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トライに立ちはだかるのは自分自身

還暦を過ぎて、自分の人生の残り時間を意識するようになった。
震災以降明日死ぬかもしれないと思って生きるようにしてきたが、
それでもどこかで人生はまだまだ続くと思っていた。

やり残したことができる限りないようにしたい。
それもかなり欲張りな感情ではある。
しかしああすればよかったと最期を迎えることがないように人生を全うしたいと思う。


何か新しいことを始める時、色々な壁がある。
例えば、
時間がない...
とか。

この原因はやりたいことができないような状況にがんじがらめになっている。
多忙な職場、介護、子育てなど、自分自身ではどうしようもないこともある。
時間は有限。
でも自分を縛っている状況の中には、自分でハードルを上げていることがあったりする。そこまで完璧にしなくてもいいこととか、人に頼ればいいこととか。
トライしたいことの優先度を上げて、何かを捨てれば不可能ではない。
(私は最終的にサラリーマンを捨てたけどね そこまでせずとも)

あるいはお金がない....というハードル。
習う費用がない。機材や設備が買えない。
これも切実だけど、時間に比べれば、解決策はありそう。
世の中には教えたいという人は山ほどいて、中には営利でない人もいる。
何かと交換で習うということもできそう。
機材などのハードは最新、新品の高性能に拘らなければ抜け道はいくらでもある。

時間もお金もないというのはなかなかヘヴィな状況であるけれど、時間かお金があるなら、解決策は何かありそう。
だから上記のどちらかを解決策を見つければなんとかなる。


楽器演奏に限った話ではないけれど…


ここまでの話は、外因的なこと。私やあなたの外側にあるハードルのこと。
次にあるのは能力的なハードル。
自分のハードル。


やりたいと思ったことを試して見たら、あーやっぱり全然ダメだ〜となることは多い。思っていたのと違うということもある。
真っ直ぐに思惑通り到達するとは限らないし、試してみたら思惑と現実のギャップにガックリしたり。

私は長年、美術制作をしてきてて、ある思いつきから実現させるまでの長い道のりを何度も辿っている。作品制作はそういうハードルの連続でもあるけれど、メンタルトレーニングとしては結構役に立っているかもしれない。

それを乗り越えようと練習や訓練をするのが正攻法だけど、一晩寝て翌朝、こうしてみたらどうかとか別の解決策を探ったり。
誰かに相談するとか。
あるいは小さな改善策をコツコツと積み重ねるとか。
他の分野でもおそらくそう変わらないからメンタルトレーニングとしては役に立っている。

当たり前だけど、人間万能ではないので努力やトレーニングで越えられない壁もある。例えば声質とか体格とか造形感覚とか不得意能力とか。
アレルギーなど体質的にできないこともあるだろう。

テクノロジーの力を借りるとか、できる人と組むとかいうのも解法の一つ。
音楽のセッションやバンドはそうだし、映画やアニメなどのチーム制作もそう。
自己分析に長けているならできることの中で最善の方向を探るというのもあるか。絵はうまくないけど、インスタレーションのような空間的なものは得意とか。
自分の声はロックでは無理だけど、弾き語りなら良さそうとか。


持ち味の優劣も表現志向によって変化する。
その時、自分の志向と折り合いがつけられるか。
さっきの歌声が典型。
体力や身体能力もそう。
その辺も悩ましいね。


美術制作だって何になると自問すると答えに窮する


ここまでの話は、割と目に見えるハードル。
もっと厄介なのは内因的なハードル。
自分の中にあるハードル。

これやってどうする?いまさらそんなことしてなんになるの?

という感情はいつも、次々と襲ってくる。
歳とは関係ないかもしれないが、歳も関係する。
長い人生、誰でも大なり小なり挫折と諦めの感情が堆積している。


こんな成果や報酬を求めてしまうこと。
求めること自体はいいけれど、その結果を想像して気持ちが萎えてしまうこと、
モチベーションが減退してしまうこと。

対価やコスパ、タイパのような報酬系の行動様式に慣れすぎると、
成果の期待できるかどうかわからないことに打ち込みにくい心理になるのかもしれない。
それが歳を取るということかもしれない。
若い時は好き、楽しいというだけで突っ走ることができたから。

今、何かになりそうなことは見当たらないので、まずは「トキメキ」を頼る。
楽しみのためだけにするというのはあまり得意ではないが、
初めて未知の楽しみを知り始めた中学生の頃の気持ちを思い出して。
あの頃は何かになるということは関係なかった。
純粋に楽しむ。

こんな簡単なことが難しいとは。

楽しみたい。


今そういうことができる身であることに感謝しながら。

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