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個人でメディア取材を30件ぐらい受けて思ったことと実践例

個人活動についての取材をけっこう受けたので、一度取材された経験について書いてみたいと思っていたところ、先日バズった下記の記事に駆動されました。あんまり推敲していないので参考程度の流し読みがおすすめです。
(書いてみたら、批判的な記事にも擁護的な記事にもなりませんでした)

上の記事を読んで思ったのは、一口に取材と言っても扱いや考えかたがかなり違うということです。なのでこの記事の結論/要約として、メディア取材という言葉だけで過度な警戒や喜怒哀楽をする必要はないと言いたいです。また、僕が受けているタイプの取材以外については触れていません。

メディア取材を受ける良いところは自分で発信できる範囲の外に自分の活動や考え方が届くことだと思います。僕自身、個人で興味深い試みをしている人が好きでもっと知りたいので、余力があるならメディア取材を受けてほしいなと考えています。この記事がそんな個人活動をしている人の参考になれば幸いです。

それと、普段目にしている取材ベースの記事や報道がいかにして作られているのかを感じやすくするためにも、取材を受けてみることはおすすめです。

なお取材は2016年頃から受け始めたので比較的最近の事例と言えると思います。

受けた取材の種類や媒体について(前提情報)

まずは取材の種類や内容について。僕は手帳類プロジェクトという人々が書いた手帳や日記を集めて共有する活動をしています。東京都参宮橋のピカレスクギャラリー内にある手帳類図書室では50人400冊の私的な記録を読むことができます。よって取材のほとんどはこの活動に関するものです。収集家へのインタビューか手帳類図書室(施設)の紹介という形が多いです。

取材者が伝えたい主張を補うための取材を受けることもありますが、それも上記プロジェクトの立場で打診されます。よって元記事で想定していそうな取材(例えばTwitterとかで見かける「画像や動画を使わせてください」やバズったツイートについての取材)とはかなり違うかもしれないです。

次は取材をうけた媒体について。Web、テレビ、雑誌、ラジオ、新聞、書籍、学生の課題レポートなどです。数は数えていないので正確ではないですが、おおよそ満遍なく受けています。時間的余裕がない場合は断っているので、打診数自体は50〜100件ぐらいあります。もちろん条件や内容でより好みはしていますが、ゴミ箱に入れたくなるような内容の打診はほぼありません。(※取材をされる方へ。繰り返しになりますが、基本的に心身の余力で受ける受けないを決めています。)

取材の打診に対して最初の応答でお願いすること

主に2つあります。1つめで大事なお金の話をしますと、最初の打診で報酬について書かれていない場合、無償では受けませんという条件を返信しています。メディアによって予算も違うようなので、額については要望をだしていません。統計としては5000円未満は記憶にありません。

無償じゃないと取材しないというケースは10件に1件もなくて、最初に報酬を提示しない打診でも無償前提ではなさそうです(たぶん)。

一応書いておきますと、(ライターの方と会ってみたいなど)よほどのメリットを感じられたら報酬の話題には触れません。ただこのケースも10件に1件もないです。他のケースでは、研究や勉学は応援したいので学生の方の課題も例外です。こちらは見返りは求めていません(ただし出来上がったレポートや論文は見せてほしいとはリクエストはします)

2つめ。企画段階で本採用が決まっていない段階での取材は、過去の取材記事や体験施設を案内してお断りすることがあります。このパターンではプロジェクトについてあまり調べずに打診している場合も多いため(これが本来の取材の意味だろうか?)、時間が惜しい場合は見極めるようにしたほうが良いです。こういったケースに備えて、取材者用まとめページを作っておくとURLを貼って返信するだけなのでスムーズです。

原稿確認について

ウェブメディア・雑誌などの文章媒体について言えば、原稿の確認依頼はほぼ100%来ています。むしろ何度も確認がきて応答がたいへんなこともあるぐらいです。修正を依頼した箇所もほぼ100%対応していただいているし、公開後の修正にも対応してくださるところは多いです。
(僕はプロジェクトに関して取材をする側の主観で批評しても良いと思っているので、主観や意見に対して訂正依頼をすることはないです。この点で参考にならない人もいるかと思います)

プロジェクト依存の話題(読み飛ばし可能)
誰かが書いたスケジュール帳や日記という個人情報を含んだものを扱っているプロジェクトなので、中身の画像を使う場合は個人特定される可能性がなさそうなページを採用してもらったりモザイクをかけてもらったりしています。こちらも対応をしぶるメディアは記憶にありません。よほどの直前じゃなければ対応していただけるという認識です。

マスメディアの場合は、元の書き手の方に画像の使用許可を確認してもらうこともお願いしていますが、これについてもほぼ対応していただいています。

メディア取材で不満に思ったことと、対応例

電話をしたがる:電話は苦手なうえ時間の同期が負担なので、最初から電話で取材を求められた場合はメールのみで連絡をしたいですと伝えるようにしています。一方で当日の待ち合わせや急な連絡などにおいては電話は有用で双方の安心につながるため、前日か当日に教えるようにしています。

上下関係がかなりの体育会系:企業のカルチャーについて僕にどうこう言う権利はないのですが、部下に八つ当たりをしている収録現場など、自身は丁寧に扱ってもらっていても間接的に精神ダメージを受けるという体験をしました。特にロケや収録系の取材は注意が必要です。そのノリに加担しないことぐらいしか対応は思いついていません。

一度断っても食い下がってくる:自分の対応力やキャパシティの問題でもあるのですが、断るのも辛いし労力がいるので、忙しいという理由で断ったときは期間をおいて再打診してほしいです。再度断るときはさっと短く返信しています。

一方で不採用のときに連絡をくれない:一言メールで言ってくれるだけで良いのですが、忙しいのか連絡をくれないケースがあります。返事がないなと思ったら問い合わせるか、企画段階なら忘れたほうが速いです。

一点物の作品や商品の扱い:大事さを認識していないケースも少なくないので、貸し出すときは十分に注意/検討しましょう。何かあったときお金で補償されても意味がないので。

原稿確認の締切が短い:あんまり先の締切だと忘れられるケースもあるからかもしれませんが、仕事と個人の活動をやりくりしているケースもあるので明日中にはきついです。3日ぐらいはほしいところです。

締切日=打診日:報道系の番組で極稀にあります。締切が短すぎると確認のフローがとれずリスクが高いのでお断りしています。ただしフォローとして、公式サイト公式Twitterにあるツイートや画像を好きにつかって報道するのはOKとしています。複製されても書き手の方に不利益がでないよう配慮したつもりのものだからです。

取材後にマイナンバーをコピーして返送してくださいという書類が送られてくる:
労働感があって辛いのでなんとかならないかと思いますが、メディアの方の問題というよりは国の制度の問題だと思います。

挙げてみると、ほうれん草に関することが多くなりました。取材側は仕事で行っているのに対し取材を受ける側は仕事時間の外で対応している非対称性から生まれていると考えています。

メディア別の雑感/反響などを中心に

テレビ
強いです。ゴールデンタイム/深夜番組、地上波/BSで反響がだいぶ違いますが、強いです。学生時代の友人知人から連絡がきたり、放送後に収集家個人を調べたまとめサイトがタケノコのように生えたりました。反響が出やすい番組とそうじゃない番組があると思います。

例えば5時間かけて取材や収録を行ったものが、数分とか数秒とかに圧縮されるというのは元記事にも書いてあるとおりです。成果物の時間が気になるばあい、番組の尺や内容を下調べしておくと良いです。また制作会社によってワークフローや対応の丁寧さが違うので、打診を受けたら制作会社のウェブサイトや取材依頼者の名前で調べるようにしています。

やはりテレビは体力があります。ひとつの企画に対して複数人に打診して企画会議で絞り込むというのもテレビならではというか、テレビ以外のメディアで打診後に不採用(リリースされないこと)になったことはありません。人もお金も手間もかかっているメディアという印象です。

報酬は額で言えば平均的に高いですが、準備を含めた時給に換算するとさほどではないことも。最高額は有料部分に記載しました。

リリースまでの応答回数も多く、率直に言えば一番心身ともに疲れるメディアです(個人差があります)。良い意味でも悪い意味でも。

現在の個人的な指針ですが、会いたい人がいる番組かどうかで判断します。僕は叶姉妹さんと話ができるなら何が何でも出ると思います。あとは報酬額が高めだったらがんばろうという気持ちが微増します。


ラジオ
個人的には一番負担がすくないメディアです。こちらも反響は番組次第なところがあります。固定ファンが多い番組とそういでない番組で反響に差がありそうな印象です。放送後にTwitterなどで紹介してくれることも多いです。

個人的には、話すのが下手なので練習になっていてありがたいです。ただ生放送は返事が遅れて無音になるというプレッシャーがあり、毎回お腹が痛くなります。

受けたときの時間的コストですが、だいたい放送日数日前に台本が送られてきて、打ち合わせは当日の出演前に……というケースが多いです。台本といってもそれ通りに話さないといけないという厳しさはなく、前後したりすっ飛ばしたりしても大丈夫。プロのDJや進行役が臨機応変にカバーしてくれます。

ウェブ・雑誌・書籍・新聞
モノとして残るのがありがたいです(ウェブ記事以外)。実家や知人への活動アピールになるし、図書館などにおいてもらえたらリアルタイム以外でも見てもらえる可能性があります。ウェブは公開後も修正してもらえる点がありがたいです。

読み物系メディアは取材自体もゆっくりと考えて答えれるし、深い部分を伝えたいときに向いています。テレビやラジオなどの時間系メディアはどうしてもインパクトや伝わりやすさを求められます。結果的に自分の場合だと「集め始めたきっかけは?」「今までで一番印象に残った手帳は?」「何が面白いんですか?」みたいな質問になりがちです(毎回同じことを聞かれるほうが良いという人もいるかと思います)。

言い換えれば、活動内容よりも活動している個人やキャラクターをアピールしたい場合は読み物系メディアは向いていないように感じます。

余談ですが、新聞取材において公式サイトのURLなどアクセス情報の記載がNGなケースがありました。理由を聞いてみたら、PR記事として受け取られてしまう可能性を減らすためとのことでした。宣伝効果を期待して取材をうける場合は確認しておいたほうが良いです。

まとめ

この記事ではメディア取材に対する不満もかなり列挙しましたが、もともと取材に対して思っていた先入観よりは丁寧で安心できるケースがほとんどでした。

最後の最後になりましたが、素敵な取材者のかたも多く、これが取材を受ける最大のメリットだと思います。丁寧に準備された取材からは、活動や考えについて新たな発見をもたらすケースも多いです。自分の場合は取材がきっかけで取材後もお話させていただいているかたもいます。


おまけ これまでの取材の最高額(額のみでタイトル名は非公開)

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