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for serendipity1064 「民芸」ということばを新たにつくる

「日本の伝記 知のパイオニア」シリーズ『柳宗悦と美』(2022)より。1925年(大正14)、柳宗悦は河井寛次郎、濱田庄司と紀伊半島を旅行中に「民芸」ということばを新たにつくる(169p)

 濱田(庄司)が作陶のため栃木県の益子に住みはじめてからも、わたしたち3人はしばしばいっしょに旅に出た。1925年の暮れにも3人で木喰仏を訪ねて紀伊半島を旅行していた。汽車にゆられながら三重県の津にむかっていたときのことである。
 「わたしたちが夢中になっている焼きものや古い布、箪笥などをひっくるめてよぶのによいことばはないだろうか」
 だれからともなくそんな話になった。ふだん使っていることばのなかにはなかなかぴったりのものが見つからなかった。(中略)話し合った末に「民芸」という新しいことばがこのとき誕生した。「民衆的な工芸」を短くして「民芸」としたのである。
 年が明けて和歌山県高野山の宿坊に泊まったときも夜どおし3人で話し合った。議論がだんだん白熱し、最後には民芸の美術館をつくろうという結論にたどり着いた。(81ー82p)

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