【さくら藍キミを待つ(さくらあいきみをまつ)】
彼女は桜のように美しく、そして儚かった…
これはそんな彼女と僕のたった1日だけの物語…
その日、僕は泣いていた
10年間を一緒に過ごしたペットが亡くなっていた
もうどうしていいか解らず気づいたら川原に佇んでいた
春の兆し生温い風が吹いていた昼下がり
出逢いはいつだって唐突なのかもしれない
日が傾きかけた頃、予期せぬ声がした
「ねえ、どうして泣いているの?」
ゆっくりと顔を上げてみると
同い年くらいの女の子がそこに立っていた
「キミは誰…?」
「私は最近この町に引っ越してきたの、そんなことよりあなたはどうして泣いていたの?」
「笑わない…?」
「笑わないわよ」
「ずっと一緒だったペットが亡くなったんだ…」
女の子は急に俯いた
きっとそのぐらいで男が泣くなよ、と笑われてしまったのだろう、言わなきゃ良かったな…
でも、そんな考えは次の瞬間に消えていた
俯いていた彼女は、泣いていた
見ず知らずの僕のペットを想い泣いてくれていた
「どうして…?」
「私も別れの辛さは知っているから…」
そっか、彼女も同じようにペットを亡くした事があるのだろうと思案した
僕は特に質問せず、「ありがとう」とだけお礼を言った
気持ちが少し落ち着いた頃、彼女から提案があった
「ちょっとだけ付き合ってくれる?」
僕は少し驚いたが、静かに頷いた
~つづく、かもしれない~
いいなと思ったら応援しよう!
2019/03/12(Thu):
今日から三年ぶりの上京です、楽しみですよ。
「東京バナナ」を必ず買います、大好きです。