童話【お花がさいたよ】(幼年物)
「ソラくんもいっしょに遊ぼう」
ぼくは、アカリちゃんにさそわれた。
やすみ時間、みんなが遊んでいるのは、消しゴムおとしゲームだ。
ながめていたのでルールはわかる。
まず、机の上に、みんなが一個ずつ、消しゴムをおく。
つぎに、ゆびで、自分の消しゴムをはじいて、あいての消しゴムにぶつける。
消しゴムが机からおちたら負け。
さいごまで、のこっていた消しゴムの持ち主が、勝ちだ。
「ううん、ぼくはやらない」
机には、タイキくんの緑色の大きな消しゴムがのっている。
ぼくの白い消しゴムは小さい。
あんな大きな消しゴムに勝てっこない。
「たのしいって」
アカリちゃんは、ボクの角がなくなっている消しゴムをつまんだ。
そして、タイキくんの消しゴムのななめまえに置いた。
アカリちゃんは、ぼくの横に、自分の消しゴムを置いた。
ほかの四人は、タイキくんをかこむように、自分の消しゴムを置いた。
「ジャンケンポーン!」
じゅんばんが決まった。
ぼくはさいごから二番目で、タイキくんはさいごだ。
ゲームスタート
「エイ! ヤァ! トー!」
みんなのきあいは、からまわりした。
アカリちゃんまで、ミスショット!
あぁ、みんなの白い消しゴムは、タイキくんの消しゴムのひだりがわに、雲のようにあつまってしまった。
これじゃあ、一発で、みんな、けちらされてしまう。
さぁ、ぼくの番だ。
ひとり、とおくへにげることもできる。
でも、自分だけにげるなんていやだ。
タイキくんの消しゴムの角に当てたら、うごかせるかもしれない。
ねらいをさだめる。
ヨシッ!
ぼくは消しゴムをはじいた。
つぎのしゅんかん、ぽかーん、みんなが口をあけた。
ぼくの消しゴムは、くるくる回って、タイキくんの消しゴムに当たらずに、みんなの消しゴムを少しずつおして止まった。
雲のかたちがまるくなった。
「あはははは!」
タイキくんはわらった。
それから、こまったなぁと、頭をかいた。
「これじゃあ、母ちゃんの好きな白いアジサイみたいだ。こわせないよ」
タイキくんは、こうさんした。
ぼくらは、やったぁと、とびはねた。
(完)
新人さんからベテランさんまで年齢問わず、また、イラストから写真、動画、ジャンルを問わずいろいろと「コラボ」して作品を創ってみたいです。私は主に「言葉」でしか対価を頂いたことしかありませんが、私のスキルとあなたのスキルをかけ合わせて生まれた作品が、誰かの生きる力になりますように。