エッセイ「私の転居通知」(入賞作品)
【両親への感謝状】
お父さん、お母さん、お元気ですか?
私が大学に合格して、愛知県から、ここ愛媛に引っ越して来て、早いものですね、もうすぐ一年が経とうとしています。今では、もうすっかり大学生活にも、アパートでの一人暮らしにも慣れました。
初めのころは、やはり寂しくて、ほとんど毎晩のように、家に電話をかけていましたよね。それなのに、次第にここでの日常生活に埋没し始めてしまい、最近では、家族と疎遠になってしまったみたいで……。
「元気でやっているか?」
昨日の夜のお父さんの電話、突然で少し驚いてけれどうれしかった。受話器を置いた後、何だか急に寂しさが込み上げて来て……。
いろいろな事を思い出しました。
お父さんと一緒に、初めて松山にやって来た時の事。お父さんは、飛行機に乗るのが初めてで、子供のようにはしゃいでいましたね。大学の入学手続きをすませてから、二人で走り回って安いアパートを探しましたね。お父さんの見つけてくれたこの部屋はとても住みやすいです。どうもありがとう。
あの頃まだ、花の蕾さえつけていなかったミカンの木は、今では鮮やかなオレンジ色の実を、いくつもいくつも重たそうにぶら下げています。
今日、近所の八百屋さんで、ミカンを一箱送ってもらいました。いろいろな種類があったので迷ったのですが、八百屋のお兄さんのお勧めの、大きめサイズの「ごご島ミカン」にしました。みんなで食べてください。
来年の夏休みには、そっちに帰ろうと思っています。お母さんの豚汁の味が、とても懐かしいです。お土産をたくさん持って帰るからね。ごちそうを作って、待っててください。遠く離れて、初めて、親のありがたみをしみじみと感じさせられました。
それでは、お体を大切に……。
新人さんからベテランさんまで年齢問わず、また、イラストから写真、動画、ジャンルを問わずいろいろと「コラボ」して作品を創ってみたいです。私は主に「言葉」でしか対価を頂いたことしかありませんが、私のスキルとあなたのスキルをかけ合わせて生まれた作品が、誰かの生きる力になりますように。