文学フリマ(2024年 夏)から届いた自由

画像1 川柳句集『素の令和』湊圭伍 より。  眠たくなりたくて蠍座のふりをした  花束に毛布をもう一枚かける  地図がさみしい鬼でも描いておこう  月がきれいですね焦げる臭いがしますね  いいんだよかわるがわるに鬼になれば  心を閉じて皿を重ねてゆくのだね
画像2 詩歌文集『欅になれる気がしている』うっかり(百匹ブックス)より。   永き日や僕は地球で死ぬだろう   春めくと関西弁になるんやで   大いなる机を春の蟻一匹   悲しみに若布ばかりを思いけり   夏の雨ボールペンみな痩せている   仲良しになれそうな蚊も叩きけり   台風やお世話になった樹が折れた   地球ごと青いセーター着ていたる
画像3 『川柳 ZINE 絵馬』第3号(発行者 南雲ゆゆ) より。   ゴミ置き場つまり漢字の瓶を割る   七階のフロアマップにある死体   妖精の証明写真の解像度
画像4 『現代川柳句集 プニヨンマ』森砂季 より。   箪笥から出てきた手だけと握手する   彗星が小指の爪にはさまった   プールには唇の色並べてる   十二支が課長の顔になっていく   あすの自宅は満水ですよ

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