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海馬川柳句会 第3回(2024 年度)

今回の兼題は「カレー味のから揚げ記念日」。兼題を使うかどうかは自由。
ということで、難しいのだか、そうでもないのだか、よくわからないお題。

まずは雑詠で提出された三句。いずれも句の立ち姿について考えさせられました。

  最上階のきれいな野犬  西脇祥貴
きれいなまま野犬って、気高い。クール。

  ゆるさない僕はみつめる歯磨き粉 太代祐一
「ゆるさない」で区切るか、「ゆるさない僕は」で読むか、でニュアンスは変わる。けれど句としての姿はぎりぎり保っている。そこが緊張感を生み出す作用をしていて歯磨き粉にどきどきしてしまう。

  彼らは本で2ページもある 西生ゆかり
「彼ら」が何を指すのかわからないのですが、素直に読めばひとのことだし、題詠のことを思うとまさかの駄洒落のようでもある。(たぶん雑詠だと思いますが)そこが面白い。「2ページ」も、それが多いのが少ないのかの基準は読み手にわからない。とても内向きな表現ではあるけれど、句になっている。「も」がとても効果的。

兼題に対して真っ向勝負な二句。

  ターメリックパウダー降りしきる空へ 瀧村小奈生
題詠に対して素直なところがいい。30年後に読めば政治的な句としても読めてしまいそうです。

  NOカレーNOライフFOR唐揚げ 蟹口和枝
「FOR唐揚げ」にウケた! 自分の為じゃないんだ。
某レコード店のコピーのパロディですが、暑い夏にぴったりの一句だと思います。これ、句会で披講されたらみんな楽しく笑えると思います。
こういう楽しい川柳も大事。

私の句は兼題に真っ直ぐ向き合うことが困難だった為、ほぼ雑詠です。

戦争のことを考えていました。鬼畜米英という言葉を、若い人たちは知っているのだろうか。ということを考えていました。鬼畜、くらいは知っているかもしれない。鬼畜のような所業、というような言い回しもあるので。
今、まさにこの表現がぴったりと言わざるを得ないような戦争が行われていて、日本も無関係とは言えない状況であるにも関わらず、八月十五日が何の日なのか知らないひとが増えている。このことについて考えていました。

「せんそう」ってなんのこと?とこどもが言える世界は良いのかもしれない。「きちくべいえい」ってお料理の名前ですか?と言えるくらいの戦争との縁遠さは、良いのかもしれない。でも。あったことをなかったことにするのは、やはりいけないことだと思いました。そんなことを考えながら書いた二句でしたが、「きちくべいえい」の使い方については、褒めてくれた方も、よろしくないのではないかと指摘くださった方も、両方いらしたので
つらつら書いてみました。

  みはるかす蜘蛛が紡いだあみだくじ  竹井紫乙

  てんぷら粉で揚げるときちくべいえい 竹井紫乙

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