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きみのすきな牛乳を
秋が終わりに近づき、今年もまた、流し台にマグカップとティースプーンが置かれるようになった。
夜、家に帰ってきてそれらを洗いながら、あっという間の一年だったな、なんて感慨にふけったりする。
母親が「ココナッツの匂いがやっぱりだめで・・・」とくれたココナッツオイルは、どうやら私にも合わなかったらしい。
摂りはじめてから胃腸が重く痛む日が続き、摂取をやめたらケロリと治った。
ココナッツオイルによる腹痛だったのかどうか定かではないが、その後はつい敬遠するようになってしまった。
寒くなると、彼だけが毎日、ティースプーン1杯のココナッツオイルを入れたホットミルクを飲む。
特に他に食生活を変えたわけではないのに、体重が落ちてきた、と言う。
もうそろそろかな、という頃合で冷蔵庫をあけると、思ったとおり牛乳パックが軽くなっている。
スーパーへ行き、牛乳パックを買い物かごに入れる。牛乳を切らさずに買い足せた日は気持ちがいい。
一人暮らしの頃は一番安いものを買っていたけれど、今は値段を見ずに彼が好きなものを選ぶ。
新しい牛乳を冷蔵庫にそっとしまいながら願う。
きみがまた、明日の朝をいつもどおりに迎えられますように、と。
もうすぐ、二人で過ごす4度目の冬が来る。