広島アルミ杯予選
皆様こんばんは。
本日は9/9(月)に行われた第19回広島アルミ杯・若鯉戦予選の4局をご紹介したいと思います。
広島アルミ杯は私が入段した頃にできた棋戦ですが、もう19回になったのですね。
出場資格は30歳以下かつ七段以下となっています。

東京の女流1枠決勝、上野梨紗三段(黒)と横田日菜乃二段の対局です。
黒1~5と、黒Aの出切りを脅かしました。
白が打ちやすい形勢なので、手堅く受けることも考えたくなりますが・・・。

白1と急所に伸びて頑張りました。
黒2、4で切断されても、白11、13が成立して損を取り返せるという判断ですね。
捨て石作戦です。

戦いが続いています。
白1ではAとコスミで出れば無難に見えます。
しかし、実戦は目一杯の手を選びました。
Aの弱点は残ったままですが・・・。

白1の放り込み(6の所)から黒を団子にして攻めようというのですね。
自身にも負担がかかりますが、相手に楽をさせないことを優先しました。
この後も白は戦い抜き、最後までリードを手放しませんでした。
タイトルホルダーの上野三段を相手に、横田二段が見事な戦いを見せましたね。

男性・中部枠決勝、保田翔太初段(黒)と鶴田和志六段の対局です。
よくあるケースで、黒Aとシチョウに取る前に黒△と当てなければいけません。
これはプロの中ではルールと言っても過言ではないでしょう。
しかし、白がBとつながなければいけないルールはありません。

実戦は白1と当ててコウを仕掛けました。
白3の損コウを使えば、コウに勝てるというわけですね。
黒6のコウ立てに受けると、次のコウ立てが無いので・・・。

白1とコウを解消し、黒2と連打することになりました。
白11まで、見たことのない形ができましたね。
右上黒12とポン抜いた形も、普通ではあり得ません。
コウがあることで囲碁がより奥深く、面白いものになっているのです。

黒は大きく構え、白1の侵入を待って攻め立てる作戦を採りました。
この後攻めの成果で中央に大きな黒模様が出現し、黒が優勢を築いています。
結果は黒中押し勝ちとなりました。
保田初段は本戦進出を決め、さらに勝ち星による昇段もついてきて嬉しい1日となりましたね。

東京男性6枠、藤村洋輔四段(黒)と竹下凌矢二段の対局です。
白1と打たれたら、どう受けるかを考える方が多いかと思いますが、プロはまず手抜きから考えます。
逆に言えば、白も黒2と打たれることは覚悟しているわけですね。
白5に対して黒Aの切りが成立すれば終わってしまいますが、白BやCの反撃があって白有利と読んでいます。

黒も切れないと読んで黒1と打ちました。
手を抜いた以上、白2、4への対策は決めています。
それが黒5、7という最も頑張った手でした。

しかし、黒8までの結果は意外でした。
白7まで黒×を取られています。
その代わりに白×を攻められるので、一応振り替わりの恰好ですが、これは明らかに白有利です。
弱かった白が大きな地を持って治まってしまいましたからね。

白1に対して黒2とダメを詰めても、白3の放り込みが好手で攻め合い白勝ちです。
早碁ということもあり、ひょっとしたらこの図をうっかりしたでしょうか。
プロも人間なので、誰でも信じられないようなミスをしてしまうことがあります。
圧倒的不利を背負ったものの、黒は粘り強く打って細かい勝負に持ち込みます。
最後は半コウ勝負になりますが、白が勝って半目勝ちとなりました。
竹下二段が本戦に進出しました。

男性合同枠決勝、佐田篤史七段(黒)と伊藤健良三段の対局です。
黒1では、以前は黒Aとつなぐことがほとんどでした。
最近は黒1と打ち、白Bに黒2と打つことが多いですね。
2手かけてしっかりした形を作ろうというわけです。
そこで実戦は白2と伸び、黒Aと受けさせてから白Bという進行を目指しましたが・・・。

受けずに黒1と押さえて騒動になりました。
白2の切りには黒3から2線を這って手数を延ばし、黒9、11と眼を取って攻め合い黒勝ちです。
代わりに白は黒2子を攻めることになりましたが、これは黒有利の分かれですね。
外の白7子もそれほど強いわけではないからです。

白1とカケた瞬間、黒2のツケが飛びました。
黒3とAという2つの狙いを見られては、白は抵抗できません。
白3とつらい形で受けたのはやむを得ませんが、黒としては良い利かしになりました。

黒△のツケから5手後、具体的に役に立ちました。
黒1(Aの所)の切りから黒3と逃げたのが好手順です。
黒9まで脱出して、左右の白が弱くなっています。
厳しい決め手でした。
結果は黒中押し勝ちとなりました。
ぜひnoteのフォローをよろしくお願いいたします。
なお、noteの会員登録についてはこちらをご覧ください。
また、記事にコメントもできるようになりました。
お気軽にご投稿ください。