本当の本好きの みなさんへ こんばんは 長野県茅野市の今井書店・本店、店長タカムラです。 七都道府県が緊急事態宣言となりました。都内の書店さんも時短や休業となりました。東京から2時間の今書(いましょ)こと今井書店も来客はぐっと減りました。 SNSではAmazonで本を買うしかない、という声が上がっています。 また、オンラインで本を買ってください、という情報もアップされています。 今書では本を送ってください、と言う方には送料300円を頂き、本をお送りいたします。
1月31日、私は後楽園にいました。2016年に発売された暮しの手帖83号、彼女のチカラにとりあげていただいた時、彼女への質問で将来の夢を聞かれた。私はプロレス団体「ドラゴンゲート」のシナリオを書く。と書いた。それに関してはたった一人、反応してくださった。他の人は触れもせず、であった。プロレスはまだ市民権への道は遠いと肌で感じた。さて、反応してくれたのは年若い出版社にお勤めの女性だった。今回、その彼女を誘った。忘れてはいけないので先に言う。私はその人が大好きで尊敬もしている。
肩胛骨は羽根の名残 この背中を見てその本を思い出す人がいるんじゃないかな。だったら本読みだと思う。本読み、私の好きな人種です。 この題に反応してくれた人はすなわち、戦う君なんだ。戦ってる人にしか戦っている人間の気持ちはわからない。同様にさみしい人間にしかその気持ちはわからない。けれど、自分がさみしいかどうかはやはり自分ではわからないようだ。さみしい、とわかっていたら誰かにやさしい言葉をかけられただけで舞い上がったりしない。自分のさみしさに気付いていない人は浮かれてしまう。
2019 IPPIN文庫 『昨日のカレー、明日のパン』木皿泉・河出書房新社 最近、古い文庫を再読ばかりである。なかなか、新しい作家にたどり着かない。つまりは私は古典しか読んでいないのである。絵本の世界ならそれでも良い気がするが、本屋としてどうなのよ?と思う。かと言ってお客さまに勧められた本でキター!、と萌える作家もない。 私は本が読めなくなったのか・・・。 この一冊もある版元さんに勧められて読んだのだ。この本を私が読んでいないという彼の読みは当たって
くだもの、と言われて何を一番の思うだろうか。 私はりんごだ。りんごは生まれ育った地のくだものだからだ。年を取って身びいきが強くなり、えり好み地元産のりんごを食べるようにしている。りんごが、りんご農家の自動販売機で売られるようになると、冬がそこまで来ているのだ、と自販機の前で少し寂しくなる。その自販機はなぜか400円でりんごが売られていて、500円だと思い込んで500円玉だけをいくつか握りしめ買いに行った時、一袋も買えなかった。呆然と立ち尽くした自販機の前である。りんごはきれ
台風19号がやってきた日 私は濁流を眺めていた。 産まれて初めて見る濁流だった。 茶色い厚みのある水がごうごうと激しく流れていた。 新しい橋に車を止めて私は濁流を眺め続けた。 それには見る者を引き離さない強さがあった。 この河原は私の幼い頃、禁断の場所であった 祖母に1人では絶対行ってはいけない、ときつく言われていた この川の橋の下 まだ河原に家が建っていた頃の話 私は拾われたのだ。 教えてあげる 従姉は言った 橋の下泣いているあんたをわたし達が見つけたの。あんま
今年に入り日本のあちこちを訪ねるようになった と言ってもささやかな旅だ 知らない町を電車に乗って1人歩く 会いたい絵を観に行く、と言うパターンが圧倒的理由だ だから遠くに行っても名物が何で、とかも知らない 絵を観て心が激しく動かされ 時に暖かな抱擁を受ける その暖かさに電車で1人泣いてしまうときもある 在る町に絵を観に行った その時少し寄り道をした その町に行くのに僕の生まれ育った町を歩いてみない? 彼のススメで、白い美しい城に私は登った 天守閣から彼
人は生まれ時は人でありながら人でない、と思う 無垢に生まれた人はこの世界の哀しみや喜びに折り合いをつけて人として成長するのだろう。 そして人は 人は強く やさしい存在となる 生まれながらにして強く やさしい。 けれどなぜだか弱くなり、そしてやさしさを忘れてしまう。 それが人なのだろう そして人は1人では生きては行けない 1人で強く やさしく生きたい 誰も傷付けることなく
新しい靴をはいて出かけよう もう好きな靴を選んでよいの 赤い靴を履いちゃダメとか ヒールじゃなくちゃとか 考えないで 遠く遠くまで歩いて行ける靴を そんな靴を見つけたら 流れ星を見に出かけよう ぼうしを、かたわらに
跨線橋の上から いつも あなたを見送った 跨線橋 北を向けば TOKYO あなたが帰っていく街 このちいさな青い花の名を あなたは きっと知らない きれいだねって いい香りだねって うれしそうに 帰ったら水に浮かべるよ 忘れてしまえばいいのにね 昔の約束なんて 小さなころ 身を寄せ合ってたことなんか 大人から捨てられた子どもたちのことなんか その大人たちだって あの頃 必死で何かを貫いていたんだって どうしてあなたは思い出してしまったのかな 約束
みつけたよ 本屋で絵本を立ち読みしたんだ 昔 贈られた本と同じ名前を本屋でみつけたよ 売れっ子なんだな その人は 小さなフェアみたいに 何冊か並んでいたよ 華やかに新刊です!と その人のサインの色紙もあったし サイン本も並んでた でも僕はそれじゃない ちょっと大きな絵本は手にしたんだ その人の本は2冊僕にある 1冊の短編集にはある話に付箋があったっけ 知らなかったよ こんなに たくさん この絵本を僕に送って来なかった訳も今ならわかる気もしたような そして 僕は
どうぞ て差し出した君の手 その左手を眺めてみたよ 時計をした姿なんて見たことないのに うっすらと 左手首に 時計の日焼けのあと 人差し指でなぞってみたよ 日差しの下 君はどんな顔して笑うんだろ
春が苦手だとひそやかに笑う君がいた なんだか色んな香りがうるさくて そう言って咲いたばかりの小さな野ばらに触れた アイスブルー アイスブルー? 君が春を怖がるのはみんなが君を置いていったから 1人 また1人 あの茶の間から 姿を消していった そういう僕も そう 僕も君を置いて電車に乗った みんなと同じ すぐ帰ってくるから と嘘を吐き 君はわかっていたんだろう あの時は泣きもしなかった 本当は君は泣き虫なんかじゃなくてみんなのために泣いていただけ 小
その7くらい 雷なれば だれが君にタオルケットを巻き付けているのかと 胸のあたりがざわざわする 雷なれば みんなでおなかの虫がいなくなると歌ったもので 大人もおなかをおさえておおさわぎ それでもやっぱりしくしく汗をかきかき君は泣く たいへんだ 泣く子が雷さまは大好物だ バリバリイナズマは雷さまの手下泣くを子を探してる 誰かの一言に 大変だ 隠さなきゃ 君をタオルケットでぐるぐるまいてみる これでだいじょうぶ 見つからない まるで さなぎ みんなで
薔薇を選ぶようになったのは 薔薇を頂くようになったから たくさんの 色とりどりの 変わった種類の 薔薇だけで他の花などは付かず 赤い薔薇は恥ずかし気にさえ佇んでいるわけで 昔、年若い友が 朝 「おはよう」 そして 「電車の中、ヘヴィメタルレディの『薔薇は美しく散る』を聴いてあなたを思っています」 と、メールをくれた その歌のように生きろというのだね、私は どうか私に薔薇を選んで 一輪でよいから 散ってもいいいよ などとと笑って あの人
その10 くらい ぽとんぽとん、は なんの音 さらそうじゅが落ちる音 ぽとんぽとん、は なんの音 さらそうじゅが落ちる音 さらそうじゅ、僕は頭の中で変換する 沙羅双樹 沙羅双樹の花の色、盛者必衰の理をあらはす、の沙羅双樹 この町では花一度に咲く 桜も木蓮もれんぎょうも山吹も。順番になんかない。それはこの家に寄り集まった僕らみたいだ。 長い休み、僕らは田舎の真砂屋という古い家に集まる。集められる、そっちが正しいのか。 「駅から跨線橋を東に越えたらすぐ見える