、夜遅くに仕事が終わったら、渋谷に住む同僚と青山のオフィスから渋谷まで歩き、間にある店でご飯を食べて帰ることがあった。桜丘のリンガーハットもチョイスのひとつで、必ず皿うどんを注文していた。何せ好物だから。その後、会社も引っ越したし、その同僚は早々に辞めてしまった。リンガーハットも渋谷駅前の再開発でなくなった。皿うどんが好物だったこともなんとなく朧げになってしまった。

リンガーハットの皿うどん

ところが、この前の夏「キングオブコント」の準々決勝を観に、桜丘のホールに行ったら、その周辺の再開発が終了したらしく、でかいビルが立っていていて、その中にリンガーハットが復活していた。早速、午前の部と午後の部の合間に皿うどんを久々に食べた。感慨深いのかと思ったら、別にそんなことはなく、ただおいしかっただけだった。人間は口で言うたびに心を動かされていてはくたびれて生きていけないので、正直ベースだとそんなもんだと思う。

2024年のキングオブコントの準々決勝の会場が、渋谷区大和田文化総合センターのさくらホールだった

桜丘のリンガーハットを契機に、無皿うどん時代のブランクを埋めるかのごとく、家の近所の皿うどんを食べあさった。好物だからね。家の最寄りの三軒茶屋駅周辺には皿うどんを出す店が数軒ある。だが残念なことに、ちゃんぽんはどこもうまいが、皿うどんはリンガーハットを越えなかった。さすがチェーン店、餡のとろみとうまみ成分の配合が絶妙だ。

ちなみに、皿うどんは中華の「あんかけかた焼きそば」とは別物だ。麺は同一だが、かかっている餡の味付けが違う。私が書いているのは、出汁感が溢れていて薄味の、あくまでも長崎ちゃんぽんを出す店にある皿うどんのことだ。

三茶のハナマサの先にある長崎ちゃんぽん屋の皿うどん

そのうち、外で皿うどんを食べることに飽き足らず、袋皿うどんを買いこみ、家でも作って食べるようになった。袋皿うどんは、バリバリの細麺と、水を入れて混ぜてから熱すると、とろみのつくうまみ成分たっぷりのスープの粉末がセットになっていて、具は自分で適当に用意をする。お好みの野菜炒めを作って、そこに水に溶いた粉末を入れて火をかけたまましばらく待てば、餡が出来上がるのだ。

先日、袋皿うどんクエストの2種類目で、リンガーハットを越える袋皿うどんを発見してしまった。とにかく、棒ラーメンでお馴染みのマルタイの皿うどんを手に入れて作ってみてください。

輝ける昭和のパッケージ

なんなら、野菜炒めも作らず、粉末だけの餡で食べる素皿うどんでもいいんじゃないかと思った。皿うどんの実態は、もんじゃと同様に出汁を固形化し、うまいこと食べるということにあるのかもしれない。おいしさはあの粉末の出汁の味で決まる。もう、リンガーハットに行く必要はない。

なるとは風情。でも一方で、なるとは練り物。練り物をたくさん食べたいと思うと、クレイジー・皿うどんの趣だとなる

今日のAI
「長崎ちゃんぽん屋の皿うどん」とお願いする。もちろん、AI氏は外国人であるから、これはまあ説明しないこっちのほうが悪いんだが、なんだそのチェレンコフ放射光みたいな青い光は。長崎だからって、まさかおまえ……。