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ほら、イーッてしてみて

私は20代前半まで歯並びがものすごく悪かった。
当時の歯の模型があったので貼ってみる

前歯の隙間がめちゃくちゃ広がってる

何でこの歯並びになったのか、理由はわかっている。

まだ乳歯が抜けていないにも関わらず永久歯が生えてきているのを見つけた親が、歯医者に連れて行った。
そのとき私が麻酔の恐ろしさに泣き喚いたため、なにもせず帰ったという。

あの時の親に言いたい。縛りつけてでもそのまま抜かせてくれ。

しかもその乳歯は小学四年(9.10歳)になったころ、バナナを食べてたら急に抜けた。
平均的に7~8歳で生え変わりと考えると遅い。
抜けるまでの間、前歯の隙間のまんなかに乳歯は鎮座し続けた。
しぶといやつめ。

まぁとにかく、その歯並びのせいでいじめられた。
最初は同じクラスの男子からの「ほら、イーッてしてみて」だった。
その時はまだ気にせずしゃべることができていたので、そう言われて意味がわかった時にとても恥ずかしかった。
これから私はにっこりと笑えなくなった。

それからも度々「ほら、イーッてしてみて」と言われ続けて、ついに堂々と喋れなくなった。

口元に向かう人の視線が怖くて人の顔を見ることができない。

本当につらかった。

学生時代は学費もままならなくて、とてもじゃないけど歯列矯正なんかできない。

就職試験では生活が掛かってくるから仕方ない…えいやとヤケで歯を剥き出しにしたこともあった。
おかげで就職は出来た。歯のおかげ?

そして資金を貯めて前歯だけの歯列矯正を始めた。
その時は部分矯正なんてやっているクリニックは少なくて、青山にあるクリニックまで片道1時間以上かけて通った。
そして約一年後、ワイヤーが取れた日の感動は忘れられない。

実際の歯は載せられないので、模型で。


まず、ベビーチーズを食べた後の歯形にうっとりした。
ポッキーが前歯の真ん中で噛める。じゃがりこも前歯の真ん中で…

とにかく歯がくっついただけで感動だった。

やっぱり一番感動したのは、笑顔ができること。
昔の写真を見るとやっぱり不自然なくらい口を閉じた写真ばかり。
今の笑顔があったら、学生時代いじめられることもなかったんじゃないかと思うと、やっぱりちょっと悲しい。

でも、私ができる最速で手に入れたんだからいいじゃん!
これから多分70年近くはイーッて笑える。
それだけで笑みがこぼれる。
定期的な検診もして、最近ホワイトニングもした。
気づいたら鏡にイーッてしてる。

過去閉じ込めてた分を取り返すように、歯をイーッてして生きてゆきたい。

#いい歯のために

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