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for serendipity1228「見通しを。あなたの人生に。」

「まちライブラリー月いち下関」で出会った五木寛之さんの『はじめての親鸞』(2016)より(136p)。東京スター銀行の広告コピー「見通しを。あなたの人生に。」を見た五木さんがこんなことを書かれていました。

 本来ならば「見通しを。あなたの人生に。」という言葉は、仏教の側から発せられなければいけない。仏教とは、宗教とは本来そういうものだろうと思うのです。
 ちょっと話がそれるようですが、こんなたとえ話があります。
 月の光もない真っ暗闇の中、ある人が、一歩間違えれば谷底へ転がり落ちそうな険しい山道を、重い荷を背負って歩いている。不安と怯えで胸が苦しく荷物がいっそう肩に食い込んでくる。とそこへ雲間から月の光が射して、遠くに家が見える。そうか、あそこまでいけばいいのか、とその人は気を取り直してまた歩みを続けるーー。
 道が歩きやすくなったわけでも、距離が短くなったわけでもない。荷物が軽くなったわけでもないのに、心はそれまでとは違っています。目的地が見え、誰か待つ人がいる。それまでとは違って足取りも軽くなる。これが向こうから照らす本願他力、それをありがたいと感じることが安心立命(あんじんりゅうみょう)というものではないでしょうか。(140p)



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