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天才物理学者アインシュタイン、実はバイオリニストだった!?


相対性理論を提唱し、人類の科学史に名を刻んだアルベルト・アインシュタイン。彼の名前を知らない人はいないでしょう。


しかし、そんな偉大な物理学者には、もう一つの顔がありました。
それは「バイオリン奏者」としての一面です。


幼少期からバイオリンに親しみ、研究の合間にも演奏を続けたアインシュタインにとって、音楽は単なる趣味ではなく、人生の大きな支えとなっていました。


そこで今回は、アインシュタインとバイオリンの深い関係についてお話したいと思います。



アインシュタインとバイオリンの出会い


室内楽を演奏する
アインシュタイン(左)


アインシュタインがバイオリンと出会ったのは、5歳のときでした。母親は音楽の素晴らしさを息子に伝えようと、彼にバイオリンのレッスンを始めさせたそうです。同時にピアノも習っていましたが、レッスンに熱心ではなく、時には家庭教師に向かって椅子を投げることもあったそうです。しかし、13歳のときにモーツァルトのバイオリン・ソナタに出会ったことが大きな転機となりました。

『宇宙の内面の美を鏡に映した姿をみているかのような純粋さと美しさが、モーツァルトの音楽にある』と感銘を受けたアインシュタインは、そこから音楽に深く魅了され、バイオリンへの情熱を抱くようになったのです。



1934年にはロシア人バイオリニスト、トーシャ・ザイデルに師事し、同年にニューヨークで開催された慈善ガラコンサートで共演も果たしました。


トーシャ・ザイデル(左から2番目)と
並ぶアインシュタイン(右から2番目)


コンサートの収益は、ベルリンで迫害されていたユダヤ人学者たちのナチス・ドイツからの逃亡資金として使われました。音楽を通じた社会貢献にも積極的だったのです。また、研究業に勤しみつつも、旅の際には、Linaと名付けたバイオリンをバイオリンケースと共に赴くほど、音楽を心の拠り所にしていたようです。

音楽がアインシュタインの研究に与えた影響



アインシュタインにとって、音楽は単なる娯楽ではなく、思考を深めるための重要な存在でもありました。彼はピアノのコードを弾き、それをメモに取ってから研究に戻ることもありました。



物理学と音楽には共通点が多く、どちらも数学的な美しさを追求するものです。音楽が彼の創造力を刺激し、研究に新しい視点をもたらしたことは間違いないでしょう。

アインシュタインが影響を受けた音楽家たち



アインシュタインは、モーツァルトバッハの音楽を特に愛していました。それ以外にも、ヴィバルディ、シューベルト、コレルリの音楽も好んでいました。



そのため、1952年から、彼が亡くなる1955年まで、プリンストン交響楽団の副会長を務めたアインシュタインを追悼するコンサートでは、コレルリのクリスマス協奏曲、バッハのカンタータ106番「哀悼行事」(Actus Tragicus) よりソナティーナ、「戴冠式」の通称を持つモーツァルトのピアノ協奏曲第26番 ニ長調 K. 537 と、彼が好んだ作曲家による作品で、開催されました。


また、ピアノ協奏曲のソリストはアインシュタインの友人であったロベール・カサドシュが務めました。アインシュタインはモーツァルトの曲に「宇宙的な調和」を感じ、バッハの作品には「数学的な美」を見出していました。特に、バッハの『二つのヴァイオリンのための協奏曲』ニ短調BWV1043は、彼のレパートリーのひとつでもありました。


アインシュタインはベートーヴェンを特に好んではいませんでしたが、「(ベートーヴェン自身の)個性がそのまま表れている」と評していました。また、スイス・アーラウのギムナジウム在学中、教師から「ベートーヴェンのバイオリンソナタのアダージョの楽章を深い解釈で演奏し、際立っていた」と高く評価されています。



一方で、アインシュタインはワーグナーの音楽に独創性を認めながらも、その作品構造を退廃的と感じ、強い嫌悪感を抱いていました。こうした偉大な音楽家たちへの評価からも、アインシュタインの感性や思想にどれほどの影響を与えたのかが伺えます。もしかすると、彼の相対性理論にも音楽との共通点があるのかもしれません。

アインシュタインが愛したバイオリン



アインシュタインの2番目の妻、エルザ・アインシュタインは、彼がバイオリンで奏でるモーツァルトの美しい演奏に魅了され、恋に落ちたと語っています。

エルザ・アインシュタインと
写るアインシュタイン


彼にとってバイオリンは、単なる楽器ではなく、自身の内面を表現する大切な手段でもあったかもしれません。


1935年からアメリカ・ニュージャージー州プリンストンに住んでいたアインシュタインは、毎週水曜日に自宅で、音楽家や学者仲間と室内楽のコンサートを開いていました。また、ハロウィンにはトリック・オア・トリートで訪れる子供たちに即興でバイオリンを演奏して驚かせたり、クリスマスの時期には屋外でキャロルの伴奏を弾いたりしていました。アインシュタインの演奏録音は残されていないため、彼の実際の演奏技術は写真でしか知ることができません。




その写真からは、彼の演奏姿勢に専門的な誤りが見受けられます。驚くべきことに、アインシュタインはバイオリンを弾く人なら誰もが知る名バイオリニスト、フリッツ・クライスラーとカルテット(四重奏)を演奏したこともありました。しかし、彼は拍子を取るのが苦手で、タイミングを逃してしまい、その際クライスラーから「教授、どうしたのです?あなたは数えられないのですか」と冗談交じりに言われたというエピソードも残っています。


名バイオリニスト
フリッツ・クライスラー(左から2番目)と
アインシュタイン夫妻


しかし、1929年にサタデー・イブニング・ポストでフィーレックと対談した際、アインシュタインは「もし学者になっていなかったら、音楽家になっていただろう」と語っています。本業の研究を続けながら毎週コンサートを開催するのは決して容易なことではなく、その熱心な活動からも、彼の音楽に対する深い敬意が伝わってきます。



また、彼の演奏を賞賛するエピソードもあることから、実際の腕前は写真からの印象を上回っていた可能性があります。アインシュタインは、物理学と音楽を結びつけることで人生を豊かにし、研究のインスピレーションを育んでいったのです。



アインシュタインにとって、バイオリンは単なる趣味ではなく、人生そのものに寄り添う存在だったようですね。物理学と音楽、異なる世界に見える二つの分野を深く愛し、結びつけることで、彼は独自の視点を築いたのかもしれません。


私自身の音楽活動の支えとは?


アインシュタインの偉大な研究活動を支えたバイオリン。では、私のバイオリン演奏家としての支えは何か? そう考えたとき、真っ先に思い浮かぶのは「かつての師匠の言葉」です。

私は高校時代、拒食症を患いました。そして、「日本で病気になったのだから、環境を変えれば治るはず」と考え、高校卒業後すぐにドイツへ飛びました。ドイツ・アーヘンでの生活が始まり、語学学校に通いながら音楽大学の入試準備に励む日々。その中で、師事していた先生の言葉が、今も私の支えとなっています。


詩苑、パガニーニのエチュードやチャイコフスキー、シベリウスのコンチェルトなど、難しい曲を弾くには、身体が必要なんだ。筋肉がなければ、いくら練習しても成果にはつながらないよ。


ドイツの音大入試は日本とは異なり、演奏すべき曲数や時代の幅も広いため、準備は大変です。しかし、先生の指導方針は入試の曲にとどまらず、基礎を徹底し、一からヨーロッパの音楽表現を学ぶこと。そして何より、私が体重を戻し、筋肉をつけることが最優先でした。


私は、その方針に納得しつつも、入試に向けての練習を優先したいという焦りから、先生にこう伝えました。


先生、先生が話されている、音楽解釈や健康への重要性はわかります。しかし、入試の曲(先述した作曲家、パガニーニ、チャイコフスキー、シベリウスの作品含む)も間に合わないとと思うのですが...


そのとき、先生は先ほどの言葉をかけてくださいました。


私にとって、その言葉は衝撃でした。日本にいた10代の頃、私は常に「努力や練習が足りないから、自分は上手くないのだ」と思い込み、罪悪感や焦燥感に苛まれていました。また、当時の流行も影響していました。


当時の制服はミニスカートが主流で、体型がわかりやすいファッションが溢れていました。身長158センチで55キロだった私は、周囲の人たちと比べて「太っている」と感じ、「痩せていなければ、努力が足りない証拠であり、演奏が下手な自分は恥ずかしい」と思い込んでいました。


炭水化物が
特に当時怖くて
こういったメニューは
食べれなくなりました


その結果、体重は37キロまで落ち、体重を戻すことに恐怖を感じるようになりました。「太ったら周囲にバカにされるかもしれない」「人間らしく接してもらえなくなるかもしれない」そんな不安を感じていました。


しかし、先生の言葉を聞いた瞬間、心が軽くなりました。


もしバカにされたとしても、私は心から尊敬する先生から『演奏には筋肉が必要』だと教わったのだ。




そう胸を張って言える。そう思えたことで、体重に対する恐怖がなくなり、拒食症を克服することができました。


クリスマスマーケットの
ドバイチョコのお菓子と🍫
食事もファッションも
楽しめる体重になりました♪


この言葉は、バイオリンを生活の一部にする日々を過ごす私が、今を生きる原動力にもつながっています。

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