農地はどこへ向かうのか
どうも、鳥取で米農家をしている白川です。
ヘンな問いのタイトルになってしまいましたが、
なんとなくこういうモヤモヤが。
皆さん、農業者がすごい勢いで減っていて、
耕作放棄地もいっぱい生まれている、ということはご存知です?
20年間で半分に減って。
今いる168万人のうち、65歳未満って、たった50万人しかいない。
当然ですが、農業者の平均年齢は超高くて、約67歳。
平均でこれ。
というか、おそらく統計的にはこのアンバランスで平均値を出す意味はあんまり無いですよね。
全体の7割が65歳以上。というだけでもう十分。
まぁだいたいこういう感じなことは、知ってる人が多いかと思います。
このnoteを見てくれている方がどこに住んでいるのか分かりませんが、
もし都会にいて、農業の現場とか全然わかんない、という方は、可能な限り、「そこでずっと暮らす感じ」を想像しながら読んでみて欲しいのですが。
一般的に、超ドライに振り切って農村の衰退を描くと、次のような感じかと。
日本は人口減少時代。
↓
当然景気も右肩下がり時代。
↓
食費は安い方が良い。
↓
というか人減ってるんだからそんなに作らんでいい。
↓
農家は儲からない(&きつい)。
↓
農家の息子は安定感のあるサラリーマンへ。
↓
今はギリギリ70前後の人たちが使命感で農地を守っている。
↓
あちらこちらで限界を超え、耕作放棄地が増加。
↓
草ボーボーで見通し悪いし景観悪いし野生動物いっぱい。
↓
そんなところはそもそも住みにくい。
↓
さらなる人口流出。
↓
廃村化。もう再生不可能。
自分で書いてて若干震えますが…
ここに対して、まったく想像できない人が満員電車で経済系の新聞とか読みながら、
「市場原理じゃん、しょうがない」とか思っちゃって、そのボリュームがなかなかのもんだから、やっかいだなと。
いつから市場原理は世界共通のモノサシに格上げされたんだ。
まぁこういうことを書くとお前は共産主義者か、みたいな謎のレッテルを貼りたがる人もいるでしょうが。
僕は市場原理(資本主義)か共産主義かみたいな主義の名前にはあまり興味がなくて。
もう少し視野を広げて考えてみない?と、農地で石を拾い、水路を掃除しながら問いかけてみたいのです。
確かに、米で言うとですよ。
お米は、いま余っています。
人口が減り、パンやパスタなどの小麦製品は増え、お米の消費が減っているので。
お米の自給率が100%を達成するという戦後の悲願を達成してからまだ半世紀しか経っていないこの国の米の生産面積は、さほど変わらないわけです。
そりゃ、余ります。
世界的にも例のない人口の急増からの急減へと、1世代~2世代くらいの時間で変化している中で、そこを予見して農地デザインしなよ、ってのも酷な話だし、なかなかすごい時代なのです。
まぁそれは置いといて。
細かいことは僕もよく分かんないし、端折りますけど、
要するにどんどんジリ貧で弱ってきている国内の米農家に、「米じゃないもの作りなよ」って言うのも、現実的に厳しいんです(農水省の皆さんはそこ苦労しておられると思います)
そうすると、短期的には当然市場原理に任せると安くなる。(←イマココ)
おりしも、原油価格は上がり、肥料代も上昇しているので、生産コストは上昇。
米に限らず、「生産」と「消費」が離れすぎてて、生産コストなんてイメージできない消費者が増えすぎているので、
米が余っている以上、安くなり続ける。
それを、税金を投入して価格維持とかやると、批判されるので政治家さんもなんかもう腰が引けちゃってる。
そもそも構造的な問題なので、生産者としての僕目線でも、抜本的な意味を感じません。
そうすると、短期的に、国内では「農地の価値」は下がりますよね。
問題は、このまま長期的にもそうなのか。というところでして。
もう、長期的にもそうならそうで、潔く「農業生産可能な状態を維持する土地」と、もう山に還すなり、水路とかつぶして平地にして維持管理を容易にするなりのデザインをしてしまった方が良いのですが。
この辺が。
農地どこへ?
農村にいる我々はどうしたら?
ってモヤモヤするところでもあるのかなーと。
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