SGW杯予選3、7枠

皆様こんばんは。
本日は9/1(月)に行われた第7回SGW杯中庸戦予選3枠と7枠の対局をご紹介したいと思います。
ちなみに私も3枠で出場していたのですが、ひどい内容で1回戦敗退となりました。
負けたことよりも内容の悪さが堪えますね。
楽しみにしていただけに残念です。
なお、SGW杯の棋譜は全局日本棋院ネット対局幽玄の間で中継されています。
既に中継棋譜から消えてしまっているのですが、ソフトや幽玄の間公式サイトからご覧頂けます。


1図(実戦)

3枠1回戦、三村芳織三段(黒)と大垣雄作九段の対局です。
黒△と仕掛けましたが、これが黒Aでないのは白の分断を狙っているからです。
白はどう対応するべきでしょうか?

2図(実戦)

ここで正面から戦っても、リスクばかりで得るものがない状況です。
よって白1、3と頭を下げたのが適切な選択ですね。
白9までしっかりつながっておけば、他方面で打ち越している白が優勢です。

3図(実戦)

中央白が狙われていますが、白1~5と黒に迫っていきました。
黒6、8の反撃は予期されるところですが、ここは戦えるとみて積極的に打っています。

4図(実戦)

白1と急所に迫ったのも厳しいですね。
中央黒の形を崩しておいて、さらに白7と押さえ込んで左右の黒に狙いを付けていきました。
メリハリの利いた戦い方で、白が主導権を握り続けましたね。
結果は白中押し勝ちとなりました。


5図(実戦)

準決勝、黒瀧正樹七段(黒)と大垣九段の対局です。
黒1の三々入りに対して、白4で先手を取って白6と急所に伸びたのが機敏でした。
そして黒7の守りに対して、さらに白8を利かしてから白10と迫ったのが厳しいです。
まずは白が先制しました。

6図(実戦)

黒3のツケには白4~8と出るのが好調子ですね。
頭を出しながら右の黒に響かせています。

7図(実戦)

そして白2と急所に迫ったのが厳しい手でした。
白A、黒Bの利きがあるので、黒の動きが不自由です。
黒11まで形を崩し、ますます白好調です。

8図(実戦)

白2と割り込んで左の黒も攻撃目標にしました。
白18まで、攻めながら白地を増やしてさらにポイントを上げています。
このまま白が押し切り、結果は白中押し勝ちとなりました。


9図(実戦)

決勝、大橋成哉七段(黒)と大垣九段の対局です。
右下の分かれで黒がリードを奪い、以来黒優勢が続いています。

10図(実戦)

しかし、黒1の攻めに対し白2~10(白4はAの所)と切り返しました。
大石を強化しながら黒模様を消しては好調です。
急に流れが変わりました。

11図(実戦)

そして、白△のツケ!
白はこの手に勝負をかけました。
白A、黒B、白C、黒D、白Eの逃げ出しを狙っています。

12図(実戦)

白8の逃げ出しから白16の当てが決まり、勝負も決しました(白6はAの所)。
黒はBにつなぐことができません。
結果は白4目半勝ちとなり、大垣九段が本戦に進出しました。


13図(実戦)

7枠は間違えて1局分余分に作ってしまいました。
勿体ないので全部入れておきます。
1回戦、西村慶二八段(黒)と金秀俊九段の対局です。
白1、3といきなり仕掛けていきました。
さらに、白Aのコウ立てを頼みに白13のコウ仕掛けです。
手が見えたらどんどんやっていく、金九段らしい積極性ですね。

14図(実戦)

黒△とノゾいた場面です。
白はどのように対応しますか?

15図(実戦)

中央白2子が大切なので、白1と打ったのが正しい判断でした。
白2子を取られても、白11まで止めれば白優勢です。


16図(実戦)

さらに、白×に石がきたことで白2からの動き出しが成立しました。
白18まで手になっています。
結果この白の救出に成功し、勝負は決まりました。
結果は白中押し勝ちとなりました。


17図(実戦)

準決勝、金九段(黒)と河野光樹八段の対局です。
白1の消しに対し、黒2、4と直接仕掛けていったのはいかにも金九段らしいですね。
白も5、7の手筋で対抗し、白9とシチョウに取りましたが、そこで黒10とシチョウ当たりを打つのが狙いでした。
白Aには黒Bの逃げ出しが成立します。

18図(実戦)

ということで白1と抜き、黒2と連打することになりました。
黒10まで左辺の白模様を荒らし、さらに黒16と動き出して戦いは続きます。

19図(実戦)

白1のコスミツケに対し、利かずに黒2と伸びたのが厳しい手でした。
白3には黒4~8でピッタリ止まっています。
黒の姿勢が良く、優勢になりました。

20図(実戦)

白1、3は下辺黒をいじめることで、白6のハネ出しにつなげる狙いです。
しかし、黒4一本で間に合わせて黒6に守ったのが好手でした。
白Aには黒B、白C、黒Dで大丈夫です。
後は中央白が一方的に狙われるだけとあっては勝ち目がなく、ここで白投了となりました。


21図(実戦)

1回戦、山森忠直七段(黒)と蘇耀国九段の対局です。
白1、3と仕掛けたのは蘇九段らしい厳しさですね。
白11まで、かなり2線に石が並んでいますが根拠を得た価値も大きいです。
蘇九段らしい実戦的な打ち回しでした。

22図(実戦)

白3は左下隅の強化、白5は先手寄せです。
そのうえで白1、11と黒に迫る手も打っています。
白が確実にポイントを上げていますね。

23図(実戦)

ただ、白はちょっと攻めすぎたようでした。
黒2(Aの所)、4の手筋から白×を取り込んで黒大石が安定し、さらに黒8と切られては白が気分の悪い進行になりました。

24図(実戦)

白1の二段バネに対し、黒2と切っていったのが勝負手です。
しかし、白13まで中央がつながっては白優勢が明らかになりました。
周囲の黒が薄くなっています。
黒12ではAとハネた方が難しかったようですね。
結果は白中押し勝ちとなりました。


25図(実戦)

決勝、金九段(黒)と蘇九段の対局です。
優勝候補の一角を占める2人の対決ですね。
白1のツケに対して黒2とハネ出していったのは研究済みなのでしょうが、やはり金九段らしさも感じますね。
白も7のモタレで対抗して白17まで、序盤早々激しい振り替わりになりました。

26図(実戦)

黒1では黒4と打つのが普通ですし、黒5では黒6と打つのが無難でしょう。
しかし、ぼんやりした手には魅力を感じないのでしょうね。
黒1は黒Aなどからの切断を狙っていますし、黒5は白Bのイジメを拒否しています。
このあたりの感覚は師匠(趙治勲名誉名人)譲りかもしれませんね。

27図(実戦)

白1を利かそうとした瞬間、黒4~8という強烈なカウンターパンチが炸裂しました。
白×を取られては、左辺黒が簡単に治まってしまいます。

28図(実戦)

そこで白1とつなぎましたが、黒2の切りが成立します。
黒が左上隅を取り、白は中央黒を取る分かれになりました。
黒のお荷物が無くなったことが大きく、黒優勢です。
この後白は必死の勝負手を放っていきますが、黒が的確に対応して勝ちを決めました。
金九段が本戦に進出しました。


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