見出し画像

2021年!心の栄養になった映画&1年の振り返り

皆さん、こんにちは!臨床心理士であり、公認心理師であり、役者の、史穂理(しおり)です。

シネマな処方箋(私のYouTubeチャンネル)Vol.10では、先日の動画の後半として、2021年に私が鑑賞した映像作品(147本)の中から"コレはオススメしたい!"と思った作品をご紹介しています。

もし、前半の動画、まだ観てないよ〜!って方は、ぜひ下記のリンクよりご覧ください。


前半の動画では、私が心理士(師)の観点から観ても思わず唸ってしまった作品をご紹介しましたが、今回の後半では、”とにかく好き!おもしろい!元気になる!”と気持ちが高まった作品をご紹介しています。
どれも私の心の栄養になってくれた作品ばかりですので、心の栄養不足を感じた時には、ぜひ参考にしてみてくださいね。

まずは新作の中から2作品、そのあと旧作の中から5作品+番外編1本をご紹介していきます。
それでは、後半も一気にいってみよう〜!

1.「偶然と想像」

公開:2021年
監督:濱口竜介
出演:古川琴音、中島歩、玄理、渋川清彦、森郁月、甲斐翔馬、占部房子、河井青葉
上映時間:121分

あらすじ:
3つの短編から構成されている映画になります。
第1話 「魔法」(よりもっと不確か)
撮影帰りのタクシーの中、モデルの芽衣子(古川琴音)は、仲の良いヘアメイクのつぐみ(玄理)から、彼女が最近会った気になる男性(中島歩)との惚気話を聞かされる。つぐみが先に下車したあと、ひとり車内に残った芽衣子が運転手に告げた行き先は──。
第2話 「扉は開けたままで」
作家で教授の瀬川(渋川清彦)は、出席日数の足りないゼミ生・佐々木(甲斐翔真)の単位取得を認めず、佐々木の就職内定は取り消しに。逆恨みをした彼は、同級生の奈緒(森郁月)に色仕掛けの共謀をもちかけ、瀬川にスキャンダルを起こさせようとする。
第3話 「もう一度」
高校の同窓会に参加するため仙台へやってきた夏子(占部房子)は、仙台駅のエスカレーターであや(河井青葉)とすれ違う。お互いを見返し、あわてて駆け寄る夏子とあや。20年ぶりの再会に興奮を隠しきれず話し込むふたりの関係性に、やがて想像し得なかった変化が訪れる。

史穂理コメント:
年末に、Bunkamuraで鑑賞した作品です。昨年はもちろん、浜口監督の「ドライブ・マイ・カー」にも感嘆しましたが、私はこの色彩豊かな3つの短編が、なんだかとっても”好み”でした。人間の不条理やすれ違い、噛み合わなさ…でも、偶然によって生じた人生のほんの一場面で、糸を手繰り寄せるように微かにつながれる瞬間に、緊迫したり、ホッ優しい気持ちになれたり、クスクスと笑えたり…。おもしろかったなぁ。映画ってこういう味わいもあるんだ!と、新たな映画体験の扉が開きました。
また個人的には、第3話で私が生まれ育った仙台が物語の一部としてステキに映し出されているのも嬉しかったです。
あと、鑑賞中にお客さんのクスクス声が劇場に響いていて、この作品を他者と一緒に味わえているんだ!ということをしみじみ感じることができたのも、感慨深かったです。コロナ禍の夜の映画館がとてもあたたかい空間になっていて、そこにいれることが嬉しかったし、慰められるような心地がしました。


2.「サマーフィルムにのって」

公開:2021年
監督:松本壮史
出演:伊藤万理華、金子大地、 河合優実、祷キララ ほか
上映時間:97分

あらすじ:
勝新(勝新太郎)を敬愛する高校3年生のハダシ。キラキラ恋愛映画ばかりの映画部では、撮りたい時代劇を作れずにくすぶっていた。そんなある日、彼女の前に現れたのは武士役にぴったりな凛太郎。すぐさま個性豊かな仲間を集め出したハダシは、「打倒ラブコメ!」を掲げ文化祭でのゲリラ上映を目指すことに。青春全てをかけた映画作りの中で、ハダシは凛太郎へほのかな恋心を抱き始めるが、彼には未来からやってきたタイムトラベラーだという秘密があった――。

史穂理コメント:
とにかく、すべてが瑞々しい!すごく、好きな作品でした。松本壮史監督の「青葉家のテーブル」シリーズも大好きなのですが、青春をここまで瑞々しく、清潔に、暑苦しくなく描けるのって、才能だなぁ、センスいいなぁ…としみじみ思います。すごく良い意味で今っぽくもあり、同時に確固たるメッセージも感じさせる本作。柔らかさと強さのバランスが絶妙だから、観る者を緊張させないのかなぁ…と思い巡らせたりしています。
日常の中にある"希望”が、目一杯の光と一緒にスクリーンを越えて私の身体にも取り込まれていく…そんな、ポカポカと光合成をしているような気持ちになれる作品でした。

――――――――――――――

続いて、旧作の作品の中から5本紹介していきます!

1.「ナイト・オン・ザ・プラネット」

公開:1992年
監督:ジム・ジャームッシュ
出演:ウィノナ・ライダー、ジーナ・ローランズ、ロベルト・ベニーニ、アーミン・ミューラー=スタール ほか
上映時間:129分

あらすじ:
1991年に制作されたオムニバス映画。ロサンゼルス、ニューヨーク、パリ、ローマ、ヘルシンキを舞台に、タクシードライバーと乗客の人間模様を描く。

史穂理コメント:
動画の中でも言いましたが、もし自分に死にたくなるほど苦しいことが起きたら、私はこの作品を観返すと思います。「今、ここで生きていることが、ただただ嬉しい」、そんな気持ちになる作品です。名優たちの演技も、眼福。


2.「ストーリー・オブ・マイライフ わたしの若草物語」 


公開:2019年
監督:グレタ・ガーウィグ
出演:シアーシャ・ローナン、 エマ・ワトソン、エリザ・スカンレン、フローレンス・ピューほか
上映時間:135分

あらすじ:
名作小説「若草物語」を新たな視点で映画化。南北戦争時代に力強く生きるマーチ家の4姉妹が織りなす物語を、作家志望の次女ジョーを主人公にみずみずしいタッチで描く。しっかり者の長女メグ、活発で信念を曲げない次女ジョー、内気で繊細な三女ベス、人懐っこく頑固な末っ子エイミー。女性が表現者として成功することが難しい時代に、ジョーは作家になる夢を一途に追い続けていた。性別によって決められてしまう人生を乗り越えようと、思いを寄せる隣家の青年ローリーからのプロポーズにも応じず、自分が信じる道を突き進むジョーだったが……。

史穂理コメント:
私は2020年の12月まで資格試験の勉強に追われていたために、思うように映画を観ることが叶わなかったのですが、やっぱりこの作品は映画館で観たかったなぁ…と後悔しました。シアーシャ・ローナン演じるジョーの姿には、特に女性は胸を打たれるものがあるのではないでしょうか。心の底から、勇気をもらえる作品です。自分に負けそうになった時、どうしようもなく理不尽な目にあった時、自分の信念を曲げるかどうか迷ったとき…きっとこの作品は、あなたの味方になってくれるのではないかと思います。

3.「アデル、ブルーは熱い色」

公開:2013年(※日本での公開は、2014年。)
監督:アブデラティフ・ケシシュ
出演:アデル・エグザルホプロス、レア・セドゥ ほか
上映時間:179分

あらすじ:
文学を愛する高校生アデルは、青い髪をした美大生エマと運命的な出会いを果たし、2人は激しく愛し合うようになる。しかし、時の流れとともに2人の気持ちは次第にすれ違っていき……。

史穂理コメント:
繊細かつエネルギーに満ちた役を見事に演じているレア・セドゥに魅せられた作品。
自分のまま生きることは、とても魅惑的だけど怖いことでもあると思います。この作品の中でも、エマとの出会いによってアデルの頑なな表皮が剥がれ精神的に脱皮していく姿にも、やはり痛みが伴っている…。一緒にいても、一緒になれないことがあり、一人でいる孤独もあれば、二人でいる孤独もある。セクシャリティの描写にフォーカスが当てられがちな作品かもしれませんが、私としては”自分”と正面から向き合ったときに立ちはだかるであろう根源的な問いを、この作品は突き付けてくれていると感じました。

4.「フランシス・ハ」

公開:2012年
監督:ノア・バームバック
出演:グレタ・カーウィグ、ミッキー・サムナー ほか
上映時間:86分

あらすじ:
モダンダンサーを目指し、ニューヨーク、ブルックリンで親友ソフィとルームシェアをしながら楽しい日々を送っていた27歳のフランシス。しかし恋人に振られ、ソフィとの同居生活も解消になってしまったことから、居場所を求めて町を転々とするはめになる。周りの友人たちは次々と身を固めていき、焦りも感じたフランシスは、自分の人生を見つめ直していく。

史穂理コメント:
親友に無性に会いたくなる作品です。そして、不器用で一生懸命で、でも空回ってしまう…そんな主人公の一挙手一投足に吹き出しながらも、思わず自分と重ねて、う~ん…と唸った作品でした。でも、その「う~ん…」を越えた先にあったのは、”誰かとテンポが合わなくても、自分のリズムを刻んでいけたら、それで上出来。”ということ。半端な自分も上出来じゃないか、と背中を押してくれた作品です。


5.「愛がなんだ」

公開:2019年
監督:今泉力哉
出演:岸井ゆきの、成田凌 ほか
上映時間:123分

あらすじ:
猫背でひょろひょろのマモちゃんに出会い、恋に落ちた。その時から、テルコの世界はマモちゃん一色に染まり始める。会社の電話はとらないのに、マモちゃんからの着信には秒速で対応、呼び出されると残業もせずにさっさと退社。友達の助言も聞き流し、どこにいようと電話一本で駆け付け(あくまでさりげなく)、平日デートに誘われれば余裕で会社をぶっちぎり、クビ寸前。大好きだし、超幸せ。マモちゃん優しいし。だけど。マモちゃんは、テルコのことが好きじゃない・・・。

史穂理コメント:
大好きな今泉力哉監督の作品。動画の中でも言いましたが、恋の世界に没入したくなったらコレかな!と思います。キャー!とかウ~!とか言いながら、お菓子片手に鑑賞するのがオススメです(笑)
私は、忘れかけていた昔の恋を思い出したりして、胸がキュ~っとなったりしていました。(きっと、そういう人多いんじゃないかな‥‥)
※以前、シネマな処方箋では「mellow」(監督・今泉力哉)も扱いました。まだご覧になっていない方がいましたら、ぜひご覧ください。

【Vol.5】「mellow」(2020)/"不登校"を語る


【番外編】
「Ad Lib」

公開:2020年
監督:ジョセフ・カテ
出演:トーマス・アルデン、シンシア・カルト、ヌリツァ・エマニュリアン、ポーリン・ヘリー
上映時間:11分

あらすじ:
マックスとジュリーはとても愛し合っている。ジュリーは嫉妬深いが、マックスは自分も含めて完璧な人間などいないことをわかっている。カラオケの世界で繰り広げられるロマンチックストーリー。

史穂理コメント:
映画祭での衝撃の一つは、ショートフィルムの奥深さでした。この作品はデートDVについて扱った11分の作品なのですが、11分でここまでのものを見せつけられたことで、私の映画に対する視野はグーン!と広がりました。現段階で鑑賞方法が見当たらないため”番外編”とさせていただきましたが、表現の可能性についてショック療法で教えてくれた作品でもありました。
――――――――――

【1年の振り返り】
2021年に私が鑑賞した映像作品は、計147本でした。(ドラマはシーズン1を1つ,とカウントしています。)
本音を言うと、勿論もっともっと観たかったし、体が2つあったら1つを映画館に置いておくのに!と何度も思った2021年でしたが…週4~5で心理職のお仕事をしつつ、週1~2で俳優としてのトレーニングも再開したスケジュールを思えば、まぁ(自分としては)合格点かな、と思っています。

また、昨年は映画祭という形で映画を楽しむこともでき、嬉しい1年になりました。
(ゆうばり国際ファンタスティック映画祭と山形ドキュメンタリー映画祭はオンラインで、東京国際映画祭と東京フィルメックスは実際に劇場に足を運んで参加することができました。)まだ観ぬ作品と出会わせてくれる映画のお祭りは、本当に楽しかった…!今年も、映画祭には積極的に参加したいです。

あとは「読む×観る」。是枝監督や西川美和監督の本を読みながら、古い順から作品を見直したり、樹木希林さんのインタビュー記事などを読み漁ったり…そんな楽しみ方もできました。

――――――――――

思いの外長くなってしまいましたが、2021年のオススメ映画紹介は、以上になります。

2022年も「シネマな処方箋」では皆さんの心の養分となるような作品をご紹介していけたらと思います。改めまして、2022年もよろしくお願い致します!

史穂理


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?