セカイの車窓から・インドシナ半島編/ハノイ~ハイズオン、ぶらり各駅停車の旅?
ベトナム国鉄の線路網は極めてシンプルです。言い方を変えればプアーです。ハノイ~ホーチミン間の南北統一鉄道のほかはハノイから3方向に出ているだけです。
一つは中国国境の町Dong Dang/ドンダンに行き、国際列車として北京まで行く線。北朝鮮のキムさんも北京からこれに乗ってきました、が、なぜかDong Dangからは車でした。
もう一つは北西部のリゾート地Sapa/サパの近くLao Cai/ラオカイまで行く線。高級寝台列車が走っていてワタシも一度乗りました。今は高速道路ができたので鉄道に乗る人は激減しました。
そしてもう一つが東の港町Hai Phong/ハイフォンに行く線です。
全部ディーゼル機関車です。本数も少なく、おそらく全列車の時刻表を作っても見開き1ページで収まります。
ワタシはヨーロッパでもインドでも、旅行に行った時にまず最初に駅で時刻表の本を買いましたが、ベトナムで時刻表を探してもないのがわかるまで、若干時間がかかりました。
先日天気がよくてヒマだったので。衝動的に隣町のHai Duongにでも行ってみるべかと思い、行ってきました。結果は大失敗でした。後半で書きます。
ハノイ駅からハイフォン行きに乗って一駅、かと思っていたら途中4駅も止まりました。ぶらり各駅停車の旅なんだけど、1日2往復しかないので途中で降りると日帰りできなくなります。
Hai Duongにはニッポン企業の工場も多く駐在者もいると思いますが鉄道通勤している人は皆無でしょう。
ハノイに住んで運転手付きの車で行くか、Hai Duongの町に住むか、工場に住み込むかのどれかです。車ならドアツードアでも1時間半です。
今回行ってハノイに住む以外ありえないと思いました。が、お勤めの皆さんは好き勝手なことは言えないでしょう。
席はWebでは対面型ソフトシート1種類のみでしたが、隣の車両はリクライニングシートの高級車両でした。どこで切符売ってるんだろ。っていうか一般人は対象外というのはいろんな場面でよくあります。
庶民席は片道54k.ドン≒270円。すっごい安い。
土曜の朝で、ハイフォンに遊びに行く若者グループで混んでいました。車内でジドリとかしてたから、鉄道旅行がトレンドなのかもしれません。
ハノイを出発するとすぐ隣のLong Bien/ロンビエン駅に止まります。途中民家の軒先10cmくらいのところを走ります。テレビでよく映る場所です。
ロンビエン駅を出るとここでも書いた築120年のロンビエン橋を渡ります。いきなりのハイライトです。
スピードを出すと危ないので時速10kmくらいでバイクに抜かれながらゆっくり進みます。
渡り終わるとすぐにまたGia Lam/ザーラム駅に止まります。ワリと大きな駅ですがWebの時刻表には載っていません。ここから乗る人も多いです。東京で言えば浦安とかそんな感じの郊外住宅地です。
そのあと2回止まりましたが、駅名とか不明です。
車内販売でハイフォン名物の極細バインミーを売りに来たので思わず買いました。ビールは売ってません。車内で飲んだりするのは好ましいことではないような雰囲気があります。酔っぱらいは悪です。
このバインミーは一束10本入りで35k.ドン≒175円。唐辛子系のソースをつけて食べます。中には肉系の練り物が挟まっています。シャレて言えばパテです。ニンニクがかなり強烈。5本くらい食べたら飽きました。が、捨てるわけにもいかず全部食べました。
それで満腹になってしばらくウトウトしていたらHai Duongに着きました。あっという間です。快適な鉄道旅行。かなりうるさかったけど。
駅の外ではタクシーやバイクの客引きが大勢いましたが、そういうのはバカ高いので乗らず、しばらく歩いてグラブでも呼ぶかと思ってスマホをいじっていたら大失敗に気付きました。
なんとHai Duongはロックダウン継続中で、辛うじて数台のメータータクシーが走っているだけという状況。カフェ、レストランはtake awayのみ。って言うか、7~8割はシャッターを閉じたままです。
一日50人くらいの感染者でまだこんなことやってんだ、と。
ベトナムはこれまでゼロコロナを目指していたのを、いろいろ外圧もあり、先月、経済優先に方針転換しました。今も一日1,000人以上で最悪のホーチミン市が最も正常化していて、飲食店の酒販売も制限なし、映画館も開いています。
ハノイは飲食店は夜9時まで、映画館は閉鎖、スパが先週から再開しました。それぞれの市長=ジンミン委員会委員長が決めています。
それでHai Duongはまだロックダウンだと。中央からの指令に地方が従わないなんてことがあるんだと、ベトナムの意外と独立自治的な政治の実情を垣間見た気がしました。
以前は省毎に道路を封鎖して外からの出入りを禁止していましたが、それはやっちゃダメということになりました。鉄道は改札で体温チェックするくらいです。
ヒト気のないHai Duong市内を4時間くらいひたすら歩きました。Highlands Coffeeでバインミーとコーヒーを買い、道端のベンチでランチしました。侘しい。
一か所だけ良かったのはハノイのうちの近所のThong Nhat公園よりひと周りでかいBach Dang/バクダン公園が静かでキレイでした。湖畔にはホテルが建ち並び、いいかもしれないと思いましたがシゴトでもない限りわざわざ泊まりに来ることはないでしょう。
Hai Duongは町として古い歴史があり、由緒ある寺などが多数あります。
ニッポンに亡命し、その後フランス相手の独立運動で活躍?したかどうかは定かではなく、いまだ評価の分かれるPhan Boi Chau/ファンボイチャウ所縁の地でもあります。ニッポンでテレビドラマになりました。
寺も博物館も全部閉まっていたのでWikipedia情報です。
帰りは4時発で5時15分頃にロンビエン駅で降りました。夕暮れのロンビエン橋を渡る時、大きな砂利運搬船が橋の下を通りました。相変わらずバイクがバンバン抜いて行きました。
因みにロンビエン橋ではバイクは左側通行です。一般道路では右側なのに。昔からハノイのナゾの一つと言われています。どうして??
一体何しに行ったのかジブンでもわからない旅でした。ジンセイは満たされない旅の連続です。
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