COTEN RADIO 民主主義編 -1-
みなさんこんにちは!
しらいです!
みんな大好き COTEN RADIO!
今回から、「COTEN RADIO 民主主義編」をまとめたいと思います。
民主主義の定義の難しさ
民主主義とは何かと問われても、即答できる人は多くないでしょう。それは、人によって異なるイメージが思い浮かぶためです。例えば、マルクスの思想は「マルクスの思想」として一つの体系があると考えられますが、民主主義はそうではなく、さまざまなイメージが脳裏に浮かびます。有権者の政治意識、議会制や選挙制度、ロックやルソー、モンテスキューといった社会契約論、フランス革命、デモや多数決など、幅広い連想が生まれるのです。
また、民主主義に対して「皆で力を合わせて権力を獲得する」「政治の不平等や不満を正す」といった、アメリカ独立革命やフランス革命のようにエネルギッシュなイメージを持つ方もいます。
このように、民主主義という言葉から連想されるものには温度差やグラデーションがあるのです。これは政治体制やイデオロギー、人々の立場や行動様式によっても異なります。
辞書的には「人民が権力を所有し、行使する政治原理」と定義されますが、「人民」とは誰を指すのか、権力はどのように使われるべきなのか、人民が自分自身を統治するとは何を意味するのか、といった疑問も浮かびます。歴史的に、多くの政治思想家によって理論が構築されてきましたが、定義に関してはさまざまな議論が続き、どの定義も反論を招くのが民主主義という概念なのです。
民主主義も資本主義も自然発生的
資本主義も民主主義も、特定の誰かが「これが資本主義だ」「これが民主主義だ」と定義して生まれたわけではありません。人々がさまざまな試行錯誤を重ねる中で、「これが民主主義」「これが資本主義」という形に自然と形作られていったのです。例えば、北朝鮮は「朝鮮民主主義人民共和国」と名乗っていますが、実際の体制は民主主義とは大きく異なります。このような例からも、民主主義の理解が一筋縄ではいかないことがわかります。
民主主義を理解するには、そもそも民主主義には多様な議論や見解が存在することを前提に捉える必要があるでしょう。
民主主義の危機:ポピュリズムと独裁者の台頭
現代社会において民主主義は世界中に広まっていますが、同時にさまざまな問題も抱えています。近年よく耳にする「ポピュリズム」という言葉は、衆愚政治に近い意味合いで使われることが多いです。例えば、イギリスのEU離脱(ブレグジット)では、国民投票により離脱が決定しましたが、極右の情報操作により投票結果が左右されたとの指摘もあります。
2016年のアメリカ大統領選挙でトランプ氏が当選したのも、ポピュリズムの一例と言えるでしょう。彼は政治のアウトサイダーであり、フェイクニュースの活用や過激な発言で注目を集めました。このような現象は、民主主義が本来の機能を果たせていないのではないかという懸念を引き起こしています。
さらに、民主主義が危機にあるとされる要因の一つとして、独裁的な指導者の台頭が挙げられます。トランプ氏にも独裁的な一面があり、批判的なメディアを攻撃したり、アメリカ第一主義を強調したりしました。また、ロシアのプーチン大統領、中国の習近平国家主席、北朝鮮の金正恩総書記、フィリピンのドゥテルテ大統領、トルコのエルドアン大統領なども、独裁的なリーダーとして知られています。近年、このような指導者が世界的に増加している状況です。
こうしたポピュリズムの潮流の中で、時に独裁的な指導者が選出されることがあります。民主主義は本来、国民が主権を持って政治を行う制度ですが、人々は時に、すべてを自ら決断し力強く導いてくれるリーダーを求めてしまうのです。しかし、そのリーダーが攻撃的で、人々の意見を軽視する独裁的な人物であれば、過去のヒトラーのような危険をも想起させる可能性があります。
古代ギリシャ以前の民主主義
「民主主義」という言葉は古代ギリシャ語の「デモクラティア」に由来していますが、実際には古代ギリシャ以前にも集会民主制のような制度が存在していたことがわかっています。オーストラリアの政治学者ジョン・キーン氏によれば、民主主義の起源はバビロニアやアッシリアといったメソポタミア文明にまでさかのぼり、フェニキアを通じて古代ギリシャへと伝わり、民主制の基盤が築かれたとされています。こうした背景から、文明の初期段階で既に民主主義の原型が存在していたと考えられるのです。
古代から続く民主主義の議論:ダレイオス1世の事例
民主主義の起源をめぐる議論は古代ギリシャ以前に始まっており、ペルシャ帝国のダレイオス1世(紀元前2600年頃)もその一例です。ダレイオス1世の時代には、重要な人物7人が集まり、民主制、寡頭制、独裁制という三つの体制の長所と短所について討論が行われた記録が残っています。
この討論の中で、オクタネスは民主制を支持し、「一人の独裁者が権力を握るのは良いことではなく、避けるべきだ」と主張しました。一方、メガビュゾスは寡頭制を支持し、「民衆に主権を委ねると衆愚政治に陥りやすく、賢明な統治は難しい」と述べています。
最終的にダレイオス1世は「最も優れた一人が統治する独裁制こそが最良の体制であり、敵への防御も強固である」とし、7人中4人がこの意見に賛成しました。こうして独裁制が採用され、ペルシャ帝国はその後、勢力を拡大していきましたが、最終的にはアレクサンドロス大王によって征服されることになります。
この議論は、現代におけるポピュリズムの問題にも通じるものです。現代でも「強力な指導者による統治が望ましい」とする意見が見られますが、そのような指導者は攻撃的であったり、他者の意見に耳を貸さない傾向があり、危険視する声もあります。
今回はここまでです。
ありがとうございました!
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