昔、団地で暮らしていたことがある。いわゆる、昭和に建てられた団地で、エレベーターはなくて、のこのこ階段で登れる高さで、たくさんの同じ建物がむこうまで並んでいる、そんなのどかな団地。
団地のいいところは、平日の午後だと思う。きちんとしたルーティン、たとえば会社とか学校とかそういうところとつながっている人たちが「いってきます」をして、一人、残されたとき。
ベランダに出る。マグカップを持って出るとなおよい。秋なら温かいココアとか。心によゆうがあるのなら、紙と鉛筆を持つとサイコー。もう、おいてけぼりの気分はない。
風がふいて
木がゆれる
ざわりざわり
木がゆれる
色とりどりの
ベランダで
色とりどりの
暮らしがうごく
ぽんぽん ぱんぱん
お布団鳴って
ざわりざわり
木がゆれる
わたしは息をひそめる
ひざを抱える
団地のすみっこで
生きている
団地のベランダで書いた「詩?」「少年詩?」「散文?」みたいなのがたくさんある。言葉にすることで、心がすくわれることがあるし、言葉にするというプロセスにのることで、時間にながされることができる。
時間にゆるゆるとながされて生きるのは、とてもぜいたくなことで、幸福なこと。人生って、なにかを生産していないと責められたりしちゃうけれど、結局のところ、みんななにも残せない。
ゆるゆるゆるゆる
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新人さんからベテランさんまで年齢問わず、また、イラストから写真、動画、ジャンルを問わずいろいろと「コラボ」して作品を創ってみたいです。私は主に「言葉」でしか対価を頂いたことしかありませんが、私のスキルとあなたのスキルをかけ合わせて生まれた作品が、誰かの生きる力になりますように。