for serendipity1078 「詩がメッセージを持つこと自体に対する反発」
柴田翔さんの『詩への道しるべ』(2006)を拝読して、特に印象的だったのが「詩がメッセージを持つこと自体に対する反発」ということばでした。
「その内容はどうであれ、一つのメッセージを読者に押しつける。それは詩の仕事ではないだろう。詩はひとを自由にするもので、ひとを縛るものではない。〈考え(思想)〉を詩人が一人で呟き、読者が自由な心でそれに耳を傾けるのならーーあるいは詩人が自分のために〈考え(思想)〉を耕し、深めて行き、読者がその様子を見ながら、自分の考え(思想)を育てて行く一助とするのなら、それはいい。だが一つのあらかじめ確定した〈考え(思想)〉を、世界へ向けて発信するための〈宣伝塔〉には、詩はなるなーー。(122p)