忘れることが大切なんだ
今、「虹プロジェクト」が熱い。
アイドルガールズグループをつくるための日韓合同のプロジェクトで、そのオーディションの様子が放映されている。1万人から勝ち残った12人が、最終デビューめざして韓国合宿に挑んでいる。彼女たちのがんばる姿と成長していく様子がまぶしくて、毎週楽しみにみている。
合宿では、個人やチームでのミッションが与えられ、ステージ上でパフォーマンスを行う。ミッションごとに評価があり、毎回1位から最下位まで個人順位が発表される。これは精神的にきついだろう。みんながんばっているから、自分ががんばっても順位が上がるとは限らない。
それに、評価は低くても高くても難しい。「まったく成長していません」といわれて奮起し、次に良い結果につながったメンバーもいれば、最後まで自分をだしきれず脱落したメンバーもいた。高い評価でも、かえってプレッシャーや心の負担となることもある。実力があっても、うまくやろうとしすぎると声が出なかったりダンスの動作が固くなったりする。
心って難しい。
プロデューサーであるJ・Y・parkは言った。「最下位をとったとしても忘れなければいけないし、1位になったことも忘れなければいけません」と。
「常に次のステージでは真っ白な画用紙の上に描きなおしてください」
そうか。失敗だけでなく、成功も忘れるのか。本当にそのとおりだなと感心した。
レベルはちがうけど、そんな感覚は私の生活の中にもある。
たとえば囲碁の対局で、まれにすごくいい碁が打てて、自分より格上の人に勝ってしまうことがある。みんなに「強くなったね」とほめられ、いい気分になる。
問題はそのあとだ。後日、その人と対局するとき「いい碁をうたなきゃ」みたいなプレッシャーがかかる。そして、さえない手を連発し、あっという間に負けてしまう。みんながっかりし、私も自分が情けなくなる。私の実力なんてこんなもん、この間ができすぎだっただけ、と心の中で言い訳しても、その場にひろがる期待外れ感はどうしようもない。
一度、良い評価をされると、次もまたいい結果をださなければ、とつい思ってしまう。
その期待やプレッシャーに打ち勝つというのは、自分とのたたかいだ。他人の前に自分に勝たないと、個性や実力を存分に発揮できない。
ステージで輝き続けるのは大変なことだなぁと思う。
もうすぐそのたたかいをのりこえたメンバーがスターへの道を歩き出す。
虹プロジェクトはいよいよクライマックスだ。