石丸伸二氏はYoutubeをコミュニケーションメディアとして使っていた
概要
2024年7月7日に東京都知事選挙があった。小池百合子氏291万票、石丸伸二氏165万票、蓮舫氏 128万票であった。
組織のバックアップがない石丸氏が知名度の高い蓮舫氏に40万票近い差をつけて2位になったことに世間は驚いた。
その要因としてマスコミは石丸氏がSNSを活用したと報じた。
しかしSNSをどのように活用したのか詳細は報道されない。
今回石丸伸二氏の公式Youtubeチャンネルを調べた。
公約などの告知動画よりもMeet-upなどの視聴者交流動画のほうが再生数もコメント数も多いことがわかった。
石丸氏のYoutube配信を見ると視聴者(有権者)とのコミュニケーションを大事にしていたことがうかがえる。
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よく選挙は、地上戦、空中戦と言われるが、SNSを使うことで低空域戦(SNSを使った1対多の直接交流)が可能であるのかもしれない。
都知事選の敗者は誰かと言えばそれはテレビを中心としたオールドメディアである
メディア環境の変化が蓮舫氏に不利に石丸氏に有利に働いた。
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石丸氏の公式Youtube動画では何が見られたか?
石丸氏は自身のYoutubeチャンネルを持っている。
いろいろな動画を上げている。他の候補と大きく違うのはMeet-upと名付けられた視聴者が配信中にコメントできるライブ配信動画を数多く上げている点だ。
石丸伸二氏の公式チャンネルの2024年6月1から2024年7月7日(投票日)までに投稿した動画64本のうちでどのような動画が見られたかを調査する。調査日2024/07/15
石丸伸二のまるチャンネル 視聴数ランキング
石丸氏の公式チャンネルから、どのような動画が見られたか、上位20件を列挙した。動画タイトルをクリックすれば実際の動画が見られる。
一覧を見て気づくのは視聴者とコミュニケーションする Meet-up オンラインが視聴数もコメント数も多いことだ。
これは小池氏や蓮舫氏の公式チャンネルでは見られない。
確認のため小池氏や蓮舫氏の公式チャンネルの視聴数上位20件を表示する。
小池氏公式Youtubeチャンネル視聴数ランキング
2024/06/01-2024/07/07までに小池氏公式Youtubeチャンネルに投稿された42件の動画の内どの動画が見られたかをランキング形式で一覧化した。
小池氏の公式Youtubeチャンネルでも一位は、小池ゆりこ都知事アラビア語本当に喋れる⁉︎ や SNSで大バズり!? 赤いきつねvs緑のたぬき 小池ゆりこ都知事に聞いてみた! など、砕けた内容が多いが、ユーザーとコミュニケーションを指向したものではない。
蓮舫氏公式Youtubeチャンネル視聴数ランキング
2024/06/01-2024/07/07までに蓮舫氏公式Youtubeチャンネルに投稿された43件の動画の内、どの動画が見られたかをランキング形式で一覧化した。
基本的に、政策の発表や告知など、視聴者(有権者)とコミュニケーションを取るというよりは、告知する使い方になっている。
石丸氏によるMeet-up オンラインというコミュニケーション配信
上記で記したように石丸氏の配信は、視聴者(有権者)とのコミュニケーションを指向したものであった。
その配信は視聴者のチャットに答えたり、思いついた話をすると言った砕けたものであった。
いくつか見てみたが大変自由な配信をしていた。例えば、配信中におにぎり食べたり(選挙遊説で食べる暇が無かった)ゲーム配信の話をしたり自分の配信の感想をつぶやくYotuber(Masa Channel)の紹介などをしていた。配信時にマスコミの取材陣がいる場合は、マスコミに対して逆取材などもしていた。
政策についてずっと話すというよりはむしろ人柄を知る機会になっているように見えた。
配信中、石丸氏は、スパチャ(スーパーチャット)について度々言及していた(公選法的にグレーなのでスパチャは有効にはしていない)。それは通常のチャットだとチャット数が多すぎて、質問のチャットなどを拾いきれないのと、後述するが少額の政治献金をするユーザーはその献金をした候補者に投票する可能性が高いことを知っていたからだろう。
(コラム)スーパーチャットあるいは、少額献金の可能性
Meet-up配信中石丸氏はスパチャ(スーパーチャット)への言及をしていた。スパチャはYoutubeの機能で、有償でチャット欄で自分のメッセージを目立たせるための権利を購入する機能(詳しくはwikiへ)だ。
今のところ、公選法のからみでスーパーチャットを通じての政治献金は難しいだろう。政治献金というと政治家への金銭的なサポートや賄賂のイメージがつきまとうが別の側面もある。それは候補者へのコミットメントを伝えるという面だ。運動に参加するという側面だ。商社マンで著述家のかんべえ(吉崎 達彦)氏が面白いことを書いている。
少額献金は政治家に献金するというよりは運動に参加するという意識を醸成する。小口献金をする人は単に金銭のサポートだけではなく、立候補者の応援団をかってでてくれるようになる。
スパチャで課金することは同じ意味を持つのではないだろうか?
石丸氏のMeet-upで視聴者(支持者)はどのようなコメントをしたか?
石丸氏は他の有力候補とは違い、Meet-upという手法を使って、ユーザーとの交流を図ったと述べた。ではどのようなコメントが寄せられたのだろうか?石丸氏のMeet-up オンラインに寄せられたコメントを取得し、分析した。石丸氏への話しかけという意味で、トップレベルコメントのみ採用した。
Youtubeのコメントを取得し、テキストマイニングツールkh-coderを使って分析した。
円の大きさは単語の使用頻度、線のつながりは同じ文章で使われていることを示す。
例えばナイスは投票と言う言葉と一緒に使われていることを示している。
興味深いのは、「ありがとう」や「希望」といった言葉が多い。ナイス投票などのワーディングがあって面白い。献金や初めてという言葉あるのは他の候補とは違うようだ。
石丸伸二は初めてを連れて来る
コメントを見ていて興味深いのは初めてというワードが多いことだ。
初めて投票した。初めて献金した。初めて街頭演説に行った。初めて政治に興味を持ったなどのコメントが多く寄せられていた。
石丸氏は、多くの人に政治参加を促したという点で大きな功績があった。また、有権者とYoutubeのチャットを使ってコミュニケーションを行う点でも他の候補者と異なっていた。Youtubeを使い、今までは政治に縁遠かった人々を政治参加させた。
ここまでのまとめ
石丸氏は、組織や支持政党がない中、知名度でまさる蓮舫氏を得票数で追い抜くという大金星を上げた。マスコミは石丸氏がSNSを活用したと報道するが、その内容はあまり深堀られていない。石丸氏公式チャンネルのYoutube視聴回数コメント数を見ると、小池氏、蓮舫氏と比較して、有権者(支持者)とSNSを通してコミュニケーションを行っているように思える。
マスコミはこれからはSNSを活用した選挙戦だというが、それは従来の告知や視聴数競争ではなく、コメントを中心としたコミュニケーションではないだろうか?マスメディアが大量のマスに一方的に届ける手段だとしたら、SNSを利用した選挙戦はもう少しコミュニケーションに寄ったものになるのかもしれない。
この調査の限界
今回の調査では公式チャンネルしか調べていない。石丸氏に関しては公式外で切り抜き動画も多く再生されているため、Meet-upの配信によるコミュニケーションではなく切り抜き動画によって支持を獲得したという仮説も有力な仮説であろう。そこは今後調べていく必要がある。
ここからは、有料コンテンツになります。
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