ホテル絵日記/Smarana Hanoi Heritage Hotel
夏の終わりのサビしさに堪え兼ねて、先週末 近所のホテルに一泊しに行きました。ニッポンが毎週のように3連休なのも、なんていうか、沈みつつある国がこれでいいのかとか思いながら
泊ったのは前から一度泊まってみたいと思いつつ、観光地でもない場所の小さなホテルにしては100ドル以上もしていたので泊らずにいたここ
インテリアが極めてユニークでカネをかけ過ぎたための割高値段設定だったのか、それが災いして今年になって経営が立ち行かず売りに出され今の名前は22 Land Heritage Hotel & Retreatです。要は新興の不動産屋に買い取られた。
その結果値段は以前の半額以下、でもインテリアは一切改悪されてなくワタシ的にはいいことづくめ。これだけのものを作りながら手放さなくてはならなくなった前オーナーの失望落胆いかばかりか
前ホテル時代のWebsiteがまだ残っているので興味のある方は見ていただきたいと思いますが、デザインのコンセプトは”A tribute to Hang Trong Folk Art”
Hang Trong/ハンチョンアートはハノイ旧市街のハンチョン通りに伝わる伝統的な版画のことで、ベトナム人は正月に1年の家内安全を祈って家に飾ります。ホテルのロビーに大きくて高そうなのが飾られていました。
それをテーマとしながらインテリアは山岳地帯少数民族の伝統的衣装に見られるような派手な色の組み合わせで実に鮮やか。
部屋自体はオーソドックスなレイアウト。ベッドのアタマのところの装飾や照明器具の繊細なディテール、家具の布張りの手作りっぽい模様が眼を惹きます。
驚きを禁じ得なかったのは壁の腰の部分のボーダー模様が壁紙とかじゃなく手書きだったこと。全部で20室くらいの客室とレストラン、ロビーその他全部の模様を手書きで描かせた設計者のド根性にはビックラこけた。
浴室はシャワーとバスタブが並んで一室のニッポン式洗い場付きスタイル。シャワーのところが石の厚み分高くなっていて周りのタイル張り排水溝に泡とか水が流れる仕組み。
ベッド側に大きく開かれた窓は内側にロールスクリーンが下がり、見られたくないときは閉めりゃいいだろうという大人の設計。
この窓付き浴室はニッポンでは保健所が風紀上の問題とかで許可しないらしいけど。ホケンジョ? ナンデ?
身売り後の少数スタッフによる運営にしては部屋はきれいでお湯もちゃんと出て何も文句ありません。
レストランもたった3人でやっていて、部屋番号も聞かず適当に座って食べて、みたいな。ビュッフェの食事は可もなく不可もなく。その場で作ってくれるフォーはウマかった。
このホテル、いつまでも今の値段で続いてほしい。東京の雅叙園と比べたら文句言われるかもしれないけれど手仕事の結晶のようなインテリアの洪水
因みに建っているのはファミレスや大型カラオケビルが建ち並ぶハノイ西部新興開発地の大通りから2本奥に入ったところで、ビジネス客が間違って泊ってハゲしい違和感を覚えるような掃き溜めの鶴的存在。用途的には昼下がりのジョージア、かな