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Shippio井上が協和海運社長に就任 鈴木前社長と語る、M&Aから2年の振り返りと今後のビジョン

Shippioは2022年7月に60年以上の歴史ある通関会社「協和海運」をM&Aしました。スタートアップによる老舗実業企業の買収。その先駆けともいえるM&Aを推進してきた井上が、この度協和開運の新社長に就任いたしました。
M&Aから2年で取り組んだこと、両社の変化と進化、そして今後の展望について、井上と前社長の鈴木との対談から紐解きます。

Shippioと協和海運、それぞれのナレッジを活用し合える基盤を築いた2年間

Q:M&A後にまず始められたこと、そしてこの2年間での取り組みについてお聞かせください。

井上:最初は有線のネット環境だった事務所にWi-Fiを飛ばすところから始めて、Shippioのフォワーディング事業での案件を協和海運と一緒に対応していく体制をつくってきた形です。業務連絡やコミュニケーションにおけるデジタルツールの導入、データや業務ツールのクラウド化など、より業務を可視化できる体制を整えてきました。
社員の皆さんには、今までの協和海運のやり方にShippioの強みであるデジタルを取り入れるトライしてもらいました。協和海運、Shippio、それぞれの知見や良い部分を尊重しながら、徐々に一緒に進めていくことを意識しており、この2年間で、業務の可視化と効率化に向けた基盤を整えることができたと思います。

Q:鈴木前社長をはじめ、協和海運の皆さんにとっては大きな変化があったと思います。M&A完了当時の率直な心境や2年間一緒にやってきての変化についてどう思われますか。

鈴木:実は協和海運は以前はほとんど残業のない会社だったんです。正しくいうと残業するほど案件をたくさん抱えていなかった。それがShippioと一緒になって180度変わりました。案件も増えやり方も変化して、仕事量が増えました。社員も正直、当初は戸惑いがあったと思います。
でも今に至っては、Shippioと一緒にやっていこうと社員たちが一丸となり、新たな体制で仕事に取り組んでいます。率直な話、仕事が増えるとその分収入も増えますし、やる気のある社員にとっては良い環境になったと思います。

協和海運 鈴木前社長

Slackの導入、オフィス移転、評価制度、数々の変化を前向きに捉えてくれた社員たち

Q:2024年の5月には元々の事務所からオフィスも移転し、物理的な環境変化もありましたね。

鈴木:以前の社屋の老朽化もあり、移転については2024年年明けから井上さんと話が始まりました。井上さんがすぐに動いてくれて3月頃には具体的に移転先も目処が立ち、実際移ってみるととても働きやすい環境で社員も満足している様子です。

2024年に移転した新オフィス

Q:先ほど2年かけて体制を構築してきたというお話でしたが、具体的な日々の様子について教えていただけますか?

井上:まず案件管理のシステムを2社で共通化し、協和海運とShippioのオペレーションチームがスムーズにリアルタイムにコミュニケーションを取るために、協和海運にSlackを導入し、相互にやり取りができるチャンネルでコミュニケーションを取る形にしました。一緒になる前は業務上でアナログな部分も多かったので、徐々に新しいツールや方法に慣れていただき業務もスムーズに進むようになりました。

鈴木:以前はメールや電話でのやり取りが中心でしたが、Slackを使うようになって便利になりましたよね。案件数が増えた中で業務が効率化され社員も仕事に取り組みやすくなったと感じています。

井上:あとは社員の評価や査定の仕組みも少しずつ進化させていて、評価のタイミングで全社員と鈴木さんと私で面談をしています。1on1などの日常的なコミュニケーションも徐々にこれから良いやり方を模索したいと思っています。

協和海運 井上新社長

一人ひとりとの対話と組織を超えたコミュニケーションで自然と一緒になれた

Q:新しい環境に慣れる過程で印象に残っている事はありますか?

井上:特に印象的だったのは、一緒になって数ヶ月後に協和海運の全社員と1on1の面談をさせていただいた時のことです。直接じっくり対話してみて、皆さんがすごくポジティブに一緒にやっていくことを捉えてくれていることがわかりました。
今の紙だらけの業務のやり方を変えなければいけない、仕事も増やしていきたい、でもやり方がわからない、どう変われば良いかわからないといった声が多くて。変化することへの拒否反応がほとんどなく、むしろ変化を前向きに捉えている方が多いことを実感できました。

鈴木:仕事以外の面でいうと、Shippioのみなさんの方から合同の飲み会、忘年会などコミュニケーションを取る機会をたくさん作ってくれたのが印象的でした。これまでの協和海運はそういった社内行事があまりなかったので、こうした交流を通じて自然と一緒にやっていけそうだという気持ちを高めていけたのではないかと思います。

Q:この2年、鈴木さん、井上さんはどのような役割分担で動かれていたのでしょうか。

鈴木:具体的な役割分担はなく、井上さんと一緒に走ってきた感じです。ただ井上さんが経営面やシステムの統合のあたりをメインに進行してくれたので、私自身はより社内の仕事に専念できるようになりました。

井上:そうですね。M&Aしたとはいえ、Shippioが上から何かを指示するとかではなく鈴木さんと常に情報共有しながら一緒に進めてこられたので良い雰囲気で一緒になれたんだと思います。

大切なのは互いのカルチャーへのリスペクト

Q:協和海運、Shippioそれぞれの社員の変化についてはいかがですか?

鈴木:社員一人ひとりが、以前にも増してより責任感を持つようになったと感じています。仕事が増え忙しくなっている中、お客様に迷惑をかけないようにしっかり仕事をやり遂げようという意識が高まったことが印象的です。

井上:Shippioの社員にとっても新しいチャレンジが増えました。通関業務をグループ中で進めることになり、協和海運で培ったノウハウを活かして今までとは違った視点で業務効率化や仕組み化を進めていこうという意識が芽生えました。これまで外部パートナーにお願いしていた時とは違って、より自分ごととして通関業務に向かうようになりました。

Q:スタートアップでのキャリアが長くM&Aの経験も豊富な井上さんが、老舗企業との統合プロセスを進めるに当たって意識されていることは何ですか。

井上:カルチャーを押し付けないことです。それぞれの会社にはそれぞれのカルチャーがあるので、それをリスペクトし良さを引き出しながら融合していくことが大切です。過去の経験からも、上から押し付けて強引に進めるのではなく人と人との信頼関係ができることで統合がうまくいくことを学びましたので、今回そこは意識しています。

Q:井上さんが協和海運の良いなと思うカルチャーはどんなところですか。

井上:皆さん責任感を持って真摯に仕事をきっちりやってくれるところです。これは鈴木さんが築き上げてきたカルチャーであり、非常に良い部分だと思います。今後はこの真面目なカルチャーを生かしながら、柔軟に対応できるやわらかさも持てるよう一緒に進化していけたらと思います。

「井上さんしかいない」「やりがいを持てる環境づくりと会社としての成長を」

Q:鈴木さんにお聞きします。井上さんに社長のバトンを渡す今、どんなお気持ちですか。

鈴木:井上さんのスキルの高さは皆さんご存知だと思います。それに加えて人間性ですね。物腰が柔らかく、上の人にも下の人にも好かれるような方で、安心して会社を託せると思っています。井上さんしかいない、という感じですね。

Q:井上さんご自身はどのような気持ちですか。

井上:これまで鈴木さんと絶えずコミュニケーションを取りながら一緒に歩んできて、お互いに気になっていることや社員が困っていることに一つ一つ対応してきました。鈴木さんは、我々からお願いすることをきちんと受け止めてひとつひとつ進めていただいて、とてもやりやすかったです。感謝しています。
その鈴木さんから協和海運の社長というバトンを受け取り、もちろん自分が会社を引っ張っていくという意識が強くなっています。協和海運の社員一人ひとりが、やりがいを持って働ける環境を整え、一緒にチャレンジを続けて会社としての成長を目指していきたいです。

Q:今後のM&Aについてはどのように考えていますか。

井上:物流業界は単独で何かを行うのは難しい面があります。我々が持っていないアセットを持つ会社と一緒になることでデジタル化を加速できる領域については、今後も積極的にM&Aを推進していく方針です。成長ドライバーの一つとして、M&Aは重要だと考えています。

「理想の物流体験」を追求し業界に貢献する

Q:これから進めたいこと、展望をお聞かせください。

井上:「理想の物流体験を社会に実装する」この「理想の物流体験」を作っていくことが最大のミッションですし、このビジネスの一番の面白さだと思っています。
協和海運と密に連携をとるようになって、より物流という領域の面白さや、物流に関わっている方々の真面目さを感じました。貨物がきちんとお客様に届く、この「当たり前」を持続させることの重要性、そのためにステークホルダーに対して真摯に対応していく姿勢はこれまで見えていなかった世界でした。より現場に近いところで皆さんが一生懸命動いて、業界を支えているのだと切に実感しました。
そして、物流業界の皆さんの人柄や仕事に対する姿勢を知ったからこそ、この業界の変革を進めて皆さんが幸せに働ける世界を作らなければいけないという思いを強くしました。

今後は協和海運の知見やアセットを生かして、まずは通関のデジタル化にチャレンジしていく予定です。通関業務は依然として紙の書類、人の手を介して行う業務が非常に多いです。ここをデジタル化し効率的に進められるようになることは、業界全体に大きなプラスのインパクトを与えられると考えています。
これまでShippioが広げてきたデジタルフォワーディングに加え、デジタル通関の世界をつくり、物流全体のデジタル化を推進していきます。法制度の課題などもありますが、国も貿易手続きのデジタル化への注力を宣言し議論の場にはShipioも参加しています。

デジタルの活用により貿易のあらゆる流れをなめらかにつないでいく「理想の物流体験」の実装がShippioのミッションです。この実現が労働時間や人手不足といった物流業界全体の課題解決にもつながると考えています。
協和海運のトップとして、Shippioの経営メンバーとして、理想の物流体験を追求し、このムーブメントを広げて業界に貢献していきたいと思います。

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