「かんかん橋をわたって」を友人に薦めたい
ちょくちょくTwitterのTLで見かけたタイトルだが、今日初めて一気読みした。
事前情報としては、「よくある嫁姑もののレディコミとして読み進めていたらだんだん様子がおかしくなってくる」という話だけを耳にしていた。
実際読んでみてその通りだった。序盤のあらすじは下記である。
・明るく善良で素直な嫁(主人公)、一見優しげだが陰ではとんでもなく意地悪な姑
・悪い人ではないが…な舅と義姉、優しく理解もあるがまさか妻がいびられているとは露ほども思っていない夫
・インターネット上でよく言われる某都の概念を煮詰めたような集落でのご近所付き合い
など、特にそのジャンルばかり選んで読んでいる訳ではなくとも「あるある!」と思ってしまうような要素により話が進行していく。
この「序盤」と呼べるパートも結構長いのだが、何が好きとは言語化できないものの、この手の話はなんとなく読んでしまう自分は特に苦でなく読めてしまった。
そして中盤、「嫁姑番付」というワードが登場してくる。
「嫁姑番付」とは、地域の中で姑から酷い嫁いびりに遭っている嫁のランキングである。
このあらすじも中盤までの流れとしては大体合っている。
合っているのだが、なんとなく雲行きが怪しくなってくる。
何故なら、この途中で主人公の覚醒パートがあるからだ。
自分の衣服をダメにされた主人公が仕返しに姑の着物がダメになるようにひそかな仕返しをする。
そうして虫食いだらけになった着物を着て高笑いする姑、と、
主人公が「おこんじょう」に覚醒し、それに気づいた姑が心から喜ぶ、というエピソードが挟まれる。
ここで一旦本を閉じてひとしきり笑った。まさかこう来るとは。
主人公が「嫁姑番付に編成される残り9人の嫁に会いに行くことを決意する」のは善意半分、自分に芽生えた意地悪の才能を試したいという動機が半分なのだ。(どうして…)
そうして他人の家の事情に首を突っ込んで回るのだが、そうしているうちに地域のとんでもない闇にぶち当たってしまい…終盤へと続いていく。
よく言われているのが、この辺りから姑が「師匠キャラ」のような振る舞いを始め、「バトル漫画みたい」になってくるということである。
・「あの気の回し方…若い頃の姑さんにそっくりだ」
・「表面に騙されて本質が見えていない、未熟者め…」
・「遅い…そろそろ立ち直ってくる筈なのに」
・「この気配…あの人がここに来ているんだわ!」
※そんな台詞があったというのをうろ覚えで書き出しており、原文ママではない。
なんだこれ。
こうなってくるともうページを捲る手を止められなかった。
一気に読み終えて、真っ先にとある友人の顔が思い浮かんだ。
彼は特にこの後半の流れを気に入って楽しんでくれるだろう、という半ば確信のようなものまで芽生えている。
ただ、「レディコミ」というジャンルに序盤で飽きられてしまわないだろうか…
この中盤からの展開が面白いということを伝えてから読んでもらったら実際に体験した時のワクワク感が薄れてしまわないだろうか…
などということを考えながらこの記事を書いている。
ひとまずタイトルだけ投げてみて様子見をとは思うけど、書き出すことで自分の中で薦めるべきポイントがまとまってきたのは良かった。
上記はそういう観点で、読後に一通り漁った他の人の感想などを踏まえつつ書いた情報の羅列なので、以下に自分の感想を記す。
・姑の強キャラっぷりはアメリカンホラーストーリーのジェシカ・ラングを彷彿とさせる。嫁姑の間である種の絆みたいなものが芽生えつつは有ったが、「父の死に目に会わせない」という致命的な意地悪をした事実は消えないのでそこを解消してどう落としどころを付けるのか、と思っていたら…だったのが少し寂しくもあるが良い読後感であった。
・カップリングもなかなか粒ぞろいだった。主人公夫婦の安定感も間違いなくこの漫画の魅力の1つであるし、2位夫婦、1位夫婦+幼馴染、7位の嫁姑あたりが自分のツボだった。
・記憶を消してまた読み返したい。自分の好きなマンガ番付5位以内は堅い。