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今だけは、好きなように生きる

ほぼ毎週末、キャンプ場へ足を運んでいる。いつからか、「キャンプをする」ということに身構えなくなった。単に、場所を移していつもどおり生活している感覚だ。

キャンプ場では特にやることもないから、ずっと食べている。作る料理を予め決めておくことは、もうほとんどない。地元のスーパーで、地物の野菜やお魚、お肉などを直感のままに買い込み、ただ切ったり焼いたりを延々と繰り返す。グラスが空いたら飲む。お皿が空いたら作って食べる。これほど享楽的で幸せな週末があるだろうか。

キャンプで料理をする環境を十分すぎるぐらいに整えようと、立つとちょうどよい高さの大きなキッチンテーブルを買った。カツオ一匹ぐらいは簡単にさばけそうなサイズのテーブルだ。

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家のキッチンの利便性に極限まで近づける、ということを考えると、あと足りないのは手軽な低温調理の環境ぐらいだ。どうすれば容易に実現できるものか。電気がない場所でどこまで快適に料理ができるか、追求してみたい。

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とても暑い日のお昼ごはんは、キンキンに冷えたうどんがいい。ざるも冷水もなく、試行錯誤しながら熱々のうどんを氷でなんとか冷やした。

お鍋いっぱいのうどんを、夫と2人で黙々とすする。お鍋の底がようやく見えた頃には、日が傾き、真夏のような暑さもやわらいでいた。

少し寝るね、とテントに入って横になる。テントのメッシュを片側から片側へと吹き抜けていく風が、涼しくて心地よい。

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ガスランタンに、夫がシュボッと明かりを灯す音で目が覚める。15分ぐらい、と思っていたのに2時間も眠ってしまっていた。自然の中で、心の赴くままに食べて寝る。とてもシンプルな生き物になったかのような気持ちよさがそこにあった。

初夏の空と木々のコントラストを、それらが次第に暗く溶け合っていく様を、横たわったままテントの中から眺める。日が沈みきったら、またすぐに眠くなってしまうかもしれない。それもいい。私は、今だけは、自分の好きなように生きる。

「今だけは」で、本当にいいんだっけ。

そう気がついて、ハッとする。

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