【Traveling】令0603〈05.千綿駅〉
11時56分,長崎行きの列車からホームに降り立った。
あー,行っちゃった。
雲間からわずかに青空の覗く大村湾。
とても穏やかな水面。
湾口はかなり狭く,地図上で見るとほぼ湖のような閉鎖的な海域である。
佐世保方面を向くと見える岸は,片島と大崎半島の出っ張り?
何れにしても向こう岸が明瞭に見通せるので,前述の通り湖のような感覚になる。
海岸線に沿ったホームが描く緩やかなカーブ。
駅舎内へ。
レトロな趣きの木造駅舎。
見た目とは裏腹に1993年に出来た平成生まれの建物らしいが,そんなことも一切気付かなかったぐらいの貫禄というか風合いがあって,とても雰囲気に合っているなと思う。
駅舎内には2年前から花屋さんが入っている。
駅ノートは7冊。
よく商業施設に掲示してある「お客さまの声」みたいなものを眺めてしまうタイプの人間なので,駅ノートも7冊きっかり読んでしまった。
九州内外の各地から,果ては国外から旅でやってきた人の記録だとか,地元がこの辺りだった人だとか,悩みがあって何処かに行きたかった人だとか,それぞれの目的をもってこの場所を訪れていることがよくわかる。
単純に他人の筆跡を見るのが好きだということもある。
今の時代,見ず知らずの人の手書きの字を見られる状況って意外と無いのでないか。
ワワワワワワワワワワ。
ありました。ありました。
この千綿駅に来た別立ての理由。
決して押売りするつもりはないのだけれど,これ本当にいい曲なんですよ(個人の感想)。
HKTに出会った曲というかきっかけそのもので,受験期によく聴いてました。
JR九州の協力のもと,鉄道の絡んだストーリー仕立てのミュージックビデオ。すてき。
九州のさまざまな場所が映像中に登場するのだが,この千綿駅も中盤あたりに登場する。
この駅で降りたのは,その意味もあった。
人生ではじめて「聖地巡礼」という行為をしたのです。
せっかくなので書き込む。
またいつか来たときに読みたいな。
駅舎の外へ。
「千綿駅 CHIWATA STATION」。
そのぎ茶占有率100%の自販機。
最下段はあったかい。
駅前の国道にある歩道橋に上ると,大村湾をバックに駅の全容が観えた。
凄い場所にある。
駅前の民家。
住所で言えば,東彼杵町駄知郷にあたる。
歩道橋を降りて反対側に。
「お茶とくじらの町 東そのぎ」。
ここ東彼杵郡東彼杵町は,「そのぎ茶」の産地,そして近世には長崎街道の宿場町,また平戸街道の起点という交通の要地にあって,捕鯨産業の中心地として栄えた歴史をもつ。
そろそろ時間だろうから,駅に戻る。
表裏が逆さまで両隣は目張りされながらも,数十年来,真っ黒で無骨な文字が掲げている駅名は変わらない。
東彼杵町,こんどは彼杵駅の方にも行きたいな。
さて,もう少し南下しよう。
〈06〉へ続く。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?