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産業廃棄物のお姫様 あやめ外伝 中学生活 4

昼食も終わり3人でいつものショッピングモールのゲームコーナーに行った。

龍一はあやめが以前買ったサスペンスのアドベンチャーゲームが気になったので手に取った。

「それ、あたし持ってるから後で貸してあげるのよ?」

『あやめがゲーム終わるまで待ってられないよ。ゲーム掛け持ちでするんでしょ?俺はすぐしたいから。』

「勿体な~い!」

『いいのいいの。俺の金なんだから。で?蓮二に何買って貰うの?』

「モンペハンター!蓮二と仲間になって早く強くなろうっと!龍一もすればいいのに。」


ゲーム内容は最初の方は保育園に出現するマウンティングママ(ママ友)という敵を倒すとレベルアップする。更に進めると学校の先生にジョブチェンジし出現したモンスターペアレンツ(略してモンペ)を倒しに行けるようになる。ミニゲームで野球部の顧問に三木谷先生か堀江先生を選ぶというイベントが追加されたらしい。どっちを選ぶかで学校の行く末が変わるらしい。そういった一部アドベンチャー要素も含まれている。
強くなるとゲーム内のマップの店の中に色んなレベルのモンペが出現するのでネットでチームを作って倒しに行く。
ひろゆきカードというアイテムがあってそれを使うとレベル強のモンペに「それってあなたの感想ですよね。」と言い放ち黙らせる事が出来るがそのアイテムはレアアイテムらしい。中々捻くれたゲーム内容だ。
龍一はオンラインゲームには全く興味がなかった。

「嬉しい!前から気になってたんだぁ!何でリュウは興味ないの?」
あやめはワクワクしながら龍一に問いかける。

『俺はシングルプレイのゲームの方が好きだから。』

『シングルプレイ好きだもんなぁ。』
蓮二が背後から抱きついて首に腕を回して来た。

『ちょ!お前が言うと…違う方に聞こえるだろうが…』
焦る龍一。

『え?何?何のこと想像しちゃったのリュウちゃん?』
明らかに馬鹿にしている蓮二。

『…蓮二…ワザと言ってるだろ…』
あやめは龍一が顔を真っ赤にしている意味がわからない。

「シングルプレイが何でダメなの?あやめずっとシングルプレイだよ?シングルプレイって恥ずかしい事なの?」
店のBGMが大きいせいかあやめは普段の3倍くらいのトーンで問いかけた。そんな時に限ってBGMが途切れていた。

『恥ずかしくない…よ。あと女の子がそんな大きな声で連呼しない方がいいよ…』
龍一はあやめの肩をポンと叩いてゲームソフトを買うのにレジに並んだ。

「何が恥ずかしいんだろうね?蓮二?」
あやめはモンペハンターを持ってレジに蓮二と並んだ。

『さぁ?変なこと想像しちゃったのかな?ナニかは知らないけど。』
あやめが何もわからないことをいいことに好き勝手言っている蓮二。

『蓮二!それ以上言ったらモンペハンター返品するぞ!』
今度は龍一が背後から蓮二の首に腕を回して低い声で脅す。

『こわ~い!やだぁ~!許して~!』
龍一と蓮二が何を言い争っているのかはわからないけど2人のやり取りが面白くて一緒に笑っていたあやめ。

「あ、でも…モンペハンター返品しちゃヤだよ?」
あやめが真剣な顔で龍一に懇願するような顔をしている。

『返品しない!あやめのゲームだもんね。家に帰ったら蓮二と仲良くモンペハンタープレイして下さい!』
この時点で既にあやめの尻に敷かれている状態の龍一だった。あやめの表情や仕草、言葉に弱い龍一。

3人は彩菜が弱っていたので夕飯をショッピングモールの中のフードコートで済ませて帰ることを伝えてフードコートの中でゲーム本体を持って出ていたのであやめと蓮二はモンペハンターを始めて龍一はサスペンスアドベンチャーをプレイしながらファストフードを食べたりアイスを食べて過ごしていい時間になってから家に戻ってそれぞれの部屋で時間をつぶしていた。


蓮二は付き合ってる女に電話して別れることを告げた。
毎回付き合うのも別れるのも相手任せだったから自分から断ったのが初めてだった。相手の女の子に本当の理由を述べた。告白されたから付き合っただけで気持ちはないと。女の子は泣き出してしまったけど最後には納得してくれて別れることが出来た。

『別れるって言うだけでこんなに神経削られるのかよ。参ったわ~。』
そう言いながら龍一の部屋に侵入して来た。

『一々俺の部屋に入って来んな!!』

『何か怒ってる?』

『怒ってるよ!』

『シングルプレイのこと?』
蓮二はニヤニヤしながら龍一のベッドに寝転ぶ。

『そうだよ!あやめもでっかい声で言うし!』

『あ~あれは急にでっかい声だったよな!』
蓮二は大声で笑った。

『あやめは純粋なんだから変なこと言うなよな!』

『アレはお前の方が先に変な想像しただろ!まぁまぁ。今日からそっちの方はお互いにシングルプレイってことで!お後がよろしいようで。』
笑い転げる蓮二。

『うるせぇよ!』
龍一は蓮二にシッシの仕草をする。

『いくら可愛いくって巨乳って言ってもあやめちゃんは12歳だ。手ぇ出すなよ。犯罪だからな。龍一…可哀想だけどお前は当分シングルプレイだ。』
蓮二はいつになく真剣な顔つきで両肩に手を置きながら諭す。

『うるせぇよ!そもそもお前は何言いに来たんだよ!あやめとゲームしてろ!部屋に戻れ!』
龍一は蓮二を部屋から放り出した。
することもないので夏休みの宿題を一晩で終わらそうと思って手掛けた。

すると龍一の部屋の内線が鳴った。

「リュウ、今日国語と数学のドリルしたんだけどリビングで見てくれる?」

『ちょっと今日は蓮二に頼んでくれるかな?』

「うん。じゃあ蓮二に内線かける。」
あやめは蓮二に部屋に内線をかけた。

『宿題?いいよ!龍一は今日中に終わらせたいみたいだから。集まって宿題するのも楽しそうだし。龍一も呼んでリビング行くわ。』
蓮二は龍一をリビングに呼び出した。蓮二は宿題をもう済ませていたのであやめに教えることが出来る。龍一と蓮二は嫌なことを先に済ませて後で楽をしたいタイプなのだ。
蓮二はリビングに来たあやめのドリルに目を通した。

『すげぇじゃん!数学はこの1問しか間違ってないよ。期末テストの時頑張ってたもんなぁ!…でもさ…家で答え合わせして満点で提出するのは変だと思うぜ?それって実力じゃないじゃん?どうしても解き方がわからない問題なら別で教えてあげるけど。』

「あ…そっか。テストは実力だもんね。全部正解だったら1位のはずだもんね!難しい問題が出たら聞くね!あとは教科書を読み返すー!」
時間がまだあるのであやめはドリルの続きをしようと思った。

『蓮ちゃん…わからない事があって…』
秋乃が後ろに立っていた。

「秋乃ちゃんも?みんなで宿題しよ。」
蓮二の横に秋乃が座れるようにあやめは場所を開けてドリルの続きを始めた。

秋乃が蓮二にドリルの質問をしていたので同級生の秋乃がどんな問題を解いてるか気になって覗き込んだ。数学のドリルだった。

「えー⁉秋乃ちゃん何処の勉強してるの⁉」
あやめにはさっぱりわからない問題だった。秋乃はあやめと同級生だが秋乃は偏差値の高い私立の中学に通っているので全く内容が違っていたことにあやめはビックリした。

蓮二はその問題をわかりやすく秋乃に教えて秋乃もスッキリしたようだ。龍一も蓮二も教えるのが上手い。

『龍ちゃんか蓮ちゃんに聞くとホントわかりやすいの。お姉ちゃんに聞いたらすぐ怒るから…蓮ちゃんありがとう。あやめちゃんも頑張ろうね!』
秋乃は無口なイメージだったけど意外と気さくだとあやめは感じた。

「秋乃ちゃんって難しい勉強してるんだね!」

『そんなことないよ。基本は今あやめちゃんが覚えてるところからだから変わらないよ。』
秋乃とあやめは笑顔で向かい合った。

『明菜って「そんな所で蹴躓いてるの!?」とか言いそう!』
蓮二が笑いながら話していると…

『当たり前でしょ!鈍臭いのよ!秋乃は!』
明菜が部屋に入って来た。

空気のようだが龍一は部屋の奥で黙々と宿題をしている。誰も寄せ付けないオーラを発していたので誰も気にしないようにしていた。

『言っとくけど冷たいのは秋乃にだけよ?あやめちゃんには丁寧に教えてあげるわよ?あ!そうそう私あやめちゃんにこの服あげようかなって思って持って来たの!見て見て!』
明菜は持って来たワンピースを広げた。デニム生地のミニスカートのワンピースだった。

「うわぁ!可愛い!いいの?」
あやめは喜んだ。

『私が中3くらいの時に着てたんだけど秋乃はこういうの着ないしあやめちゃんだったら似合いそうかなーって!私の身長は160cmあってミニ丈だったけど152cmのあやめちゃんだったらミニにならないと思うの。』
明菜は嬉しそうに服の説明をしてあやめを立たせて服の上からそのワンピースを合わせてショップ店員のように騒いでいた。

『おー!可愛い!あやめちゃんってよく明菜の服着てるけど、これ一番似合うかもー!』
蓮二がテンション上げて話していると

『そんな…パンツが見えそうなミニスカートダメだ!』
さっきまで黙々と宿題をしていた龍一が会話に乱入して来た。

『パンツ?見えないわよ?見えそうだったらショートパンツ履けばいいじゃない。龍一はあやめちゃんの服装に口出しし過ぎ!何着れば気に入るのよ!』
明菜は龍一のオヤジのような言い方に注意をした。

『明菜ぁ…リュウはあやめちゃんが好きなんだよ。だからつい…』
蓮二は皆に2人が付き合っている事を話した。

『そうだったの?…だからオヤジみたいな言い方してた訳?』
明菜は龍一にあやめが好きであってもその言い方は違うと言う。

『何でだよ!』

『だってあやめちゃんは喜んでるじゃない!私が無理矢理可愛いでしょ!って押し付けてる訳でもないのに服のデザイン見ただけで真っ向から否定するのは間違ってる!女の子はね、彼氏に可愛いって言われたら嬉しいものなのよ!』
その通りである。あやめは嫌がっていないのだ。むしろ喜んでいた。龍一は彼氏という自覚があるのかないのかわからないがファッションに口を出さないと午前中に言ってた傍からこの態度である。
蓮二はまたか…。と心の中で思っていた。

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