SGW杯予選10枠

皆様こんばんは。
今回は本日行われた第7回SGW杯中庸戦予選10枠の対局をご紹介したいと思います。
なお、SGW杯の棋譜は全局日本棋院ネット対局幽玄の間で中継されています。


1図(実戦)

1回戦、万波奈穂四段(黒)と秋山次郎九段の対局です。
白△と打った場面ですが、ここで黒Aと飛ぶのが普通の打ち方です。
白Bの渡りを許しても、黒Cと中央を止めて黒も立派な姿です。

2図(実戦)

黒1と渡りを止めたのは万波四段らしい厳しい発想でした。
白2と被せられても、脱出には困らないというわけですね。
善悪で言えば似たようなものですが、僅か数手で全く違う局面図になるのが面白いですね。

3図(実戦)

黒1のコウ取りに対して、白2とコウ立てしました。
黒3は白A、黒B、白Cまで交換してから黒Dと受け、白×を取ろうという意図ですが・・・。

4図(実戦)

なんと、黒1に受けずに白2!
黒5まで、白×を取って治まられては地が大損です。
しかし、コウ立てがいくつも利くようになるので、それでコウに勝とうというわけですね。
黒×が弱くなることも当然計算に入っています。
それにしても思い切った決断で、これはなかなか真似できませんね。
結果的には白Aとコウを打ち抜くことになり、白の勝ちが決まりました。


5図(実戦)

準決勝、秋山九段(黒)と佃亜紀子六段の対局です。
黒1のツケに対しては、白Aとハネる方が多数派でしょう。
白×のダメ詰まりが怖いですからね。
しかし、超力戦派の佃六段としては当然の白2ハネ出しでしょうか。

6図(実戦)

対して、黒1、3は秋山九段らしい筋の良い捌きですね。
白5と出られても、黒Aが利くので白B、黒Cとなって大丈夫とみているのでしょう。
黒7まで良い形ができました。

7図(実戦)

白1、3は黒Aとつがせてから白B、黒4、白Cとする狙いですね。
白×を取っても黒に1眼しかありません。
しかし、黒4の切りが冷静な対処でした。
この後白A、黒Dと進んで生きを確保し、黒優勢となりました。
とは言え、碁はまだまだこれからです。
実際、白が追い上げて勢逆転するのですが・・・。


8図(実戦)

コウ争いの最中、黒1のコウ立てに手を抜いてしまい、黒3で急転直下の終局となりました。
この後は記号順に白A~Hまで、全体がセキになってしまいます。
20目近い白地をセキにされては投了やむなしですね。
佃六段のレベルからすればあり得ないようなミスですが、人間の碁ではこういうことが起こります。
白はコウに勝たずとも形勢が良かったので、佃六段としては残念でしたね。


9図(実戦)

決勝、秋山九段(黒)と小県真樹九段の対局です。
この局面での黒1のノゾキに対して、私の印象では白Aとつなぐプロはあまりいないのではないかと感じます。
AIはつなぎも悪くないと言っていますが、プロはそこにつなぐ育ち方をしていないのです。
つまり、黒もつないでくれないことを分かっていてノゾいているわけですね。
白は切られても戦えると判断して反撃しましたが、黒としても今後切りが実現するように立ち回ろうということになります。
単に白の攻め、黒の守りと言う単純な構図ではなくなりました。
ノゾキ1つで展開が大きく変わるものです。

10図(実戦)

白1はよくある急所のノゾキですが、やはり黒Aとはつなぎません。
切られたら怖いと感じる方も多いかと思いますが、プロが最初に考えるのは「なんとかしてつながずに済ませたい」ということなんですね。

3図(実戦)

そして狙いの黒1切りを実現させました。
白6は今度こそ白Aと切りますよという最後通牒ですが、構わず黒9の要点に回っています。
絶対につながないという強い意思を感じますね。
もちろん、意思だけでは打てないのですが・・・。

4図(実戦)

とうとう白1と切られましたが、黒4子を捨ててかわす道を用意していました。
黒10、14の要点にも先回りして、黒優勢は明らかです。
4子を取られる前に予め黒×、白×の利かしを打ってあるのも、当然とは言え憎いですね。
黒Aの狙いを残しています。

結果は黒中押し勝ちとなり、秋山九段が本戦進出を決めました。


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