SGW杯予選1枠

皆様こんばんは。
本日は8/22(木)に行われた第7回SGW杯中庸戦予選1枠の対局をご紹介したいと思います。
なお、SGW杯の棋譜は全局日本棋院ネット対局幽玄の間で中継されています。


1図(実戦)

1回戦、首藤瞬八段(黒)と堀本満成五段の対局です。
少し前に黒△と白の急所に迫りましたが、代償に黒×を取られました。
この後黒Aと取れば安全ですが、白Bとなった形は後に白Cと打って1眼を作る手が残ります。
黒×を捨てた割には迫り方が甘いと判断したのでしょう。

2図(実戦)

そこで、実戦は黒1と打って眼を奪いにいきました。
白2とつながれても、黒3で攻め合いに持ち込もうというのです。
早碁ですが、黒に不利がないということは直感で分かっていたでしょう。

3図(実戦)

少し進んだ場面ですが、黒1と打ったのを最後に、両者左辺を放置して打ち進めています。
一体どういうわけでしょうか?

4図(参考図)

黒が左辺白を取りにいこうとすると、白4の放り込みがあります。
黒Aと謝るのでは白Bとなってセキ、これは意味がありません。
そこで黒Bのコウ取りから黒Cと連打しての取りを目指すことになります。
しかし、白Dから複数のコウ立てがあるため、黒はなかなか仕掛けられません。
なにしろ、負けて白Aと打たれると黒12子が取られてしまいますからね。
となると現状セキとみておくべきですが、後手を引いて大場に回られた黒としてはやり損ないました。
途中の手順でミスがあったようです。

ただし、この攻め合いは黒は12子ですが、白は21子です。
負担は白の方がはるかに大きいので、状況の変化によってはコウを仕掛けられることもあり得ます。
常に気を付けながら打たなければならないので、頭が痛くなりそうです。
それもあってここからやや白の手が伸びなかったでしょうか。
結果は黒中押し勝ちとなりました。


5図(実戦)

準決勝、首藤八段(黒)と鈴木歩七段の対局です。
黒番ですが、どこに目を向けますか?

6図(実戦)

白×が弱く、下辺左の白もやや頼りない姿です。
また、下辺から伸びた黒大石にもはっきり眼がありません。
ですから、黒1から先制攻撃を仕掛けるのが自然な発想ですね。
さらに黒9と割って入り、白を大きく攻める狙いです。
白10は白A、黒B、白Cという反撃を狙っていますが・・・。

7図(実戦)

黒1の伸びが形の急所ですね。
黒3も急所のハネで、白の形を崩しました。
そして黒13まで押しきり、白16のつらい生きを強いています。

8図(実戦)

さらに、黒1から下辺白をいじめたうえ、黒13の大きな三々入りにも回っています(白2は3の右)。
あっという間に形勢が傾きました。
切りからの攻めの連鎖が上手く決まりましたね。
結果は黒中押し勝ちとなりました。


9図(実戦)

決勝、酒井真樹九段(黒)と首藤八段の対局です。
黒1に対して、ダメをつながない手から考えるのがプロの習性です。
実戦は生きを読み切って白4の要所に回りました。
白が一本取った形です。
オリンピックを見た後に一本取ると言うと非常に重く感じますが、柔道に例えるなら「効果」ぐらいのものでしょうか?
僅かな得のために必死に読んでいるのです。

10図(実戦)

受けてくださいの黒1に対して、やはり白2と反発しました。
白3と受けるプロもかなり多そうですが、首藤八段は特に利かされを嫌う機構が強いですね。
黒はAからの分断を狙っていますが、どうにでも対処できると判断しています。
結果的に黒1、3の2子を取り込むことになり、白が優勢を築きました。

11図(実戦)

黒1に対しては、さすがに白Aと受けるプロが多いでしょう。
分かりやすく形勢有利を保てそうに見えますからね。
しかし、実戦は受けずに白2に回りました。
さらに、黒3、5に対しても受けずに白6とやっていきました。
相手の言うことを聞く気が全くないようです。
この後、黒Aと放り込んでコウ争いになりました。

4図(実戦)

一度は左上隅の黒を取っていましたが、勝ちが明確になったところでようやく白2、4と矛を収めました。
白×に石がきたことには少なからぬ意味があり、左下の白地への侵入を防いでいます。
それで白はコウを仕掛けさせたかったのですね。
結果は白中押し勝ちとなりました。


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