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わんころちん #プシケ

わんころちん、母が言い出した犬のこと
にゃんころちんと、たまに猫のことをそう言う。
つられて私も、わんころちん…にゃんころちん

わんころちんの話、3つ目は…
多分シェルティーの雑種犬、プシケ
プーは、大人しい性格の優しい女のコ。
かと、思われがちでしたが…本当はツンデレ

プシケは、先住犬トシキの散歩中に出逢った
足を怪我してたのか、びっこを引きついて来る
振り返ると止まって、歩くとついて来る
ダルマさんが転んだみたいに…

おいで

しゃがんで呼ぶと、耳を下げ尻尾を振って
駆け寄って来たので、ひょいと抱き上げた。
多分…右前足?いや、左か?どちらかに傷
自動車に接触でもしたのかな?と思った
一体どこから迷ってきたのだろう…

放っておけず、連れ帰りシャンプーして
傷に薬をつけた、そして飼い主を探した
でも、2週間してもそれ以上経っても
手がかりさえない…
うちのコになる?
プシケはじーっと見て、尻尾を振る

そして、ついにプシケと名前をつけた。

フワフワの毛並み、見た目が似ている…
お気に入りだったラッシーのぬいぐるみに。
ぬいぐるみは、トシキのおもちゃになり
可哀相なラッシーになっていた。
がんばったラッシーがご褒美で本物に…
そんなファンタジーまで頭を過ぎった。

プシケはトシキともケンカすることもなく
まあまあ仲良く過ごしてくれたし
ちゃんと先住犬であるトシキの次だと
自分の順番を理解していた様子だった
ただ、どうやら…私の見えないところで…
トシキにまあまあ強めに対応してたらしい。
見付かっても、尻尾を振って…
何でもないですよって、取り繕うのだ。

プシケはトシキの抑制にもなっていた
彼らのリードを繋げて持っていたのだけど
プシケを呼ぶと、こちらへ戻りたくない
そんなトシキを引きずって、こちらへ来る
拒否柴をズルズルと引っ張って来るのだ。
プシケは脱走逃亡なんて皆無だった…はず
リードを離れても、ずっとそばを離れず
付いてきてくれる、教えてないのに来る
プシケにしつけはしていなかった気がする。

プシケは外に出ると、出会う人に
大人しくて良いコと言われたけど…
誰にでも愛想を振りまくトシキと違って
全く無反応だった、飼い主以外には
尻尾を振らないのだ、つーんとおすましだ
散歩中に、コンビニで買い物したとき
お店の外に少し待たせて、戻ると
誰かが与えたのだろうウインナーが落ちていた。

プシケはその頃、トシキが残すフードも
食べてしまうほど食欲旺盛だったのに
誰かのくれたそれを食べてなかった
でも、口からはヨダレが垂れてる…
思わず笑ったけど、頭を撫でて褒めた
そして、買ってきたおやつをトシとプーにあげた。

飼い主以外からはもらっても食べない
ただ、慎重なだけかもしれないけど
飼い主以外は信頼関係でなかったのかな

プシケは、全力で愛してくれたのに
いつもトシキの次だった…だから?
だから隠れてトシキに軽く嚙みついてた??
ただ、トシキはプシケが嫌いじゃなかった
なんとなくうまくいってたのかな
お尻をくっつけてよく寝ていたのだから

プシケは1度だけ、逃亡した
と言っても、ご近所の柴犬の雑種犬コロ宅
プシケはまだ避妊手術前だったから…
去勢前のコロのそばに、あっという間だ

プシケは多分、初めての妊娠だ
私は生まれてくる子犬の行き先を算段してた。
2ヶ月経ったか経たないか…大きなお腹のプーは
2階の部屋へ上がり始めた、時折声が漏れていた。

もうすぐ生まれるの?
私もその日はたまたま休みだった
2階の部屋で生みそうだと思い、見守った。
夜中から朝方になろうかという頃
プシケが苦しそうに見えた
始まったのだ、息んですぐ1匹目が生まれた
コロコロとした立派な男のコ…
そこから割とスムーズに2匹3匹…生まれた

あれ?…少し、疲れたのかプシケの様子が変わった
お腹をさすった、プシケはこちらを見て
少し、ヒーンつらそうな声…
まだ、もう1人いるよね?そう聞いた
しばらくしてまた息みだす
お腹の動きに合わせて、少しだけ押した
ふ…んん…と、プシケが力を入れると…

生まれた、真っ白な最後の1匹。

それまで、プシケは産まれた子を舐めて
へその緒も自分でみんな噛んで切って食べた
最後のコも舐めてキレイにしてたけど…

あれ?!…あ、ちょっと待った
このコだけお腹が切れて腸がはみ出てる
慌てて、腸を中に戻し絆創膏を貼った
それで正解かは、分からなかったけど
朝になり、プシケが落ち着いたのを見てから
その末っコの白いコを病院へ連れて行った

一針縫って化膿止めの注射だけしてもらい
その後も、他の兄弟と変わらず元気だった。
良かった、本当に良かった。
手放すまで、約1ヶ月ちょっと…
ぽっちゃりだったプシケがげっそりと痩せた
子犬たちはものすごい食欲旺盛でコロコロ
実に順調に育った…そして、あっさりと
みんなお迎えが決まったのだ

それから痩せていたプシケが元に戻るまでも
あっさりと順調にあっという間にだった。
子犬たちがいなくなっても、プシケは相変わらず
とくに探すこともしなかった
しばらくは元気がなかったようにも感じたけど
話をしてるとそばで聞いていた。

解っていたのか、居なきゃ居ないで切り替えなのか
また、変わらないいつもの日常生活に
そして、ある日プシケは相棒を失う
ごめんね、プシケ…トシキはもう起きないんだ

それから、しばらくプシケが私に寄り添ってくれた
プシケがいてくれて、本当に良かった。

だけど…トシキが居なくなって1年後…
プシケの体に異変が、たくさんの腫瘍…
入院し、手術し取れたのは一部でしかなく。
その頃、もう14歳だろうプシケ…
食欲はあったけど、あまり動かなくなった。

その日は、珍しく本当に珍しくご飯を残した
嫌な予感でいっぱいだった…
横になるプシケのとなりに時間が許す限り居た
そして、仕事から帰ると…
プシケは冷たくなっていた

あんたが仕事行ってすぐかな、ひと鳴きして
母がそう言う…今日は仕事休めば良かったかな…
ごめんね、プシケ…ありがとう、がんばったね

トシキと一緒に待っててね





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