要約 『米国トップ大学受験バイブル』 著者 尾澤章浩、向井彩野
米国トップ大受験の面白いところは、〔…〕大学の求める人物像に合わせて自分を曲げるような人材は求めていない、ということです。〔…〕自分の本当の興味関心から離れてしまうと、求めていた結果は得られません。 214ページより
●はじめに
本書は、海外大学、特に米国のトップ大学に合格するためにどのような準備が必要で、どのようなスケジュールで進めていくのが良いのかが、経験者や指導者の視点から紹介されています。
「海外未経験からハーバード大学に入学」と聞くと、どんな天才かと思うでしょう。ですが、私たちが知るのは合格したという事実のみであって、実際はどのような過程なのか、ほとんど知られていません。つまり、わが子を海外大学に行かせたいと考えた時、必要な情報がない、という問題に直面します。
本書を読めば、米国トップ大の合格が一握りの天才の所業ではなく用意周到に行われた結果であることがわかるとともに、より身近な視点から実現の可能性を探ることができるでしょう。
●本文要約
1.「大学は海外」は珍しい選択肢ではなくなった
近年、日本国内で育った学生が、海外留学未経験のまま、国内の大学に進学するように、海外の大学に進学する事例が珍しくなくなっています。国内の奨学金などの環境も整いつつあります。しかし、それらの情報は不十分なままです。
その理由の一つは、米国の大学受験の特徴が十分に認識されていないことです。日本の大学受験の成否がもっぱら試験の点数のみで決まるのに対して、米国の大学受験では、英語力や点数に加え、受験生の経歴や作文などを含む、より総合的な観点から評価が行われます。つまり、合格に必要な情報もより広範囲にわたるというわけです。
著者の一人もこの日本との違いに苦労しました。国内大学の受験と比べて、合格をするために必要な情報が圧倒的に足りないのです。その時の打開策となったのは、同じ高校の一年先輩にハーバード大学に合格したという話を英語科の先生からたまたま聞いたことでした。彼女は、この先輩と直接連絡がとれなかったら、何をすべきか分からなかっただろうと言います。この体験が、英米の大学受験に特徴的な課外活動やエッセイ、選抜方法などを一冊にまとめた本を執筆する原動力となりました。彼女がかよった進学塾の塾長と取り組んだ本書には、受験者の体験談やより俯瞰的な観点に立った指導者のアドバイスがふんだんに盛り込まれています。海外大の受験のための道筋をより身近なものとして感じることができるでしょう。
2.米国トップ大の魅力と受験の特徴
さて、高校生が進学先として海外大学を選ぶケースが徐々に増えている、といいました。なかには、海外未経験のままハーバード大学やイェール大学といった名門校へ入る人も出ています。それでは、彼ら彼女らはなぜ海外を選んだのでしょうか?米国のトップ大に進学する利点にはどのようなものがあり、また、米国の大学はどのような特徴を持つのでしょうか?
米国の大学は教育熱心で、学内外でも様々な教育プログラムやインターンがあり、成長の機会が豊富です。また、学内も留学生に溢れ、多国籍で多様性が尊重されているので、刺激にあふれた大学生活を送ることができます。知的にも、社会的、キャリア的にも様々なチャンスに溢れているのが米国の大学の魅力です。
魅力的な就学環境をもつ米国の大学ですが、受験に当たっては注意しなければならないことがいくつかあります。まず、試験の成績で合否がほぼ決まる日本と異なり、高校の成績や課外活動を含めたより総合的な観点から入学審査が行われます。また、受験時期も大きく分けて11月初旬締切の早期出願と、1月初旬締切の通常出願があり、志望順位や出願書類の仕上がり具合に応じて、どの時期にどの大学に願書を出すか、決めなければならないという点です。このスケジュール管理と書類作成は、試験一発勝負で、受験時期が決められている日本とは大きく異なります。
ほかにも、志望校を選ぶにあたっては、学びたい学問分野に加え、大学の規模や立地、教養教育と専門教育のどちらを重視しているかなどを考慮する必要があり、「とりあえず偏差値や合否判定」から行ける大学を探す、という日本とは異なります。
3.米国トップ大出願で求められる書類
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