for serendipity1163 「作家は同世代の人々に理解されるようなことを書いてはならない。」
世界的なベストセラー『アルケミスト』で有名なパウロ・コエーリョによる85編からなる珠玉の掌編コレクション『パウロ・コエーリョ 賢人の視点』(2021)より。
小さい時、「作家になりたい」と母に言うと、母から「作家ってどんな人か、知ってるの?」と言わる。母の質問に答えるために、「作家は~」といういろいろな答えを考えるシーンのなかで、以下のものが特に印象的(少し笑ってしまいました)でした。
(b)作家は同世代の人々に理解されるようなことを書いてはならない。平凡な時代に生まれてしまった作家にとって、他者から理解されるということは自分の天才性の否定でしかない。作家は一行の文を、なんどもくりかえし書きなおす。一般人の平均的な語彙数が3000程度ということなら、真の作家はそれらの語意を使わずに、辞書のなかの18万9000語から言葉を探す。自分が普通の人間でないことを示すために。(はじめに 4~5p)