SGW杯予選2枠

皆様こんばんは。
名人戦第3局は芝野虎丸名人が勝ちましたね。
厳しく隙の無い打ち回しだったと思います。

さて、本日は9/16(月)に行われた第7回SGW杯中庸戦予選2枠の対局をご紹介したいと思います。
なお、SGW杯の棋譜は全局日本棋院ネット対局幽玄の間で中継されています。


1図(実戦)

1回戦、安斎伸彰八段(黒)と藤沢一就八段の対局です。
ここまでは白が有利に打ち進めています。
白1、3のハネツギに対して、黒A、白Bと進めば普通ですが・・・。

2図(実戦)

黒1と下がったのが安斎八段らしい粘りですね。
黒7まで、隅で生きたのは大きな利益です。
その代わり、白8と中央黒に迫られましたが・・・。

3図(実戦)

黒1のコスミツケで白2を誘い、黒3、5と二段バネしていきました。
緩みの無い捌きですね。
後に白Aと出られますが、黒B、白C、黒Dと絞ることができます。
黒が捌いた形になりました。

4図(実戦)

黒1のツケが決め手ですね。
この手に受けていると、黒2で要の白×を取られてしまいます。
結果黒3と連打することになり、完全に攻守逆転です。
安斎八段の戦巧者ぶりが発揮されましたね。
結果は黒中押し勝ちとなりました。


5図(実戦)

準決勝、安斎八段(黒)と竹清勇五段の対局です。
黒1の押しに対して、白2とハネた手は面白かったですね。
白Aの切りを狙えるわけではないので、形としては黒1には白3と伸びるところです。
しかし、あえて黒3の切りを誘い、調子で白6の押さえに回る作戦でした。
囲碁には色々な発想があるものですね。

6図(実戦)

黒1と打ち込んでいきましたが、白6の動き出しが厳しいです。
中央黒が孤立しては、白優勢が明らかになりました。

7図(実戦)

白4のハネに対して、おとなしく黒×を守っているようではいけないとみて、黒9と打って白を分断しました。
さらに、白10で右上黒を脅かすのに対しても黒13と迫って逆襲に出ました。
非勢を意識しての必死の頑張りですね。

8図(実戦)

黒の苦しい形勢が続いたものの、かなり細かくなってきた局面です。
ここで黒1の手筋が決まりました。
眼形の都合上白6まで受けなければいけませんが、後に白A、黒Bとなるものとしてこの白地は6目です。
黒1を打つ前に白Aと打たれると、白地7目になるところでした。
僅か1目の差ですが、それが勝敗を分けることもあります。
結果は黒半目勝ちとなりました。


9図(実戦)

決勝、安斎八段(黒)と小松英樹九段の対局です。
黒1と隅の白にプレッシャーをかけましたが、ここで白2の動き出しを決行しました。
白4に対しては黒5が急所で、通常は攻め合い黒勝ちです。
しかし、白6、8と這って手数を延ばそうというのですね。
白8に黒Aなら白Bと打ち、攻め合い白勝ちに変わります。
とは言え、黒はそう打つしかなかったですね。
実戦は黒C、白A、黒Bとなりましたが、隅の白が安泰になり、黒1と打った意味が無くなってしまいました。
早くも白優勢となり、黒の苦難の道が始まりました。

10図(実戦)

黒1とツケて相手を悩ませています。
形勢が悪いからと言って、簡単に潰れるような手は勝負手は打たないのが安斎八段ですね。
ただ、この後白A、黒B、白Cと冷静にかわし、小松九段が優勢を保っています。

11図(実戦)

黒1とは怪しげな手ですね。
こう打っても中央が黒地になりそうには見えません。
しかし、白2の消しを誘い、黒9と遮断してまた相手を迷わようというのです。
一か八かの無理な勝負に賭けるのではなく、ボールを投げ続けて相手のミスを待っているのでしょう。
ご紹介していない場面でも多くの勝負手を繰り出していました。

4図(実戦)

ここでなんと白1と打ち、黒2と切られてしまいました。
2つの白の生きに不安が生じ、一気におかしくなっています。
これは選択ミスとは考えにくいですね。
あまりプロが考えない手ですから・・・。
既に白A、黒Bの交換をしたものと勘違いした可能性もありますが、おそらくクリックミスではないかと思います。
白2とつないでいれば白に負けはありません。
小松九段としては無念だったでしょう。

しかし、投了に追い込まれずに粘り続けた安斎八段の苦労が実ったとも言えるのではないでしょうか。
準決勝、決勝は大半の時間が苦しい形勢で、1回戦も途中までは苦戦でした。
それでも本戦進出を果たしたのです。
「最後まで・・・希望を捨てちゃいかん
諦めたらそこで試合終了だよ」


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