SGW杯予選13枠

本日2本目の投稿です。
noteでの投稿は速報性を大事にしていきたいという思いがあり、このような形にしてみました。
本当は昨日2本上げたかったのですが、時間が足りませんでした・・・。

さて、今回は8/26(月)に行われた第7回SGW杯中庸戦予選13枠の対局をご紹介したいと思います。
なお、SGW杯の棋譜は全局日本棋院ネット対局幽玄の間で中継されています。


1図(実戦)

1回戦、望月研一八段(黒)と大橋拓文七段の対局です。
黒1、3と切っていきました。
左右の白はどちらも生きていないということで、ストレートに仕掛けましたね。
白10まで生きたところで黒11と分断したのは予定の行動で、上下の白の攻めを狙っています。

2図(実戦)

白1と打ったところで、すかさず黒2と薄みを突いていきました。
正面から戦っていくのは望月八段らしいですね。
しかし、堅実な面もあってそれが黒12に表れています。
反撃に気を付けて、まず黒×を補強しておこうというわけです。

3図(実戦)

少し進んだ場面です。
まず黒1、3の手筋で上下の白を切断しました。
そして黒9!
これが狙いの一撃でした。
これに対して、形としては白Aと押さえるしかありません。
しかし、黒B、白C、黒D、白E、黒Fとなってどちらかの白が取られます。
白が参ってしまいましたね。


4図(実戦)

白1と緩むしかありませんが、黒4と追撃されて苦しい限りです。
白9は必死の粘りですね。
黒Aのカケと黒Bの出を同時に防いでいます。
しかし、黒10には押さえることができず、黒14まで白×がピンチになりました。
この後白は暴れ回りましたが、黒が的確に対処してチャンスを与えず、黒中押し勝ちとなりました。


5図(実戦)

準決勝、熊ホウ七段(黒)と望月八段の対局です。
黒1に対して手抜きで白2と攻めかかったのは思い切った決断でした。
しかし、黒13まで左辺が黒地になっては攻めが空振りしています。
ここは黒がポイントを上げました。

6図(実戦)

白は攻めでポイントを取り返そうとしています。
白11とは強烈な手段でした。
黒Aには白B、黒C、白Dとなって黒Eの手入れが必要なので、白Fで黒を閉じ込められるというわけですね。
とは言え、黒は我慢しておいて形勢は悪くなかったようですが、実戦のように白Aと切ることになっては白優勢です。

7図(実戦)

右上から伸びる黒大石に眼がありません。
ここで白2、4とツケ切ったのが強烈なモタレ攻めでした。
黒は大石を人質に取られていますが、隅も譲るわけにはいかないという苦しい状況です。

8図(実戦)

人質には構っていられず、黒6まで右下隅を頑張りきりましたが、白7、9で出口が塞がってしまいました。
最後は黒大石が死に、白中押し勝ちとなりました。


9図(実戦)

決勝、溝上知親九段(黒)と望月八段の対局です。
黒1の攻めに対して、白AやBなら普通です。
実戦は白2から持っていって白10でしたが、戦力を増やしてから戦おうということでしょう。
望月八段らしい発想だと思います。

10図(実戦)

黒1と一本押してから黒3と動き出したのは、形にこだわりのある溝上九段らしいですね。
Aの断点を作っておくことで、白4でBから切ってくる手を防いでいます。
また、黒7とつながると同時に黒C、白D、黒Aと切る狙いが生じています。
このあたりの戦いで黒がリードを奪いました。


11図(実戦)

白の苦しい形勢が続いています。
白1の後は白Aと引くのが自然ですが、黒BまたはCと隅に入られて勝ち目が薄いとみたのでしょう。
左辺を放置して白9とは必死の頑張りでした。
対面の対局ではなくても気迫は伝わるもので、あるいはそれが溝上九段を誤らせたかもしれません。

12図(実戦)

白1が急所のツギでした。
これで周囲の黒が薄くなり、中央も黒地になりにくくなっています。
ここから急に流れが変わりましたね。
白7まで進んでみると形勢は白有利です。
結果は白中押し勝ちとなり、望月八段が本戦に進出しました。


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