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ハキハキの彼岸

ハキハキしてない人が許せない。
ハキハキは意志だ。努力だ。
とどのつまり、ハキハキしていないということは純然たるサボタージュだ。
ハキハキもせずにやれコミュニケーションだ?ちゃんちゃら&いとをかし。まずはハキハキだろ。ハキハキ。
どんなときでもハキハキしているに如くはない。
あえてハキハキしない方がよい機会の方が圧倒的に少ない。
ならば平時からハキハキしていればよい。
はっきり云って、ポピーはかなりハキハキしている。
なぜなら幼少の頃からハキハキを研鑽してきたからだ。
ポピーには兄がいるが、そのハキハキから、どこに行っても常にポピーが兄だと間違われた。
小学校の時分には、よろしくない方々の憩いの場たるゲームセンターにて、黄金の頭髪をした赤シャツから「てめえどこ中だこら」等とお褒めの言葉を賜るくらいハキハキだ。
ハキハキが高じて、接客業の最高峰たるホテルにて、接客スーパーバイザーを務めた経験もある。

ーー内線が掛かってくる。お客様は息を荒げながら「シャンペンを呉れ給え」とのオーダー。
その声の後ろから、ああん、ああん、いい、いっちゃう、いっちゃう、ああん、いい、いま現在、ちんぽが入っている、といったような女性の声が拝聴される中、
「畏まりました。直ぐにお持ちいたします」
と極めてハキハキした受け答え。
当該のルームにすぐさま辿り着き、コンコンコン。
ドアーが開くと、黄金頭髪赤パンツ一丁の男性が息を荒げながら「おう」と発された。
「お待たせいたしました。こちらでございます」
すると赤パンツ様、
「おるるるるらぁおれはペンなんか頼んでねえシャンペンを頼んだんじゃおるるるるらぁペンは飲めねえだろうがなめてんのかおれを」
とおっしゃったので、
「お客様、先ほどシャーペンって、そうおっしゃったじゃねえか」
と申し上げると、
「おるるるるるるるるらぁおれはシャンペンと云ったんだこらそれになんだその態度はなめてるだろてめえこら」
「ああ、champagneのことでしたか。少し砕かして云うとシャンパーニュ。大変失礼いたしました、直ぐにお持ちいたします」
「ぶっ殺すぶっ殺す」
なぜか2回おっしゃると、赤パンツ様は差し上げたシャーペンをポピーのこめかみにぶっ刺した。
ああん、いま現在、シャーペンが入っている。
最後にそのような声が自らの口から漏れ出たことは記憶している。
赤パンツ様はその後も何度かポピーにシャーペンをぶっ刺したそうだが、連れの女性に呼んでいただいた救急車で病院に搬送され、事なきを得た。

その日を境に、ポピーのハキハキは加速度的に向上している。
過日、コンビニに赴いた時には、
「こちら全て温めていただけますか但しお箸は1膳で結構ですレジ袋は結構ですポイントはこちらのアプリで貯めますアップルペイのクイックペイで精算しますレシートは結構です」
ハキハキと一息に云い切ると、店員さん曰く。
「はあ。えっと、これ、全部温めだと、結構時間掛かっちゃいますが、はい。えっと、あと、お箸はこの10本分要りますか?」
「おるるるるらぁお箸は1膳で結構だと先ほど申し上げたじゃねえかおるるるるらぁなめてんのかポピーを」
「いえ、あの、えっと、レジ袋要りますか?」
「ぶっ殺すぶっ殺す」
ポピーは店員さんのこめかみに、店内で試食させていただいたガリガリ君のハズレ棒をぶっ刺した。

そんなこんなでポピーは、お巡りさんのお世話になることに相成った。
その際の勇姿ならびにハキハキとした受け答えについては、下記の記事をご確認いただけますと幸甚である。
https://note.com/mongonognom/n/ne6c1d14ef2be

諸君の人生にハキハキが齎されることを祈っている。
以上!





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