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小さな挑戦を続けて、バラの可能性を広げていく/保科バラ園 保科利徳さん

こんにちは、花卉園芸業界のライターをしている岩田紫苑です。

本日ご紹介するのは、長野県中野市でバラの生産をしている保科バラ園の保科利徳さん。バラの出荷生産をこなしながら、ドライローズをマルシェや雑貨店に出品したり、エディブルローズを活用したバラジャム作りに挑戦されています。
生産・出荷にとどまらず、バラを活用した様々な事業を展開しているのはなぜか…胸に秘められた熱い想いに迫ります。
(インタビューは、2021年12月に実施。)


本日はよろしくお願いいたします!
まずは、保科さんの1年間のスケジュールを教えていただけますか?

2月下旬〜3月上旬から剪定、枝の整理を行います。
出荷は4月下旬もしくは5月上旬からスタートし、12月いっぱいまで続きます。冬場は、たくさん雪が積もるので、お休みをします。

保科バラ園さんの、自慢のバラを教えてください!
国内で、当園でしか扱っていないバラがあります。
例えば、レクイエム+は、育種家の方から個人的に苗をいただいたものです。

花びらのフリフリが可愛いアンブルジョン、アンフロレゾン。

当園オリジナルはミルクティー、グリーンバラ。2品種あります。
こちらは、来春から本格的に出荷予定ですので、お楽しみに。

生産者直伝!
バラのお手入れ方法を教えてください。

バラを花瓶に入れる前に、水切りすると良いです。特に、暑い時期は毎日水替えをして、茎を斜めにカットするだけでも違いますよ!酢を少し入れると、水の殺菌効果があるみたいです。
お花屋さんでもらう栄養剤も良く効くのでオススメです。

2021年の夏、クラウドファンディングにて、行き場を失ったドライローズの支援者を募り、見事7000本を完売させましたね。
もともとドライローズを始めたきっかけは何だったのでしょうか?

きっかけは、先輩のシャクヤク農家さんからの相談です。収穫時期に、異常な暑さでシャクヤクが満開に咲ききってしまい、大量に出荷できなくなってしまいました。その時、私がシャクヤクを買い取って、ドライにしてみた、という経緯があります。ちょうどドライフラワーが流行ってきた時期で、綺麗にドライになったシャクヤクは大人気。すぐに売り切れました。

その成功体験から、茎が短いバラ、出荷できなくなったバラをドライにしてみようと。2021年の夏のクラウドファウンディングも相まって、以前よりもドライローズを沢山作るようになりました。現在は、シャクヤク、バラなど。品目は限られますが、草花や枝物などのドライも扱っています。


さらに同じく2021年、ローズジャムの販売もスタートされましたよね。
バラの生産・出荷にとどまらず、マルシェや雑貨店への出品も行っています。様々なことに挑戦されている印象ですが、その原点となるものはなんでしょうか?
うちは、零細農家です。バラを市場へ出荷する。これがメインの活動になっていますが、年々高騰する資材や運賃、そして販売単価の落ち込み。

そこに追い打ちをかけるように、コロナが…。
圃場の規模拡大で、収益を見込めるのでは?という見方もできますが、設備投資など費用がかかり、ハイリスクハイリターンです。

でも、何かやらなければ…。不安や焦りが後押しし、まずは思いついたら行動してみる、という姿勢を大切にしています。
その、小さな挑戦の一つが、ローズジャムの販売です。


小さな挑戦だから、実入りは少ないですが、費用もリスクもあまりない。少しずつ何か始めて、少しずつバラの可能性を広げていく。
様々な活動という『種』を蒔いて、少しでも花が咲いてくれたらいいな、という想いです。

ローズジャムを作るにあたり、減農薬にも力を入れていましたね。もともと、早い段階から農薬を使わないように努めていたのですか?
私の中で、バラ栽培で1番大変な作業は、農薬散布防除です。散布していると、具合が悪くなることもしばしば。熱い時期はカッパを羽織りながら散布するため、熱中症になりかけたり…とても大変な作業です。

土壌にも良くないため、持続可能な農業という観点から、木酢や米酢、ハーブ抽出液など自然由来のものを散布するようになりました。将来、息子が家業を継ぎたい、と言ってくれた時に、身体への負担を減らし、自分と同じ苦労はさせたくないので…。試行錯誤の毎日です。

ありがとうございます。素敵な考え方ですね。
最後に、今後の展望をぜひ教えてください。

2022年から少しずつ家内にドライローズの制作をお願いしたり、マルシェへの出店も任せています。私はバラが大好きなので、自分が好きなバラを作ることに専念したい。
自分が育種したバラをもっと流通させたい、と思いますね。

お忙しいなか、お時間いただき、ありがとうございました!


まだまだ、コロナ渦。先が見えない世の中ですが、小さな挑戦を積み重ねている保科バラ園さん。今後の活動にも目が離せませんね。

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